「セイニー隊長、準備はすべて整いました」
「よし。全員に伝えろ。前進だとな」
俺は今、ストックを持ち、スキー板を履いて、雪原のど真ん中にいる。と言っても、この銀世界を楽しみにきたわけではない。ドンパチやりに来たのだ。
俺の名前は、正二面体。最も戦友は、俺の事をセイニーと呼ぶが。ついこの間の戦闘で、シュミット中隊長が負傷して後方送りになってしまったため、にわか仕立ての中隊長となった。
先ほど話しかけてきたのは、副官のマイヤーだ。軍隊に入ったころからの戦友で、中隊長になったときに、Katzen司令に頼んで、副官にしてもらった。気はいいのだが、一言多い奴だ。
「隊長。何をかいておられるのですか?」
「ああ、これか。Nor司令に提出するレポートだ。何でも、各国から集まった観戦武官の方々に戦況を説明するのに使うらしい」
「隊長がですか?」
「何が言いたい?」
「いえ。ついこの間まで初心者だった隊長がそんなの書いて役に立つのですかね?」
「お前に言われると腹が立つが、確かに俺の技量では、濃い戦況報告書はかけないだろう。しかし、俺には考えがある」
「考えとは?」
「長年の経験と勘を元に、戦術の裏を読み解いて見せるならば、Junkers司令にはかなわない。この激闘の興奮を読者にも伝えるならば、Katzen司令の足元にも及ばないだろう。しかし、初心者の視点からわかり易く伝えるのは、この俺が一番最適だと思うのだ。最近ここの将校も人手不足らしいからな。初心者の気持ちがわかる人間が書く事によってこのゲームのハードルを少しでも下げることが出来ないかと思ってな。」
「つまり、戦況報告の一番肝心のところは他人任せにすると言うことですね?」
「いちいち、突っかかるやつだな。そんなに副官を首にしてほしいのか?」
「いえいえ、滅相もない。幸い、このターンでは戦闘はおろか、敵の姿も見えませんし、字数を稼ぐにはちょうど良いネタですね」
「………。まあ、そういうことだ」
「しかし、何から書くのですか?」
「とりあえず、作戦だろう。初心者にもわかり易く書くため、用語の説明を入れたりしている。ベテラン指揮官の方にはくどいと思うが、そこのあたりはお許し願いたい。今回、わが軍は、Junkers司令発案の『春の嵐作戦』に基づいて行動する。この作戦の肝はずばり、『スキー兵』だ」
「と言いますと」
「今回の戦場は一面の雪原だ。ここではほとんどのユニットが腰まで積もった雪に阻まれ、移動距離が落ちてしまう。しかし、スキー兵ならばこの雪をモノともせずに進軍することが出来る。現に、Nor司令とStrand司令によるシュミレーションでは、通常の歩兵では移動力不足で役に立たないらしいからな」
「しかし、それぐらいなら誰にでも思いつくのでは?」
「確かに、スキー兵を普通に買うだけならな。だが今回は普通ではない。なんと、スキー兵を12個中隊そろえたのだ!」
「12個中隊ですと!歩兵だけなら1個連隊に匹敵するじゃないですか!」
「そうだ。本来ならば、軍の編成は砲兵や戦車などをバランスよく購入する。たぶん、普通に買えば6個中隊ぐらいが標準だろう。しかし、残念な事にこの時期のわが軍の戦車隊は性能的に敵戦車に対して劣勢にある。“戦車ならドイツ”と言うイメージからすると意外だがな。そこで、中途半端に戦車を買うよりは、戦車をすっぱりとあきらめ、文字通り『スキー兵を主力に』して戦うことにしたのだ」
「しかし、いくらなんでもそれは無茶じゃないですか?」
「意外とそうでもない。敵の戦車の第一目標は、こちらの戦車だ。もしこちら側に戦車がいない場合、敵の戦車は攻撃のタイミングを失い、無駄にターンを浪費してしまうだろう。さらに、戦車対策として配備されている対戦車砲や対戦車ライフルを無意味な兵器にしてしまうことで、相手の資金を浪費させることも出来る。敵戦車が後方に浸透して来た事を考えて、マップ内の砲兵(盤内砲)を購入する事はあきらめなければいけないが、スキー兵の数を頼りに強襲することが可能だ。わが軍だけで219ユニット(!)もあるため、一度に扱えるユニットの限界数(敵味方あわせて400まで)を超えそうで怖かったがな」
「数を頼りのごり押しがそんなに上手く行きますかね」
「確かにリスクはある。先程話に出た、お二人の司令によるシュミレーションでは、『守るソ連軍では質より数』と言う結論が出た。これを参考に、“畑で取れる”と言われるまで費用の安い徴募兵やサブマシンガン兵をそろえてくる可能性が高い。安い装甲車とあわせて数で押されると、戦車と言う火力がない分不利になる可能性はあるだろうな」
「スキー兵以外に何か買ったのですか?」
「一応、ドイツ軍の各司令官には、430ポイントの自由購入枠が与えらることになった。これでめいめい好きなユニットを買った様だ。ちなみに、この枠で弾薬補給車を買ったのは私だけだ。これが活躍してくれるとうれしいのだがな」
「活躍しそうにないから、他の指揮官は敬遠しただけでは」
「黙っていればわからなかったのに、言いやがって!」
「敵戦車に対してはどうするのですか?」
「スキー兵は、対戦車地雷を持っているのでそれで対応する事になる。一応、自由購入枠で50ミリ対戦車砲と28ミリ対戦車砲も買ってある。余談だが、はじめにJunkers司令が28ミリ対戦車砲を買うとおっしゃったときは、なぜもっと大口径のやつを買わないのだろうと疑問に思ってしまった」
「まあ、確かに購入画面で見る28ミリ対戦車砲のスペックは弱いですからね。実際に配置してみて、APCR弾(対戦車用の弾)がある事に気がついて、初めてその威力が理解できますものね」
「このゲームは、ユニットの情報画面がいくつかあって、それぞれ違う情報が載っているからな。一度にすべての情報が見られるようにしてほしいものだ。無料のゲームにそれを求めるのは酷かもしれんが。もっと欲を言うならば、ホームページのコンテンツに“編成将校への道”とかいうタイトルで、このあたりのノウハウを書いてほしいものだ」
「確かに、部隊購入は初心者には結構難しいですしね」
(正直、本当に書いてほしい。何とかなりませんかね、Nor司令?)
「そういえば、わが正二面体部隊はどんな方針で行くのですか?」
「とりあえずは、一番北部にある敵拠点(=ビクトーリーヘックス、ここを占領すれば勝ちに近づく)を目標にする。おそらくここは、敵の守りは他と比べれば薄い事が予想される。なぜなら、この拠点は他の拠点から遠く、部隊を動かすには融通が利かない。作戦の柔軟性がないと言っても良いだろう。普通はここに攻撃の重点を置く事はない。そのため敵も主力を置くつもりはないだろう。しかし、俺はその裏をかいて攻める事になるのだ」
「油断して、返り討ちに合わないでくださいよ」
「ふう、これだけ書けば良いだろう」
「確かにこれ以上、この駄文を読む気にはなれませんね」
「今回書いた事は、はっきり言って、ドイツ軍の作戦室(A軍作戦室)と言うところを見れば大概書いてある。おまけにこれを最初に見るのは、こんな事は百も承知のベテラン指揮官ばかりだろう。だが大目に見てやってほしい。少しでもこのゲームに参加する将校を増やしたいがために俺なりの努力をした結果なのだ。たとえこれが面白くなくても、この後に書く人は、(たぶん)別の司令官なので気を取り直して読んでほしい。きっと面白いはずだ。これを機に、さらにこのゲームが盛り上がる事を期待している。なあ、お前なら俺の気持ちを分かってくれるだろ、マイヤー。あれ、マイヤーはどこに行ったのだ。」
「いつまでしゃべっているのですか。部下たちは前進してしまいましたよ。さっさと行かないとおいていかれますよ」
「ま、待ってくれー」
ドイツ軍1ターン目終了
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