Command Control 01

Last updated on May. 12, 2007

"Command Control"(「指揮統制」、以下"C&C")はSPWAWの中で最も難解なルールで、一言でいえば、「全ての持ち駒(ユニット)を常にプレイヤーの思い通りに動かせるのは現実的ではない」という考え方に基づいています。

「無線が壊れて命令が伝わらない」「部隊が大混乱で掌握できない」などの「指揮官の思い通りに部隊を動かせない」状況をわざわざ作り出すために存在するルールなのですが、その仕組みを理解すればSPWAWをもっと楽しめるようになるでしょう。

目的の明確化

「目的の明確化」とは「作戦・戦闘方針を明らかにすること」です。誰に向かって明らかにするかといえば、まず最高指揮官であるあなた自身に対してです。つまり、シナリオを始める前に、どういう作戦・方針で戦うのかをはっきりと決めなければなりません。そこでまず、脳内作戦会議を開きましょう。

作戦会議

作戦会議の議題は、攻めるのか守るのか、攻めるならどこをどの部隊でどのように攻め、守るならどこをどの部隊でどのように守るのか、という点にあります。もちろん攻める場合は、どの部隊がどこを通って前進し、最終的にはどこに向かうのかも決めておく必要があります。真面目に考えればかなり面倒ですが、ここでできる限り詳細な作戦を立てておくことで、後の作業が楽になります。これらの点を脳内会議で決定したら、次にその結果を指揮下の部隊に伝達していきます。

 指揮下の各部隊への命令は、具体的には次の二点を伝達します。

体勢の指示

体勢の指示

体勢には"Advance"(進撃)と"Defend"(防御)があり、基本的に進撃体勢をとっている部隊は移動可能ですが、防御体勢をとっている部隊は一切移動できないことに注意してください。

しかし戦闘時のやられにくさという点では、基本的に進撃体勢の部隊は脆く、防御体勢の部隊は頑強です。また、防御体勢の部隊は"InCover"や"Entrenched"などの有利な状態をとりやすくなり、特別臨機射撃を得る機会が多くなるという利点もあります。

ここでは、その部隊を攻撃に使うのか防御に使うのかという最高司令部作戦会議の決定にしたがって指示していきます。ほら・・作戦会議がいい加減だと困るでしょう。


移動目標地点の指示

移動目標地点の指示

次に、移動目標地点を指示します。

原則として、部隊の移動できる範囲は右図のように、「現在地を扇の根本として、移動目標地点を扇の頂点とする弧状の範囲」だけになるので、この移動目標地点の指示はおろそかにしてはいけません。

移動目標地点はシナリオ中に何回でも変更できますが、後述する通り命令ポイントを消費してしまいます。したがって何度も変更しなくてもすむように、最初から汎用性の高い地点を指定するのがよいでしょう。


移動目標を指示する単位は小隊(編隊;Formation)です。ある小隊に属する一分隊に対して移動目標を指定すれば、その小隊の他の分隊にも適用されます。基本的には、防御体勢の部隊も含めて全ての小隊に移動目標を指示します。

部隊が多い場合は大変な作業ですが、戦争は面倒なものだとあきらめて下さい。実は、移動目標を全部隊に一括指定するボタンもあるのですが、そうすると作戦もへったくれもなくなるのでオススメできません。

こうして指定した移動目標地点により、各小隊の移動可能範囲が決定され、移動可能範囲内であれば制限なく移動できるようになります。しかし移動範囲外に移動したい時は?もちろん、状況によってはそれも可能です。詳細は後述します。

発令者の存在

ここまでは、シナリオ開始前に必要な過程でした。ここからはいよいよシナリオを開始した後の話です。

SPWAWの指揮統制ルールでは、命令を必要とする行動が数種類決められており、「その種の行動をとるには部隊指揮官の持っている命令ポイントを消費する」という方法で、発令状況をシミュレートしています。つまり前提として、命令ポイント(Order Point)を持った発令者がいなければ、特定の行動は取れないという点を理解して下さい。

命令ポイント

命令ポイント

命令ポイントは、毎ターン開始時に全編隊指揮官に与えられます。あえて編隊(Formation)と書いたのは、部隊の中には小隊編成をとらないもの(FOやSniperなど)もあるためです。通常はこれらを含む小隊以上の指揮官に支給されると理解して下さい。


支給命令ポイントは、次のような数式に基づいて算出され、最低でも毎ターン1ポイントは支給されます。

指揮評定値

「指揮評定値」とは、その指揮官が指揮している兵科に対する技能評定値で、例えば歩兵ユニットの指揮官なら"Inf Command"値が使用されます。

この点から、キャンペーンにおいてその指揮官が不得意な他兵科へアップグレードすることは、支給命令ポイントの減少につながることが分かります。

また、「国籍別指揮評定値」の具体的な値というのは全くのブラックボックスなのですが、どこの国がどの兵科の指揮が得意なのかは・・だいたい分かりますね。少なくとも、ドイツは装甲、アメリカは火砲、日本は歩兵というのは間違いないでしょう。


指揮官階級と部隊状態

階級持ち越せる命令ポイント
兵卒(Private)0
伍長(Corporal)0
軍曹(Sergeant)1
少尉(2nd Lt.)1
中尉(1st Lt.)1
大尉(Captain)2
少佐(Major)2
中佐(Lt. Col.)2
大佐(Col.)3
将官(General)3

上述した要素の他に「指揮官の階級」は、前ターンで使わなかった命令ポイントを次のターンに持ち越せる数に影響します。

具体的には右の表のようになり、階級が高い指揮官ほど命令ポイントを多く持ちこせることがわかります。

総命令ポイントは「前ターンからの持ち越し数+ターンごとの支給数」なので、階級が高い指揮官は、命令ポイントを貯めて、一気に複雑な命令を下すというワザが使えるのです。


さらにもう一つ、保持する命令数とは別に、実際に使える命令数に影響する要素があります。

部隊の状態有効命令数
通常(Ready)変動無し
釘付け(Pinned or Buttoned)半減
退却(Retreating)ゼロ
潰走(Routed)ゼロ

それは「指揮する部隊の状態」です。敵の砲火にさらされて頭も上げられず、副官はどこにいるかわからない、兵士たちには死傷者が続出、という状態を想像してください。当たり前のことですが、整然と行軍している時にはキビキビと命令を下す指揮官でも、自分の部隊が敵の攻撃をうけて大混乱になっている時は命令を下せないのです。

具体的には右表のようなルールに従いますが、これはあくまで利用できる命令数に影響するだけで、保持している命令数がなくなるわけではないことに注意してください。


命令事項と消費ポイント

命令事項消費命令ポイント
体勢の変更(ユニット単位)1 or 2
体勢の変更(編隊単位)3
移動目標地点の変更(編隊のみ)3
移動可能範囲外への移動(1ユニットにつき)1 or 2
砲撃要請(1火砲につき)1

シナリオ開始後に発令できる事項と消費する命令ポイントをまとめたのが右の表です。

体勢の変更については、1ユニット(通常は分隊)単位でも、編隊(通常は小隊)単位でも変更命令を出すことができます。


気になるのは、消費ポイント「1 or 2」というのは何?ということでしょう。これは、発令者がどのような通信手段で命令を伝達しているかによります。

SPWAWの命令伝達手段には、無線通信(Radio)と物理的な通信という二種類があり、無線通信は物理通信より常に1ポイント多く命令を消費するのです。

命令伝達方法

いかに発令者が命令ポイントを貯め込んでも、それを指揮下の部隊に伝える方法がなければ意味を成しません。前述の通りSPWAWの命令伝達方法は、無線通信と物理的通信の二種類があります。

通信手段

無線通信

無線による命令伝達の特徴は、


という点にあります。

通信距離制限がないというのは大きなメリットですが、国籍・年代・部隊によって無線装備率には格差があります。

どの国とは言いませんが、大戦初期の貧乏国はほとんどの部隊が無線を装備しておらず、歩兵部隊で無線を装備しているのは司令部とFOだけという状況です。

さらに無線機を装備していたとしても、攻撃をうけて壊れたり、原因不明の連絡不調が発生することもあるのが無線通信最大の弱点です。

ここ一番の大事な時に無線機が壊れるというのは戦争映画でよく見る場面ですが、実際この時代の無線機は機械としての信頼性が低かったらしく、この点はSPWAWでも再現されているのです。

物理的通信

一方、物理的な通信手段には、目と目で意志を伝えるアイコンタクトや戦争映画ではおなじみの手信号の他、単純な音声通信(大声で叫ぶ)などが含まれると考えられます。この特徴は、


という点にあります。いつでもどの部隊でも利用できるという点が大きなメリットですが、わずか3HEX(約150m)の距離でしか通信できないという不便さがあります。

命令を伝達するには、発令者・受令者ともこの二種類の通信手段のうちどちらかが有効でないといけないのです。どちらの通信手段も使えない部隊は「指揮統制外」にあると見なされるので、上述した命令を必要とする行動は一切とれなくなります。

指揮系統

軍隊は厳然たる指揮系統に基づく命令伝達によって機能します。階級の高いエライさんが戦況を判断して命令を下し、しかるべき命令系統を通って伝達され、命令が遂行されるわけです。

ではそのシナリオで一番エライのは誰か?もちろん全てを操る「あなた」を除けば、通常ゲームの中では大佐クラスが配属されているA0ユニットです。A0指揮官の階級はシナリオによっては中佐だったり将軍だったりしますが、いずれの場合も「大隊長」に相当する職分になります。

シナリオを開始した後は、この「大隊長」A0指揮官を頂点とするピラミッド型の部隊階層に基づいて命令が伝達されていきます。ただしこれは階級とは関係ありません。場合によっては小隊長の階級は中尉だったり軍曹だったりするのですが、あくまで「小隊長」という職分が基準になります。

つまり、命令は、「大隊長」→「中隊長」→「小隊長」→「分隊長」という経路で伝達されるのです。

ここで注意すべきなのは、「大隊長」「中隊長」「小隊長」は命令ポイントをもっている指揮官であるのに対し、「分隊長」は命令ポイントをもっていないことです。したがって、指揮統制ルール下での最小構成単位は、小隊にあると考えるべきです。前述の移動目標地点を小隊ごとに指定したのもこのためで、同一小隊のメンバーは常に同じ目標に向かって行動すべきなのです。

ところで、小隊長が命令ポイントをもっており自分で命令が出せるなら、中隊長や大隊長は必要ないじゃないか!と思うかもしれません。実に良い質問です。

命令ポイントの授受

上述の通り、階級の低い指揮官は持ち越せる命令ポイントが少ないというのがミソです。さらに一般的に言えば、小隊長クラスの指揮官は指揮能力が低いので毎ターンもらえる命令数も少ないのです。

ということは、小隊長だけでは命令ポイントが足らない、という場面も想像できますね。ここで先ほど長々と説明した「指揮系統」がいきてくるのです。下位の指揮官の命令ポイントが足らない場合は上位の指揮官の命令ポイントも使えるようになるのです。

つまり、命令ポイントが小隊長だけで足らない場合は、連絡のある中隊長の命令ポイントを使えるのです。さらにその中隊長の命令ポイントでも足らなければ、連絡のある大隊長の命令も使えるのです!

ここで大事なのが「連絡のある」という点です。例えば「C0小隊長」が「B0中隊長」の命令を使うには、両方の部隊長が上述した二種類の通信手段のうちのどちらかが有効でなければならないのです。

分かりやすく言えば、「B0中隊長」と「C0小隊長」が3HEX以内の距離にいるか、両方とも無線を装備しており無線連絡ができる状態、でなければならないのです。

小テスト

ではここで問題です。「C0小隊長」は無線をもっていませんが、「B0中隊長」の3Hex以内にいるので物理的連絡は取れています。「B0中隊長」は無線を持っており、無線を通じて遠く離れた「A0大隊長」と連絡があります。もちろん「C0小隊長」は無線がないので「A0大隊長」とは連絡がありません。

ここで「C0小隊長」も「B0中隊長」も命令ポイントがなく「A0大隊長」のみ命令ポイントをもっている場合、「C0小隊長」が「A0大隊長」の命令を使うことはできるでしょうか?

・・・答えは「できる」です。間に何部隊挟んでも、直接・間接的に連絡さえ取れていれば命令の授受は可能なのです。

今度は応用問題です。「A0大隊長」のもとに「B0中隊長」と「F0中隊長」という中隊が2つある場合です。「B0中隊長」の下には、「C0小隊長」「D0小隊長」「E0小隊長」という3個小隊があり、同様に「F0中隊長」の下にもG・H・Iという小隊があるとします。この時、「C0小隊長」は「F0中隊長」の命令ポイントが使えるでしょうか?もちろん両者の間には物理的連絡があるとします。

・・・答えは「使えない」です。「C0小隊長」にとって「F0中隊長」は異なる指揮系統の上官なのです。「C0小隊長」が属する指揮系統の上官は、「B0中隊長」と「A0大隊長」だけなのです。したがって、この二人からしか命令ポイントを貰うことはできません。この点は、キャンペーンをプレイする際には非常に重要なポイントです。

もう一つ、命令の授受には条件があります。

原則として、上官の命令を使うには、下級部隊の命令ポイント数がゼロになっていることが必要です。「原則として」というのは、例外があるこということですが、この辺りの細かな条件についてはわかっていません。しかし、命令ポイントが1つでも残っていれば、上級部隊の命令を使えないことがあるのは確かで、そういう場合の対処法もあります。

例えば、C小隊の移動目標地点を変更したいのに「C0小隊長」の命令ポイントが1だった場合、C小隊に属する分隊をわざと移動範囲外に動かして命令ポイントを消費するというワザを使います。そうすれば、「B0中隊長」や「A0大隊長」の豊富な命令を使って、移動目標の変更という高価な命令を実行することができるのです。

受令者の存在

指揮系統の項で説明した通り、指揮統制ルールのもとでは常に「小隊単位」を意識して行動する必要があり、命令系統の中で分隊長だけは命令ポイントを持っていないことも説明しました。つまり、分隊長は指揮官とはいうものの、命令されっぱなしなわけです。実際、映画でも分隊を率いる軍曹や伍長はツライ役回りですね。

分隊ユニット

このように一方的に命令をうける立場の分隊ユニットとしては、常に命令を受けられる状態でいることが求められます。平たく言えば、直属指揮官の小隊長から離れないことが何より大事であり、同一小隊に属する分隊ユニットは全て小隊長ユニットの3HEX以内にいれておくのが基本です。

また移動する際は、分隊を先に動かして小隊長は最後に動かすことも大事です。こうすればほぼ間違いなく指揮統制内で命令を受けられるのです。

命令受信不能

命令されるために頑張るというのも何だか悲しい話ですが、自発的に行動できない分隊にとって一番恐ろしい事態は、命令受信不能になってしまうことなのです。


例えばシナリオ開始時に指定した移動目標地点が、実は誤った作戦である(例えばその方向に敵はいない)ことが判明し、途中で小隊の移動目標地点を変更しなければならないとします。

この時、C小隊のうち「C1分隊」だけが「C0小隊司令部」から4HEX離れていたとします。もちろん無線も持っていません。この状況で「C0小隊長」の命令によってC小隊の移動目標を変更した場合、「C1分隊」には移動目標地点を変更したという命令が伝わらないのです。

こうなると「C1分隊」ができることは、最初に指示された「あさっての方向にある」移動目標地点めざして移動することと、見える範囲にいる敵と交戦することくらいです。

移動できる範囲内に上級司令部がいれば小隊に復帰できる見込みもあるのですが、進行方向がまるで違う場合、直属の「C0小隊長」やさらに上級の部隊長がわざわざ3HEX以内に近づいてくれない限り、自分から近寄っていくことさえできないのです。

つまり完全な「はぐれ部隊」になってしまい、戦闘に参加できないばかりか、敵のまっただ中に取り残される可能性しか残されていないのです。

分隊長の発令

分隊指揮官は命令ポイントを持たない、と説明しました。しかし分隊指揮官でも指揮系統内にいる限り、上級指揮官の命令ポイントを使って発令することはできます。

通常、あえて分隊長に命令を出させるメリットはあまりありませんが、砲兵が自ら砲撃する場合や、火砲指揮技能値の高い分隊長に砲撃要請させるという使い方が考えられます。

分隊長が命令を出す場合も、上述した指揮系統にもとづく命令ポイントの授受が適用されます。つまり「C1分隊」が直接・間接問わず「A0大隊長」と連絡があれば、「A0大隊長」の命令ポイントを使って発令することができます。

独立行動

ここまでの説明で、指揮統制ルール下では小隊単位の行動が基本となり、なるべく全ての分隊ユニットを小隊長の指揮統制内にいれて受令できるようにすることが重要だということはわかったと思います。

ということは、分隊ユニットが小隊長からポツンと離れて行動することはできないのでしょうか?いや、もちろん可能です。これまでの説明でわかる通り、無線を装備しているユニットなら、無線機が正常に動作している限り、どれだけ他の部隊から離れていても連絡を取れるのです。実際に大戦当初のドイツ軍は戦車一輌一両に無線機を積んでいたので、各車輌がある程度自由な独立行動をとることができたのです。

分隊が独立行動を取るもう一つの方法は、最初から目的にかなった移動目標を与えておき、途中でわざとその分隊だけ指揮統制外に置いて移動目標を変更するという方法です。上述した悪い例を逆手にとるわけです。

こうすることで、小隊の中である分隊だけが違う目標地点に向かって移動することができます。ただし、無線をもっていなければ再び命令を伝えることはできなくなります。

では特殊部隊やゲリラなど基本的に単独行動をとるのが任務の部隊は?という疑問が湧いてきます。なるほど、良い質問です。

偵察能力と移動制限ルール

偵察能力

結論からいうと、"Recon"(偵察)能力をもっているユニットは、移動目標地点の指定によって移動の制限を受けません。

移動目標地点の項では、部隊の移動できる範囲は「現在地を扇の根本として、移動目標地点を扇の頂点とする弧状の範囲」だけになると書きましたが、このルールは偵察能力があるユニットには適用されないのです。

つまり、"Recon"(偵察)能力をもっているユニットは、指揮統制ルールをオフにしているのと同じように、移動範囲の制約も命令の消費も必要なく、自由に移動できるのです。

例外はありますが一般に偵察能力をもつ部隊といえば、車輌系や歩兵系の偵察部隊、騎兵やスキー兵、狙撃兵、ゲリラや特殊部隊、空挺部隊などで、ほとんどが偵察任務に当たるものか、主力本隊から離れて単独行動を任務とするものです。これらの部隊は任務の性質上自分で判断して移動する必要があることから偵察能力をもっており、移動制限ルールの適用外になるのです。

さらに移動制限ルールの適用外とするために、わざと偵察能力を付与されるユニットがあります。それは「中隊長ユニット」です。

中隊長は「A0大隊長」の次に高位の指揮官であり、独自の判断と自由裁量権が求められます。この点を再現するために、中隊長ユニットには偵察能力が付与されるのです。

上記「中隊長ユニット」以外のユニットは、いわば固有の偵察能力であるのに対し、この「中隊長ユニット」は、もともと偵察能力を持っていない部隊でも中隊規模で購入すれば自動的に中隊長に偵察能力が付与されるという点が決定的に異なっています。

つまり、普通のライフル兵でも戦車でも中隊規模で購入しさえすれば、中隊長が偵察能力付になるのです。この点は単発シナリオでは特に意識する必要はありませんが、「部隊購入」の機会があるキャンペーンで大きな意味を持ちます。

カンの良い方はここで気づいたでしょう。自由裁量権を表現するために中隊長に偵察能力が付与されるなら一番エライ大隊長は・・そうです。大隊長たるA0ユニットにも常に偵察能力が与えられるのです。

これらの部隊は指揮統制ルール下でも移動に関しては全く制限をうけないので、極端な話、移動目標地点を指定する必要さえないのです。ただし、その他の命令を必要とする行動−体勢の変更と砲撃要請−に関しては、他の部隊と同様の制約を受けます。

まとめ

指揮統制ルールをオンにしている状態で最もよくある質問は、「ユニットが一歩も動けない!」というものです。ここまで読めば、その原因はもうわかるでしょう。可能性は二つです。移動目標地点を指定していないか、体勢がDefendになっているかです。

次に多い質問は「ユニットが特定の方向にしか動けない!」です。これは当然。偵察能力を持っているユニットでない限り、移動目標地点の方向にしか動けないのは当たり前なのです。もちろん命令ポイントを消費すれば制限なく移動できますが、そのためには上位の指揮官と連絡があり、命令ポイントも充分にないといけません。

以上、"Command Control"ルールをオンにしてプレイする場合に最低これだけは知っておきたい事項を説明してきました。書ききれないことも多いのですが、これだけ知っておけば、C&Cにまつわるかなりの疑問が解消するのではないでしょうか。しかし、本稿はあくまで「理論編」という位置づけなので、具体的な操作や細かいノウハウは書いていません。これらについては「実践編」で解説します。