この火砲演習キャンペーンでは、SPWAWにおいて最も重要かつ最も複雑な火砲の操作方法について説明します。キャンペーンは2つのシナリオで構成されています。まずシナリオ1では盤外火砲(OffBoard Artillery)の基本操作方法を習得しましょう。
ブリーフィング
本演習ではプレイヤーは日本軍を担当します。登場ユニットは以下の通りです。
- 前進観測部隊
- Fwd Observer×1
- Type95 FO Veh×1
- Type100 Te-Re×1
- 盤外砲
- 75mm Type38 Bty×1
- 105mm Bty×1
- 150mm Bty×1
- 20cm Rocket×1
- Lge Naval Guns×1
前進観測部隊
本シナリオには3種類のFOユニットが登場します。それぞれ異なる特徴がありますが、全てに共通しているのは、
- 偵察能力(Recon Ability)をもっており、
- FO以外の同種ユニットと比較すると、火砲技能値(Artillery Skill)が高い
- FO以外の同種ユニットと比較すると、戦闘能力(攻撃・防御)が低いor皆無
という点です。

"Fwd Observer"は、徒歩移動する歩兵ユニットで、文字通り「前進観測員」です。"Forward Observer"クラスに分類される歩兵タイプのユニットは、
- 移動力が少ないが、車輌が入れない地形でも移動可能
- 車輌に比べると、圧倒的に発見されにくい
という特徴を持っています。

"Type95 FO Veh"は、「くろがね四起 九五式偵察・指揮車」で無装甲の偵察車輌です。ぶっちゃけるとタダの自動車です。"FO Vehicle"クラスに分類される装輪車輌タイプのユニットは、
- 装甲・武装とも皆無に近い。
- 整地走行能力が高く、不整地走行能力は低い。

"Type100 Te-Re"の正式名称は「一〇〇式観測挺進車テレ」で、九七式軽装甲車をベースにした砲兵用観測車です。"Tracked FO Vehicle"クラスに分類される装軌車輌タイプのユニットは、
- 軽装甲・軽武装(ただしFOの中では最も戦闘能力がある)
- 不整地走行能力は高く、整地走行能力は低い。
という特徴を持っています。
一口にFOといっても、上記のようにクラスによって特性に違いがあるので、状況によって使い分けましょう。
しかし、FOユニットはほとんど攻撃力・防御力を持ってないので、戦闘に参加するのは無謀です。FOユニットの役割は、「発見されず観測し、砲撃要請する」ことなのです。
盤外火砲
日本軍といえども(?)多数の火砲をもっています。砲種や口径の違いをわかりやすくするため、ここでは以下の盤外砲ユニットを用意しました。
残念ながら、これらの火砲は「盤外」ユニットなのでマップ上に表示されませんが、口径や砲種によって砲撃音が異なるので存在感は楽しめます。各火砲は口径や砲種が異なります。まずはエンサイクロペディアを開いてその違いを確認しておきましょう。
なお、"Bty"という表記は「砲兵中隊(Battery)」を表します。これは通常4門の砲から編成され、操作する兵員も数十人規模のユニットです。火砲−特に盤外砲は集中運用してこそ意味があるので、キャンペーンなどでは、単発の砲よりもこの砲兵中隊規模で購入したほうがよいでしょう。

"75mm Type38 Bty"は、日露戦争から第二次大戦期まで活躍した「改造三八式野砲」の砲兵中隊です。

"105mm Bty"は、「九二式10糎加農砲」の砲兵中隊です。

"150mm Bty"は、「四年式15糎榴弾砲」の砲兵中隊です。

"20cm Rocket"は、「四式20cm噴進砲」です。

"Lge Naval Guns"は、戦艦クラスの艦載砲です。
さて、これら5種類の盤外砲のスペックを見比べてみると、さまざまな違いがあることがわかります。まず同じ盤外砲でも分類されるクラスが違います。最初の3つは"Offboard Artillery"(盤外砲)クラスで、ロケット砲と艦載砲は独自クラスに分類されます。
次に砲門数をみると、75mm〜150mmまでの3つの砲は全て砲兵中隊なので4門の砲で構成されていることがわかります。それに対しロケット砲は1門、艦載砲は3門です。同じ1ユニットでも、砲門数が多い方が「手数が多い」ので有利なことを覚えておきましょう。
盤外砲のスペックを見るとき、重要な項目は"KILL"・"PEN"・"RANGE"・"WARHEAD"です。
まずは"RANGE"を比較しましょう。この項目は、射程距離をHex単位で示しています。この値が大きいほど遠くまで撃てるということです。口径が大きくなるに従って射程も長くなっているのがわかります。
しかしロケット砲は例外で、75mmと同じ射程しかありません。そうです。ロケット砲は口径に関わらず射程が短いということを覚えておきましょう。
ただし、盤外砲の射程が足りないという状況が発生することはほとんどありません。上記火砲の中で最小射程は75mmとロケット砲の128ですが、X軸が128HEX以上あるマップはほとんどないのです。
この項目は、敵の盤外砲との砲撃戦「対砲兵射撃(Counter Battery Fire)」が発生する条件に関わります。対砲兵射撃では、射程の長い盤外砲は射程の短い敵の盤外砲を一方的に砲撃できるのです。
"KILL"・"PEN"・"WARHEAD"の値はいずれも兵器の威力を示しています。"KILL"値は対ソフトスキン殺傷力を示し、大きいほど殺傷力が高いことになります。ちなみに値"1"はピストル並の殺傷力を示します。
"PEN"値は装甲貫通力を示し、大きいほど装甲標的を貫通する確率が高くなります。
ちなみにコロンの左側はHE弾を使用した場合で、右側はAP弾を使用した場合の貫通力を示します。「改造三八式野砲」だけはAP弾を使用した場合の値が掲載されていますが、これはAP弾を保有する盤内砲バージョンのみ適用されます。
"WARHEAD"値は弾頭サイズを示し、HE弾の命中時に与える抑圧(Suppression)の大きさを決定します。値が大きいほど強力で、この値が"9"以上だと着弾した隣接HEXにも損害を与えます。
これらの3つの威力指数は、口径が大きくなるほど強力になっているのがわかります。では口径の小さな火砲にメリットはないのか?いえいえ、当然あります。"Rate of Fire"値を比較してみましょう。この値は1ターンに射撃できる回数を示しています。値が大きいほど撃てる弾が多いということです。この値は口径に反比例しています。
小口径砲のメリットはそれだけ?いえいえ、まだまだあります。しかしそれを解説する前に、そろそろキャンペーンを開始してみましょう。
キャンペーンの準備
付属のreadme.txtに従って、必要なファイルをコピーしましたか?Preferencesの設定は指示通りになっていますか?
これらを確認したら火砲演習キャンペーンをスタートしてください。
ユニット購入

キャンペーンを開始すると、ユニット購入画面が開きます。購入ポイントは40円しかありませんが、ちょうどFOが一つだけ買えます。
左端の兵科選択ボタンから"Artillery"を選び、ユニット一覧表の下から3番目にある"Forward Obs"を選びましょう。
するとFOユニットの詳細データが表示されます。
ここで左上の"BUY"ボタンを押して購入します。お釣りがないことを確認し、"EXIT"ボタンを押せば終了です。
続いて陣営設定画面になりますが、何も変更する必要はありません。"Continue"ボタンを押して進みます。
次はサポートユニット購入画面ですが、予算が無いので飛ばしてください。
ユニット配置

次に右図のような画面が表示されます。
"Human Deploy"ボタンを押して配置画面に入ります。まあ配置すると言っても、手持ちのユニットはFOが一つだけですが。

まずはマップ全体を見回してください。マップは上下に分割されており、画面左上方に"FO"と書かれたHEXがあるはずです。
購入したFOユニットをこの真上に配置してください(右図はFOの文字を見やすくするために、わざと1HEXずらしています)。
砲撃画面

まだ配置画面を閉じないでください。画面右側のツールバーにある砲撃ボタンを押すか、"B"キーを押してください。砲撃画面が開きます。
砲撃画面(Bombardment Screen)は、大きく2つの部分から構成されています。上側には砲撃要請される側である火砲ユニットの一覧が表示され、下側には砲撃要請する際の補助ツールボタンが並んでいます。ボタンがたくさんあるので、それぞれの意味を理解しておきましょう。

砲撃画面の右上には「間接砲撃できる」火砲の一覧が表示されます。直接砲撃しかできない火砲は表示されないことに注意してください。
各行には多くのボタンがありますが、これらのボタンは以下のような機能をもっています。
- 「名称」ボタン
- クリックするとカーソルが直前に指定された照準HEXにジャンプ。マップ上で直前の照準HEXを選択している場合、名称ボタンは押した状態になりユニット名が緑色で表示されます。
- 「データ」ボタン
- ユニットデータ画面を開く。盤外火砲ユニットのデータはここでしか見られません。
- 「HE弾」ボタン
- 照準地点に通常弾(HE弾)を射撃する。弾切れや連絡不能の場合は暗転。
- 「煙幕弾」ボタン
- 照準地点に煙幕弾を射撃する。弾切れや連絡不能の場合は暗転。
- 「取消」ボタン
- 進行中の砲撃命令を中止する。ただしC&Cオンの場合、砲撃要請で消費した命令は戻りません。
- 「照準修正」ボタン
- 選択された照準を修正移動する(一回につき最大2HEX)
- 砲撃遅延時間
- 選択された照準に着弾するまでの時間。この数値が小さいほど砲撃要請〜着弾までにかかる時間が短い。

砲撃画面の下部は右図のようになっています。
左上の"Hidden"となっているボタンは航空機の進入・退出地点を指定するためのものです。ここをクリックすると"Displayed"に変化し、最下部のミニマップ上に6つの矢印が表示されます。これは航空爆撃の際しか使用しないので、ここではおいておきます。
その隣にあるのが"Target"ボタンです。これは事前照準を指定するためのボタンで、配置画面でしか表示されません。ゲームを開始すると表示されなくなるので注意してください。
その下に表示されているボタンは、左から順に「マップ拡大」「マップ縮小」「現観測部隊に移動」「終了」ボタンです。
マップの拡大・縮小ボタンは、選択されているマップ上のHEXを中心に、拡大・縮小表示をおこないます。このボタンを使って、砲撃照準地点付近の様子を見ることができます。
現観測部隊ボタンを押すと、現在砲撃を要請しているユニットに移動します。
終了ボタンは、砲撃画面を閉じます。
最下部に表示されているミニマップでは、現在表示されている範囲が、マップ全体から見てどの部分かを赤枠で表示しています。
事前照準指定

では、事前照準を指定してみましょう。マップ下側にある"Target?"と表示されているHEXがありますね。ここに事前照準を指定してみましょう。

まず"Target?"HEXをクリックし、画面右側の"Target"ボタンをクリックします。
すると右図のようになったはずです。これで事前照準1が指定できました。
事前砲撃

続いて砲撃要請を行いましょう。マップ上右側には放射状に文字がたくさん書いてある場所があります。その中心に"@"が表示されているHEXがありますね。ここを照準地点とします。
まずこのHEXをクリックしてください。
すると、各火砲ユニットの砲撃遅延時間の表示が1.1になったはずです。つまり、購入したFOで
しかし今回のように、配置画面で砲撃要請する場合は、実際の砲撃遅延時間は0になり、ゲーム開始直後に着弾します。

では実際に"75mm Type38 Bty"の「HEボタン」をクリックしてください。
砲撃遅延時間は0と表示されたはずです。配置画面で砲撃要請(事前砲撃)すると、常にゲーム開始直後に着弾することを覚えておきましょう。
ETA指定砲撃

次に、ETA(到達時間)を指定した砲撃要請を行いましょう。これも配置画面でしかできない機能で、ゲーム中にはETA指定はできません。
照準地点は"@"HEXのままで動かす必要はありません。
この状態で、キーボードの"T"キーを押すと右図のように「何ターン目に砲撃するか」という表示がでたはずです。
ここでは1ターン終了時に着弾するようにしてみます。
キーボードから"1"と入力して"Enter"キーを押してください。

そして最後に、砲撃させたい火砲ユニットのHEボタンをクリックします。ここでは"105mm Bty"のHEボタンを押してください。
遅延時間の表示が右図のように1.0になったはずです。

ETAの指定方法はわかりましたか?それでは、残り全ての火砲にもETAを1ターンずつのばして砲撃要請してみましょう。
つまり、"150mm Bty"には2ターン目、"20cm Rocket"には3ターン目、"Lge Naval Guns"には4ターン目を指定します。
全て正しく指定すれば右図のようになっているはずです。
以上で配置画面での作業は終了です。
砲撃画面を閉じ配置画面も終了して、いよいよゲームを開始しましょう。
演習開始
Turn 1

ゲームを開始すると、1ターン目が始まる直前(0ターン目)に、さきほど指定しておいた"75mm Type38 Bty"の砲撃が開始されたはずです。着弾地点を確認する前に、もう一度マップ全体を見渡してみましょう。
マップ全体図は右のようになっています。大きく上下に分割されており、上の方は的が描かれた射撃練習場、下の方は実戦場で、まだ見えませんが敵が配置されています。道路の東端には米軍側のVHが存在します。
まずは射撃練習場を使って、各火砲の着弾傾向を観察しましょう。

では"75mm Type38 Bty"の着弾地点を見てみましょう。
砲撃がどこに着弾するかは、FOや火砲の能力だけでなくランダム要素にも影響されるので、全く同じ環境であっても同一の結果にはなりません。ですから以下の説明はあくまで一例だと思って読み進めてください。
私の場合は右図のように着弾しました。"Fast Artillery"設定をオフにしているので、砲弾が一発ごとどこに着弾したかがわかりやすいと思います。また、右図では着弾地点を見やすくするため、ボタン("U"キー)で煙幕表示を消しています。
この砲撃結果からいくつかわかることがあります。
まず最初に、必ずしも全弾が照準地点に命中するわけではなく、着弾にはばらつきが生じること。例えば今回の場合は照準地点から最大で3HEX離れていますが、このばらつきの度合いは大口径砲ほど大きくなります。
さらに着弾点は、全体的に照準地点の手前(左側)に集中していることがわかります。照準地点を越えて着弾したのはわずかです。このように、砲弾は常に自陣営側に多く着弾するという傾向があります。
次に、着弾によって地面に穴があいたのに気づきます。この砲弾孔はグラフィック効果の問題だけなく、ユニットにとっては遮蔽物になり、完全な開豁地よりはいくらか防御効果が高くなるのです。
最後に、"@"HEXを狙って砲撃したのに、あまり命中していないことが気になったかもしれません。しかし、間接照準射撃とはそういうものだと思ってください。50m四方をピンポイントで砲撃することは、この時代の兵器性能では不可能なのです。砲撃の目的は、一定範囲に存在する敵地上部隊に抑圧を与えることなのです。

ではゲームに戻りましょう。
購入したFOユニットを選択した状態で、砲撃画面を開いてください。
"75mm Type38 Bty"は再び砲撃可能な状態になっており、その他の火砲は砲撃遅延時間が1.0ずつ低下していますね。"105mm Battery"の遅延時間は0.0になっているので、このターンを終了した直後に着弾します。
それでは第一ターンを終了してください。
Turn 2〜5
今度は"105mm Battery"の砲撃が着弾しました。75mm砲より砲撃音も砲弾孔も大きくなりましたね。この射撃場には敵はいませんが、もちろん殺傷力も大きくなっています。そしてもう一つ大きくなったのが、着弾の散らばりです。口径が大きくなるほど散らばりも大きくなりますが、着弾が照準のやや手前に集中するという点は同じです。
それでは、第5ターンになるまで進めてください。
ターンを進めていくと、150mm砲、ロケット砲、艦載砲の順に砲撃が行われます。各火砲の着弾の様子を観察しておいてください。

右図は、第5ターン開始時点での着弾結果例です。およそ南北に6HEX、東西に4HEXに着弾が散らばり、照準地点から最も遠いのは南西に6HEX離れたロケット砲の着弾です。
もちろん砲撃結果にはランダム要素がからむので、常にこの例の通りにいくわけではありません。しかし全体を見ると、着弾は明らかに照準地点の手前と上下に集中しているはずです。
この着弾傾向が把握できたら、本演習の第一部は終了です。続いてマップ南側を使って演習第二部を開始しましょう。
第5ターンは何もせず終了してください。
Turn 6

演習第二部の目的は、あらかじめ用意されている3種類のFOと盤外火砲を使って、道路東端の米軍VHを奪取することです。VHの価値は500点。これをシナリオが終了するまでに奪取できれば、勝利を収めることができます。
マップ西側中央には、右図のように"Type95 FO Veh"が配置されています。どうやら敵は"Target?"と表示された付近の高地にいるようなのですが、正確にはどこにいるかわかりません。
では"Type95 FO Veh"で偵察してみます。
まずユニットをクリックしてください。
暗転しているHEXが移動範囲です。移動距離が長いのは装輪車輌の利点でしたね。
それでは"A"と表示されたHEXまで移動してみましょう。

・・・本当に移動しましたか?轟音とともに敵の射撃を浴びてしまいましたね(笑)。
運がよければ敵の臨機射撃2発をかわしたかもしれませんが、運が悪ければ一撃で炎上してしまったかもしれません。
そうです。車輌系のユニットは非常に簡単に発見されてしまうのが欠点なのです。敵に見つからず敵が見える地点まで移動しなければならないFOとしては、これは非常に大きなデメリットです。
さらに、運良く臨機射撃をかわして生き延びたとしても、撃ってきた敵の姿を発見できないはずです。FOユニットには全て偵察能力がありますが、車輌系FOは本来の車輌ユニットの索敵ペナルティが免除されるだけなので、決して索敵能力は高くないのです。
この結果から得られる教訓としては、
何よりも重要なことは、FOユニットは同種のユニットに比べてコストが高いのです。つまりFOが危険を冒して積極的に索敵するのは、費用対効果が悪すぎるのです(なら先に言えって)。
それでは何らかの対処をしましょう。まずは索敵です。
マップ東側中央付近に、歩兵系FOが配置されていますね。
このユニットを選択し、"OP"と表示されたHEXに移動させてください。
・・大丈夫です。これは歩兵系ユニットなので、1HEXしか移動しない場合は発見される確率はほとんど上昇しません。おまけに移動する地形が森林なので、まず間違いなく見つからないはずです。さらに偵察能力がある歩兵系ユニットは、敵を発見する確率が最も高いのです。
この点が歩兵系FOユニットの大きなメリットです。

この歩兵系FOが移動すると、右図のように敵が見えたはずです。
どうやら東側高地には90mm対空砲陣地があったようです。ただし油断しないで下さい。これは敵の一部かもしれないのです。
とりあえず歩兵系FOはこれ以上移動してはいけません。いくら見つかりにくいといっても何HEXも移動すれば見つかる危険性は高くなるのです。
さて、ここで状況を整理しておきましょう。現在、我が歩兵系FOは敵対空砲陣地(の一部)を発見しました。しかし、この高地西側の道路沿いは完全に敵対空砲に制圧されています。このままでは車輌系FOの移動力をいかすこともできず、VHの確保も難しそうですね。
しかし手持ちのFOと盤外火砲だけで何とかこの状況を切り抜けなければいけません。歩兵系FOは移動しない限り発見される可能性は少ないので、まずは車輌系FOの安全を確保することにしましょう。
安全を確保すると言っても、敵から見えないところにじっとしていては勝機は掴めません。ここでは積極策を取り、敵陣地西側に煙幕を張ってできる限り敵に接近することにします。
今回は運良く(?)、"Target?"と表示されたHEXに事前照準を指定しているので、自ターン終了後すぐに(敵の攻撃前に)砲撃を開始することができます。これを利用するのです。

まずは歩兵系FOを選択して砲撃画面を開いて下さい。
照準地点は"Target?"と表示されているHEX、つまり事前照準1です。そして全火砲の煙幕弾ボタンを押して下さい。
右図のようになりましたね。事前照準があるので遅延時間は0.1、敵の攻撃開始前に着弾するはずです。
ここで少し疑問があるかもしれません。なぜ"20cm Rocket"は煙幕ボタンが暗転しているのか?それどころかHE弾ボタンも暗転しているのは?
・・・答えは簡単。ロケット砲は煙幕弾を持っていないのです。そして通常弾も弾切れになってしまったのです。

確認のために、ロケット砲のデータ表示ボタンをクリックして、詳細を見てみましょう。
"Smoke Ammo"の項目は0になっており、HE弾もAP弾も全ての弾薬量が0になっていますね。まだ一回しか撃ってないのに!!と思うかもしれませんが、盤外ロケット砲というのは威力は強力ですが、一回撃ったら終わりの兵器なのです。
あるいはロケット砲以外にもHE弾と煙幕弾ボタンが暗転している火砲があるかもしれません。これが悪名高い「連絡不能」事態で、何らかの理由で無線通信が途絶えているのです。ユニットデータを開くと、"Higher HQ Link"の項目が"None"になっているはずです。
盤外火砲の連絡不能事態は一定確率で発生し、防ぐ方法はありません。戦争映画でも無線機は大事な時に壊れるものです。これも世の定めと思ってあきらめましょう。
運悪く連絡不能の火砲がある場合は、利用できる火砲だけを使用して下さい。
ところで、"Type95 FO Veh"は生きているでしょうか?
生きている場合はそのまま動かさないでください。そしてその後方に待機している"Type100 Te-Re"を"A"HEXの西隣まで移動させておきましょう。煙幕を張ったらさらに前進するのです。
ここまでできたら、第六ターンを終了してください。
Turn 7

第六ターン終了直後に煙幕が張られたはずです。とりあえずこれで車輌FOユニットはさらに前進できるはずです。私の場合は"Target?"HEXの西隣くらいまで行けると判断し、右図のようになりました。
ただし、どこまで安全に前進できるかは煙幕の着弾状況によります。
各自の状況にしたがって、安全だと思う地点まで前進してください。
さて、道路東端のVHに近づいてきましたが、まだ敵対空砲陣地は無傷です。VHを取るには道路を突っ切るか高地を迂回するかですが、どちらにしても敵を無力化しなければいけません。
ではいよいよ砲撃にかかりましょう。
再び歩兵系FOを選択して砲撃画面を開いて下さい。連絡不能の火砲が無いことを祈りつつ・・
私の場合は"75mm Type38 Bty"と"105mm Battery"しか使えませんでした(泣)。しかし全力を尽くすしかありません。
まず、事前照準1をクリックして、"75mm Type38 Bty"のHE弾ボタンを押します。
しかしこのまま砲撃したのでは、敵陣に着弾するわけはありません。火砲の着弾傾向を思い出して下さい。照準のやや手前に着弾するのでしたね。

つまり照準をもっと東側に指定する必要がありますね。しかし、いきなり敵陣の真上を照準地点にしようとすると、砲撃遅延時間が1.1になってしまいます。これは時間のロスです。
そこで、事前照準を起点として照準を修正することにしましょう。
"75mm Type38 Bty"の照準修正ボタンを押してください。
すると右図のように、事前照準1を中心とする半径2HEXの赤い円が表示されます。
次に、この円の東端HEXをクリックして下さい。

すると照準地点がクリックしたHEXに移動して、遅延時間が0.2になりましたね。これが照準修正です。新たに照準を指定するより、既存の照準を起点として修正した方が遅延時間が短く済むのです。これは砲兵の必須テクニックなので是非ともマスターしてください。

しかしこの照準ではまだ敵陣の西側です。
さらにもう一度、東へ2HEX照準を修正してください。
右図のように事前照準1の4HEX東側に照準が移り、遅延時間は0.3になっているはずです。
この手順を繰り返し、利用できる全火砲の照準を右図の地点に修正してください。
この照準なら敵陣に砲弾が降り注ぐ・・・はずです。
ここまでできたら、第七ターンを終了してください。
Turn 8〜

予想通り敵陣に砲撃が降り注いだでしょうか?もしかすると前進した味方の車輌系FOが砲撃のあおりをくらったかもしれません。
そうです。今から言うのもアレですが、砲撃照準にあまり近づきすぎると誤爆される危険も高まります。
私の場合は75mmと105mmという着弾のばらつきの小さい火砲しか使えなかったので問題ありませんでしたが、艦載砲などの大口径砲は下手をすれば6HEXくらいはばらついてしまいます。
つまり、砲撃する場合は、
では砲撃の効果を見てみましょう。
私の場合は運良く敵陣に着弾し、敵対空砲は潰走状態になっています。さてどうするか?
敵は全て混乱していると判断して道路を突っ切るか?あるいは高地を迂回するか?あるいはさらにもう一回砲撃を加えておくか?迂回用に煙幕を張るという手も考えられますね。

ここから先の作戦は、各自の判断にお任せしましょう。
制限ターンは12。あと5ターンの内に道路端のVHを確保できれば勝利です。手持ちの地上戦力はわずかなFOだけですが、強力な盤外火砲を使いこなして勝利を手にしてください。
参考までに、非常にうまくいけばこのくらいのスコアは取れるという例を示しておきます。
では、幸運を祈る!
まとめ
最後にもう一度、砲撃要請手順のおさらいをしておきます。
- 砲撃要請ユニット(FOを強く推奨)を選択して"B"キーで砲撃画面を開く
- 砲撃地点をクリック(FOのLOS内にある地点を推奨)
- 砲撃する火砲のHE弾ボタンをクリック
- 照準を修正する必要があれば、照準修正ボタンをクリック
- 照準の手前に着弾しやすく、大口径砲ほど散らばりが大きい
- 新規に照準を指定するより、照準修正を繰り返す方が遅延時間は抑えられる
以上が、盤外火砲を使った間接照準砲撃の基本です。
火砲の運用方法は奥深いものがありますが、まずはこの基本を理解しておきましょう。盤外火砲が自由に使えるようになれば、SPWAWをさらに楽しめるようになるでしょう。