障害物は、任務がDelay・Defendの場合しか購入できず、一般的な対人戦ルールではかなり厳しく使用が制限されます。これは障害物を大量に配置しておけば、ほとんど戦わずして勝ててしまうからです。
対人戦ではなかなか使う機会のない障害物ですが、限られた障害物でも巧妙に使えば「寡兵よく大軍を制す」を実現させることも充分に可能です。
障害物の種類
SPWAWに登場する障害物には、次の3種類があります。
- 有刺鉄線（Barbed Wire）−対人障害
- ドラゴンティース（Dragon Teeth）−対戦車障害
- 地雷（Mine）
地雷は埋設されているHEXを踏めば爆発してユニットに何らかの損害を与えますが、その他2つの障害物は、埋設されたHEXが通過できなくなるだけです。
キャンペーンなどでは、これらの障害物は配置画面であらかじめ配置しないと使用できません。以下、その特徴と運用法を解説します。
有刺鉄線
歩兵タイプのユニットは、移動力が残っていても有刺鉄線があるHEXに一気に進入することはできませんが、隣接HEXで一時停止して1ターン経過すれば当該HEXに進入できます。ただし、特殊部隊、偵察部隊、狙撃兵、その他の小規模ユニットは有刺鉄線HEXに一気に進入することができます。
これは、通常歩兵は有刺鉄線を走って突破することはできないが、時間をかければ潜り抜けられるという点をシミュレートするものです。特殊部隊や偵察系の歩兵は訓練されてるってことですかね？ちなみに、車輌ユニットの移動には全く影響しません。
除去は地雷と同じく、ほとんどの歩兵ユニットと工兵戦車・地雷除去戦車ができます。しかし、大抵の場合はそんなに邪魔にならない障害物なので、わざわざ手間をかけて除去しないことが多いでしょう。
ドラゴンティース
その名の通り「龍の歯」＝櫛歯状のコンクリートや鉄製の障害物です。簡単に言えば、ぎざぎざが一杯ついてる重たい塊で、装輪車輌はもちろん装軌車輌でも乗り越えられないものだと考えてください。
ちなみにゲーム上では、このドラゴンティースを水域に配置すれば、アイコングラフィックが「ロンメルのアスパラガス」になります。
全ての車輌タイプのユニットはこの障害があるHEXを通過することができませんが、歩兵タイプのユニットの移動には影響しません。
ドラゴンティースの探知は難しくありません。LOSが通りある程度近づけば発見できます。除去できるのは、工兵・工兵戦車・地雷除去戦車だけです。
工兵以外は車輌ユニットなのでHEX内に進入できませんが、隣接HEXから除去できます。また地雷と同じく、火炎放射器の直射が有効です。
地雷
敵をただ足止めするだけでなく、殺傷力もある有効な障害物です。あらゆるユニットに対して効果を発揮し、ユニットが地雷埋設HEXに侵入・退出する時点で地雷埋設数に応じた確率で爆発します。つまり10個しか埋設されてなければ爆発する確率は低く、100個あれば爆発する確率はその10倍になります。
地雷が爆発した場合、歩兵タイプのユニットに対しては人的被害を与え、車輌タイプのユニットに対しては車輌ごと破壊することもあれば移動力だけ奪う（"Immobilized"になる）こともあります。
また、地雷は探知するのが難しいのも特徴です。工兵や地雷除去戦車が埋設HEXに侵入すればかなり高確率で発見できますが、その他のユニット、特に車輌ユニットは発見能力は皆無に近いです。
「見える」地雷原
地雷は発見しにくくどこにあるのかわからないという点が利点ですが、敢えて敵に地雷の場所を教えることで「ここは通るなよ！」という注意を喚起し、敵の侵攻ルートを制限することもできます。
このために使用されるのが、地雷と有刺鉄線を組み合わせた「見える」地雷原です。この2つの障害物を同一HEXに配置すると、図のように最初からマップ上に表示され、敵にも見えるようになります。
地雷の探知・除去
有刺鉄線とドラゴンティースは、LOS内にあってある程度接近すれば必ず発見できます。しかし、地雷は接近しても、同一HEXに位置しても発見できるとは限りません。
まず最初に、敵が埋設した地雷と自軍が埋設した地雷の表示の違いを知っておきましょう。
当然ですが、自軍が埋設した地雷は探知する必要はなく、マップ上のどこにあってもドクロマークが表示されるのに対して、敵が埋設した地雷は「探知」しない限り表示されません。
しかし、自軍が埋設した地雷でも、自軍ユニットが地雷HEXを通過しようとすれば常に爆発する危険はあります。
上図は自軍が埋設した地雷、下図は探知後の敵が埋設した地雷です。敵が埋設した地雷は探知しても地雷の埋設数が分からないのに対し、自軍が埋設したものは何個残っているのかわかります。
つまり、敵が敷設した地雷は実際に除去を完了してみないと、何個あるのかわからないということです。
懲罰法
地雷埋設HEXに侵入したユニットは地雷を探知する可能性がありますが、その確率は歩兵タイプほど高く、車輌タイプは低くなります。また、探知に失敗すれば地雷が爆発する可能性が発生します。
この特徴を利用し、安い歩兵を一列横隊で前進させ、地雷を実際に踏ませて発見する方法が懲罰法です。
当然結構な被害も予想される上、非人道的でもありますが、それなりに効果を発揮します。以下に説明する火砲や工兵が無い！という場合（結構多いのですが）は、この方法を使用せざるを得ないこともあります。
地雷を踏んで発見するのが目的なので、1分隊あたりの戦力が大きい歩兵を利用し、ポイント面での損害を抑えるため、二線級歩兵やゲリラなど最安値の部隊を展開させたほうが利にかないます（図は日本軍民兵）。
値段だけを考えると、10ポイント以下で買える軽車輌も捨てがたいですが、車輌ユニットは耐久力に問題があるので（一度地雷を踏んでしまうとそれ以降使えなくなる）、やはり歩兵を使った方が有効です。
この方法の欠点は、地雷を踏んで目的を果たした（？）部隊の抑圧値がどんどん上がっていくことです。
安い歩兵＝経験値も士気値も低いので、抑圧を回復するために大隊長（AO）や中隊長ユニットが後方5HEX内に控えておきましょう。いわゆる「督戦部隊」を配置するわけですが、脱走兵用の機関銃隊までは要りません（笑）。
この方法が向いているのは、本家ソ連軍や日本軍など、ちょっとやそっとの抑圧上昇に動じない国の歩兵です。逆にアメリカやイタリアなど、すぐに撤退しようとする国の歩兵はもっと合理的な方法でいった方が良いでしょう。
砲撃法
犠牲を払わずに地雷原を発見する方法は、怪しい地域一帯に大口径の盤外砲をばら撒くことです。
20mm以上の兵器ならば直接・間接射撃を問わず、火砲でも戦車砲でも地雷を誘爆させる可能性があり、1個でも誘爆できればドクロマークが現れて地雷埋設HEXであることが判明します。
ただし広い範囲に砲弾を散らばらせるためには、150mm以上の榴弾砲やロケット砲が有効でしょう。
この方法の欠点は、費用対効果の程度が低いことです。ぶっちゃけて言えば、大量の火砲を必要とする割に、さほど効果的に誘爆してくれません。
完璧に見つけるためには、大口径砲でだいたいの当たりをつけて、迫撃砲などでピンポイントで絞っていくしかありません。そういう意味では物量豊富なアメリカ向けの方法でしょうか。
工兵＆工兵戦車・地雷除去戦車
工兵と工兵戦車・地雷除去戦車は、地雷埋設HEXに侵入すればほぼ確実に地雷を探知できます。さらにこれらのユニットには、隣接HEXからでも探知できる可能性があり、探知の成否は毎ターンチェックされます。
やはりこれが正統かつ一番効果的な方法でしょう。上述した「砲撃法」と併せて利用するのが最高の地雷発見法です。
この方法の特徴は、地雷の発見と除去が一気に行えるという点にあります。工兵は1ターンあたり1〜5個の地雷を除去できるので、上記2つの方法と違って、発見作業と除去作業を分けて時間をかけることなく突破できます。
地雷の除去方法
歩兵タイプのユニットによる地雷除去方法は、当サイトの「歩兵への道」・「工兵への道」を参照してください。ここではその他のユニットによる除去方法を解説します。
歩兵タイプ以外のユニットで地雷を除去できるのは、工兵戦車と地雷除去戦車だけです。この二つは隣接HEXからでも除去できるなど工兵と同様の機能を持ちますが、除去速度はやや遅いようです。
その他、上述のように20mm以上の兵器で直接・間接射撃することでも除去できます。とは言っても大口径砲ほど除去確率と1ターンに除去できる地雷数は多くなるので、実用性を考えれば81mm以上の火砲か150mm程度の直射砲（突撃砲など）が必要でしょう。
最も効果的なのは火炎放射器の直射です。特に火炎放射器を装備している工兵戦車が地雷HEXに隣接し火炎放射器を直射すれば、1ターンに10個程度（優秀な工兵のおよそ2倍）は除去できます。
これらの方法を組み合わせることで、より素早く地雷原を突破できるでしょう。
障害物の運用
以上紹介した3種類の障害物を利用するには、あらかじめ購入しておく必要があります。ただし、ゲーム中に工兵が配置する地雷は購入の必要はありません。
以下では、購入・配置の手順を紹介します。
障害物の購入
キャンペーンなどで障害物を設置するには、購入画面で地雷を買っておかなければいけません。購入画面では、ドラゴンティースも有刺鉄線も地雷と同じものとして扱われます。
購入兵科は"Misc"で、一番下に表示される"Mines/DT×5"を購入しておきます。なお、障害物は10個で「1単位」と数えられるので、このボタンを1回クリックすれば地雷にして50個買ったことになります。配置する際の最小単位は10個なので、1HEXに50個埋設するか、10個ずつ5HEXに埋設することができます。
地雷に関して言えば、1HEXに埋設された個数が多いほど被害発生確率も上昇し、その他の障害物でも設置数が多いほど除去に手間取るので、なるべく沢山買うのがポイントです。中途半端に買うとほとんど意味がありません。
障害物の配置
障害物を購入したら配置画面に移行します。配置画面で"X"キーを押すと障害物配置モードになり、画面右上部に右図のようなパネルが表示されます。
一番上のアイコン列が各種障害物配置ボタンで、2列目が取り消しボタンです。それぞれ左から地雷、ドラゴンティース、有刺鉄線に対応しています。配置も取り消しも1単位（10個）ずつ行われます。
1HEXに配置できる障害物の最小数は1単位（10個）で、最大数は5単位（50個）です。また上述したように、1HEXに複数の障害物を配置することも可能です。
ただし、自軍ユニットの配置と同じく、障害物が配置できるのは自陣営内に限られます。
まとめ
以上、3種類の障害物の特徴などを説明してきました。
地雷はどこにあるのかわからないという点が脅威になり、殺傷力ももっています。ドラゴンティースは車輌ユニットを完全に足止めできる利点があります。有刺鉄線は歩兵ユニットを素通りさせない検問所のようなものです。さらに、これらの特徴を組み合わせることでより効果的な障害物を構築することもできます。
しかし、実際にこれらの障害物をどう突破しどう守るかはまた別の問題です。どこにどの障害物を使えば効果的かは、地形や戦闘任務によっても違います。障害物は自陣営内にしか配置できないので防御側しか使う機会がないと思われがちですが、攻撃側でも、敵の側面迂回や戦線後方への侵入を防ぐのに役立てることはできます。
障害物を具体的にどう使うかは、「障害戦」で説明します。