この歩兵演習キャンペーンでは、歩兵の運用方法について説明します。キャンペーンは2つのシナリオで構成されています。まずシナリオ1では、基本的な移動と射撃方法を習得しましょう。
キャンペーンの準備
付属のreadme.txtに従って、必要なファイルをコピーしましたか?Preferencesの設定は指示通りになっていますか?
これらを確認したら歩兵演習キャンペーンをスタートしてください。
ユニット購入
キャンペーンを開始すると、ユニット購入画面が開きます。購入ポイントは169円しかありませんが、ちょうど陸戦隊小隊が一つだけ買えます。左端の兵科選択ボタンから "INFANTRY" を選び、ユニット一覧表から "SNLF Plt" を選びましょう。
陸戦隊小隊は、小隊長・分隊・擲弾筒がそれぞれ複数から選べます。ここでは全てリストの一番下にあるものを選択して下さい。購入金額がちょうど169円になるはずです。ここで左上の "BUY" ボタンを押して購入し、 "EXIT" ボタンを押せば終了です。
続いて陣営設定画面になりますが、何も変更する必要はありません。 "Continue" ボタンを押して進みます。
次はサポートユニット購入画面ですが、予算が無いので飛ばしてください。
ユニット配置
次に "Human Deploy" ボタンを押して配置画面に入ります。
まずはマップ全体を見回してください。マップは3つのエリアに分割されており、一番下のエリアに"0"〜"4"までの数字が表示されたHEXがあるはずです。購入した陸戦隊小隊ユニットのユニット番号(b0〜b4)に従って、各数字上に配置してください。A0のHQは動かす必要はありません。正しく配置すると右図のようになります。
これで配置作業は終了です。さっそくゲームを開始しましょう。
基礎演習
射撃実習
マップ最上部には"Shooting Range"と書かれたエリアがあります。最初にここで射撃実習を行いましょう。
「歩兵への道」で「適切な交戦距離」という章があったことを覚えていますか?ユニットの装備兵器の射程距離(Range)と射撃精度指標(ACC)から、だいたい何HEXで交戦するべきかがわかるといった内容でした。
そして、右図のような兵器を装備する海軍陸戦隊なら、8HEXで抑圧を与えられ、4HEXなら死傷者も発生するだろうと結論しましたが、果たしてその通りになるでしょうか?実際に確認してみましょう。
まずはE0の陸戦隊ユニットをクリックしてください。この陸戦隊の右側には1〜12まで数字がふられ、4・8・12HEX目にはそれぞれ敵ユニットが配置されています。
12HEXの距離にいる敵にカーソルをポイントすると、非修正命中率(Unmodified Hit Chance)は12%だと表示されます。8HEX目の敵は41%、4HEX目の敵は59%と表示されるはずです。
このように、敵をポイントした時に表示される「非修正命中率」はACCをもとにしているのでほぼ予測通りの値になりますが、問題は実際に射撃してもこの命中率にはならないという点です。すでに説明しましたが、ここで表示されるのはあくまで「非修正」命中率なのです。この数字を過信してはいけません。
では実際の命中率を確認しつつ、3つの敵ユニットを遠いものから順に1回ずつ射撃してみましょう。
敵ユニットをクリックすると右図のような情報ボックスがポップアップ表示されます。表示が速すぎて見えない場合は"Message Delay"設定を"50"くらいにすると見えるようになるはずです。
実際に12HEX目の敵に射撃した場合、ライフル命中率は4%、軽機では12%でした。敵に目に見える損害は無く状態も"Ready"のままです。8HEX目の敵を射撃した場合、ライフル命中率は16%、軽機では61%でした。これも敵の様子は変わりません。4HEX目の敵を射撃した場合、ライフル命中率は54%・軽機は59%で、1名の死傷者が発生しました。
命中判定にはランダム要素があるので常にこれと同じ結果になるわけではありませんが、だいたい同じような結果になったはずです。私より運がよければ8HEX目の敵にも死傷者がでて、4HEX目の敵は3名くらい死傷者が出ているはずです。
ではもう一巡同じように射撃して下さい。実際の命中率と射撃後の敵の様子も確認してください。どうなりましたか?
運が悪ければ敵に全く直接損害(死傷者)を与えられなかったかもしれませんが、ほとんどの場合は4HEX目の敵に死傷者がでたはずで、残りの敵も状態が"Pinned"や"Retreating"になったはずです。敵に与えた具体的な抑圧度を知る術はありませんが、実際の命中率から考えると、交戦距離が近いほど抑圧度も高くなっているはずです。
今回は一発勝負のテストなのでよくわからなかったかもしれませんが、この射撃テストを何度か繰り返すとさらに面白いことがわかります。射撃結果を注意深くみると、軽機よりライフルで射撃した方が死傷者が出やすいのです。
この結果は、ライフルは「一発必中型」であるのに対し、軽機は「数撃ちゃ当たる型」の兵器であることを示しています。つまり、軽機は抑圧を与えるには適した兵器ですが、命中率が高くても直接殺傷力はあまり期待できないのです。それに対しライフルは、命中率が低い場合は抑圧さえほとんど与えられませんが、命中率が高くなれば直接死傷者を発生させやすいということです。
ちなみに、射撃命中率は同じ敵に連続射撃するほど向上します。実は歩兵ユニットの場合、一発目の命中率は80%のペナルティを受けるのです。このルールは、歩兵の主兵器(通常はライフル)は照準のブレが大きいことをシミュレートしています。そして命中率のペナルティがなくなるのは3回目の射撃からなのです。
したがって、今回のように一発ずつ照準を変化させるのは非常に効率の悪い射撃方法なのです。今回は同じターンで3つの敵に射撃したがったのでこうしたのですが、実際の戦闘ではできる限り
地形効果
マップ中央エリアには複数の地形が配置されています。これらの地形は良い地形・悪い地形の代表例です。歩兵ユニットを上手に移動させるために、これらの地形効果を理解しておきましょう。
必ず覚えておきたいのは、防御効果が最も高い地形です。"Excellent"と書かれたHEXの右側4種の地形がそれにあたり、左から順に「岩場(Rock)」「荒地(Rough)」「石造建物」「多HEX建物」です。最後の二つはいずれも"Stone Building"と表示される通り、違いは基本的に建物の大きさだけです。
ただし、「多HEX建物」はマップ制作者が手抜きをした場合、建物画像が表示されているHEXでも実際には石造建物の効果を持っていないことがあります。試しに「多HEX建物」の右上端のHEXをポイントしてみると、地形は"Mixed"と表示されますね。これは単にマップ制作者の不手際なのですが、結構よくあることなので注意しましょう。
その右側にあるのは、防御効果が"Very Good"レベルの地形です。左から順に「巨礫(Boulder)」「枯谷(Gully)」「壕(Trench)」「木造建物(Wood Building)」です。
歩兵ユニットが防御効果の高い地形にいる場合は、良い状態(In-coverやEntrenched)を獲得しやすくなります。また、これらの地形は掩蔽効果が高い(盾になる物が豊富にある)ので、移動中に交戦する場合でも損害発生を抑えて有利に戦えます。
しかし、開豁地に比べるとこれらの地形は消費移動力が高いので、常にこれらの地形だけを移動していくのは難しいでしょう。したがって、
また、地形が持つ高度にも注意する必要があります。もう一度「石造建物」と「多HEX建物」を確認してください。"Height"として表示される値が異なるはずです。「木造建物」を含めこれら建物地形は周囲の地形よりわずかに高い位置にあるのです。逆に、「枯谷」や「壕」といった地形は低地扱いになります。
これら高度のある地形では周辺と視界が異なる可能性があります。例えば高い地形では遠くまで見渡せ(遠くからでも見られる)、低い地形では2HEX先でも見えないという可能性があるのです。
高地のように明らかな地形の隆起がある場合は分かりやすいのですが、地形の持つわずかな高低差でも視界は大きく変化するということに注意しましょう。
最後に、防御効果が最低の地形を紹介します。左から順に、「湿地(Swamp)」「沼地(Marsh)」「泥地(Mud)」「舗装道路(Paved Road)」「石造橋(Stone Bridge)」「断崖(Criff)」です。
これらの地形は「舗装道路」を除いて消費移動力がかなり大きく、ほとんどの歩兵ユニットは1HEX移動を強いられるのも特徴です。移動しにくい上に防御効果も最低ではいいこと無しですが、考え方によってはこれらの地形が役に立つこともあります。
例えば「断崖」はあらゆるユニットの中で特殊部隊しか移動できません。ということは、断崖に囲まれた高地にユニットを配置しておけば、ほぼ誰も接近できないということです。これを逆手に取れば、特殊部隊で断崖から奇襲するという戦法も考えられますね。
SPWAWに登場する地形はまだまだありますが、最低でも上記の地形効果は覚えておきたいところです。詳細を知りたい場合は、戦闘画面で"I"キーを押せば地形効果表が表示されるのでじっくりと眺めておいて下さい。
ここまで理解できたら、第一ターンは終了です。
実戦演習
目的
では、シナリオ1の締めくくりとして実戦形式の演習を行いましょう。
マップ最下段のエリアは右図のようになっています。この演習の目標は、最初に購入した陸戦隊の小隊を使って、右側の高地にある米軍VHを奪取することです。もちろん高地上には敵が待ちかまえています。
VHまで前進するには、地形を利用してできるだけ1HEX移動を心がけることはもちろんですが、相互監視や煙幕による視界の一時遮断などのテクニックも必要です。これらを怠ると・・・最悪小隊全滅という可能性もあります。
ユニット解説
本演習で使用するのは、キャンペーンの最初に買った陸戦隊小隊と、それを支援する迫撃砲および機関銃です。といっても迫撃砲は自動で砲撃するように指定してあるので、特に操作することはありません。
ここでは、小隊支援火器である「擲弾筒(Knee Mortar)」ユニットについてちょっと詳しく説明しておきます。
擲弾筒とは、右図のような筒に手榴弾を入れてポーンと遠くに飛ばす兵器です。歩兵が持ち運べるほど軽く操作が簡単な小型火砲だと思って下さい。火砲なら砲兵が持つべき兵器ですが、なにせ歩兵を充分に支援できるほどの砲兵力を持たなかった日本軍は、歩兵に小型火砲を装備させたのです。
というわけで、擲弾筒は火力に乏しい日本軍歩兵の苦肉の策として開発されたわけですが、実際に使ってみるとこれが大活躍。日本軍の歩兵火器では最も米軍に恐れられた傑作兵器になりました。
ちなみに"Knee Mortar"という名称は米軍側の呼称で、擲弾筒の支え台の形状が膝に当てるとピッタリで、これはきっと膝で支えて撃つものだと米軍は考え「膝迫撃砲」の名前が付けられたようです。さらに実際に膝で支えて撃った米兵が骨折したという話もありますが、米軍でも使用法が想像できなかったほど画期的な兵器だったということにしておきましょう。
米軍が恐れたことを反映してか、SPWAWでも擲弾筒は強力な兵器として扱われています。今回使用する擲弾筒小隊(Knee Mortar Plt)は、兵器1〜3に擲弾筒、兵器4にライフル5丁を装備しています。擲弾筒の射程は一般的な機関銃よりやや短く12〜13HEXで、ライフルの射程とほぼ同じです。しかし"Warhead"値は3で、ライフルや機関銃("Warhead"値は1)よりも強力だということがわかります。
そして、兵器1の擲弾筒は火砲や機関銃と同じく移動したターンでは使用できなくなりますが、兵器2・3の擲弾筒は移動後でも利用可能なのです。つまり、兵器2・3の擲弾筒はライフルよりもずっと強力なのに、前進しつつ射撃するといったライフルと同じような使い方ができるのです。これが擲弾筒のメリットの一つです。
では擲弾筒に適した交戦距離は?・・"ACC"を見ると0になっています。これは擲弾筒が軽迫撃砲クラスに分類されているためです。ということは・・そうです。擲弾筒は盤内迫撃砲と同様に、直接射撃も間接射撃もできるのです。擲弾筒の口径は50mmで射程も短く、一般的な盤内迫撃砲(81mm)と比べると威力は劣りますが、移動力を比較すると擲弾筒は歩兵とほぼ同等の移動力を持っています。この点も擲弾筒ユニットの大きなメリットです。
擲弾筒の唯一の欠点は、煙幕弾を持っていないことです。史実では擲弾筒は発煙手榴弾も射撃できたのですが、SPWAWでは上記のようなメリットを持つ擲弾筒が、さらに煙幕弾を間接射撃できるとなると手がつけられないという理由で煙幕弾を装備していません。ま、それはそれとして受け入れましょう。
移動開始!
では能書きはこのくらいにして、演習を開始しましょう。
まずは状況を把握します。陸戦隊小隊は高地の西側斜面に配置されていますね。支援部隊の機関銃2ユニットも陸戦隊の上下に配置されています。
まずはこれらのユニットを全て1HEXずつ東に移動しましょう。
擲弾筒を除くユニットは全て高地上に移動し、右図のようになったはずです。
ここで各ユニットの視界をチェックしましょう。視界を確認するには"F7"キーを押します。
敵影は見えませんが、きっと敵がいるだろう東側高地が見渡せますね。ということは、敵からも見える可能性があるということです。しかし今回は「兵士の姿を隠す遮蔽物の豊富な荒地を50mだけ匍匐前進した」ので、敵に発見されることはないはずです。移動時に敵から射撃されることもなく、ユニット状態を確認しても発見された"*"マークはついていませんね。
この荒地の高地は、防御効果も視界も良く敵陣地と適度に離れているので、後方支援を行うには適した地形です。機関銃はここに留まって前進する陸戦隊の支援を行うことにしましょう。この地形なら充分な防御効果がありますが、射撃時に発見される可能性を抑え、射撃精度を高めるためにできるだけ速く改良状態を取れるようにしておきましょう。
2つの機関銃ユニットを右クリックして右図のようなユニット情報画面を開いて下さい。画面下部にある"Stance"をクリックして"Defend"にしてください。
このようにユニットに防御態勢を取らせておけば、"In-cover"や"Entrenched"などの改良状態をすばやく取れるようになります。
これで数ターン待てば機関銃ユニットは改良状態を取り、陸戦隊の前進支援体制が整います。しかし開豁地を前進するのはいただけませんね。できれば東側高地の手前にある塹壕(Trench)までは敵に発見・攻撃されることなく前進したいものです。遮蔽物が無い地形を前進する場合は・・・煙幕を張れ!でしたね。
大丈夫です。この第二ターンの終了とともに、我が軍の迫撃砲4門が煙幕弾による遮断射撃を開始してくれます。
では第二ターンを終了して下さい。
戦闘配置!
さて、遮断射撃はうまくいったでしょうか?陸戦隊を移動させる前に視界をチェックしておきましょう。東側高地への視界が完全に遮断されていれば成功です。
これ以降の展開は煙幕の展開状況によって違ってきますので、参考程度に読み進めて下さい。
私の場合は遮断射撃が完全に成功したので、煙幕が薄れないうちに全速前進することにします。司令部を含め陸戦隊分隊を移動できるところまで移動させましょう。ただし、擲弾筒は1HEXだけ前進し機関銃と同じようにこの高地から支援を行うことにします。
この時点で右図のような状況になっています。
ここでちょっと悩むのが、擲弾筒ユニットに防御体勢を取らせるべきかということです。結論から言えば防御体勢は取らせません。
今回はC&C設定をオフにしているので防御体勢を取らせても問題ないのですが、C&Cをオンにしている場合は体勢変更により命令ポイントを消費すること、防御体勢のままでは移動できないこと、小隊司令部と4HEX以上離れるので命令伝達ができないことなどの理由で、防御体勢は取らせない方が良いのです。
つまり、C&Cオンでプレイする場合は、擲弾筒だけ防御体勢を取らせておくと、他の陸戦隊ユニットに追随する必要が生じた場合に対応できないのです。このあたりはC&Cルールに関する話なので、よく理解できない場合は放っておいてください。
機関銃とともに擲弾筒も配置につき、陸戦隊の前進を支援する体制はますます整いました。
ここまでで第三ターンも終了です。
配置完了!
まだ東側高地への視界は遮られているはずです。
第四ターンでは、小隊司令部と分隊ユニットがさらに一歩前進して塹壕に入りましょう。
これで最も危険な開豁地を安全に通過することができました。敵はもう4〜5HEX(200〜250m)先にいるはずですが、ここからしばらくは以下の二つの条件が整うまで待機です。
最初の条件は、東側高地への視界が晴れることです。煙幕はターン経過とともに薄れていきます。敵を発見し前進を支援するには、前方の陸戦隊と後方の支援部隊の射界が確保できるまで待つ必要があります。仮に煙幕が晴れていない状況で陸戦隊だけ煙幕に突入すると、射界の通らない機関銃や擲弾筒は援護射撃できませんね。攻撃部隊と支援部隊の視界を確保すること、これが前進開始の大前提です。
もう一つの条件は、支援部隊が改良状態を取ることです。支援部隊のいる西側高地は防御効果も高く敵陣と10HEX(500m)程度は離れていますが、何度も射撃すれば見つかってしまう可能性があります。実は今回は見つかっても危険がない程度の敵ですが、通常の戦闘なら見つかればどんな攻撃を受けるかわかりません。装甲部隊の側面攻撃を受けるかもしれないし、火砲の集中砲撃を浴びるかもしれないのです。できるだけ発見されにくく支援射撃の精度を高めるためには、すくなくとも"In-cover"状態を取るまで待つ必要があるのです。
さらに欲を言えば、塹壕の中にいる4つの陸戦隊ユニットも"In-cover"状態を取るまで待ちたいのですが、残りターン数の関係からこれは難しいでしょう。改良状態を取るに越したことはありませんが、常に残り時間を考慮して妥協すべき時は妥協するという考え方も必要です。
では機関銃と擲弾筒が"In-cover"状態になるまでじっとしてターンを進めて下さい。
突撃開始!
私の場合は第七ターンで条件が整いました。機関銃も擲弾筒も"In-cover"状態になったのは第六ターンでしたが、東側高地にかかる煙幕が薄れて全部隊の視界が確保できたのはこのターンです。
さて、ここからが本番です。最前線の陸戦隊ユニットはいよいよ前進しなければなりません。敵との距離はわずかで発見される可能性は大です。射撃を受ければほぼ間違いなく死傷者が発生するでしょう。しかし、敵が射撃してくれなければ敵の位置もわからないのです。
ほとんどの歩兵戦闘は損害無しで勝つことは不可能で、多少の犠牲は避けられません。プレイヤーにできることは、損害を最小限に抑えることだけです。ではこの場合、損害を抑えるためにできることは何でしょうか?
最前線にいる4つの陸戦隊ユニットは、道路を挟んで内側と外側の二組であると想定します。ユニット番号で言うと、内側はA0とA2、外側はA1とA3ですね。この二組で「相互監視」を行います。つまり内側のA0とA2が移動する時は外側のA1とA3が援護するという具合です。さらに西側高地には機関銃と擲弾筒がいるので、移動するユニットは二重の支援を受けられるというわけです。
では内側の組と外側の組のどちらが先に移動すべきでしょうか?答えは外側です。なぜなら内側組には小隊司令部であるA0がいるからです。小隊長はできるだけ安全策を取るべきでしたね。
では外側組が移動するとして、A1とA3のどちらが先に移動すべきでしょうか?答えはA1です。なぜならA3が1HEX移動する先の地形は開豁地で、A1の移動先は砲弾孔だからです。わずかでも地形効果の優れていれば損害も抑えられるはずですね。ま、屁理屈みたいですがこういった細か〜い要素を考慮するとSPWAWがもっと楽しめるでしょう。
ではA1ユニットを移動させてください。
・・・結果は状況により全く異なるはずですが、私の場合は敵の臨機射撃を食らって2名死傷でした。
これだけ注意しても戦闘結果は運に左右されます。しかしこれはマシな結果だと思いましょう。なぜなら臨機射撃してきた敵は米軍最強の重機関銃".50 Cal HMG"です。これが1HEX移動でなく全速移動だったら7〜8名の死傷者が出て分隊が壊滅してもおかしくないのです。
ここで挫けてはいけません。損害を受けたら即座に抑圧を回復しましょう。A1ユニットは小隊司令部の3HEX以内にいるので、抑圧回復も成功しやすいはずです。
抑圧が1になるまで回復できたら、次は視界のチェックです。
撃ってきた敵を発見できましたか?もしも敵が発見できない場合は、A0ユニットや他の陸戦隊分隊で視界チェックを行います。他のユニットは移動しておらず抑圧も無いので、かなりの高確率で撃ってきた敵を発見できるはずです。これも複数ユニットが共有視界をもつ「相互監視」のメリットです。
反撃開始!
私の場合はA0ユニットが見事に敵を発見してくれました。居場所さえわかればこちらのもの。ここから反撃開始です。といっても、いきなりA1ユニットが反撃してはいけません。
まずは全ユニットの視界をチェックして、この敵が見えているユニットを把握します。そのうち最も距離が遠いもの、この場合は西側高地にいる機関銃ユニットから射撃を開始します。
距離が遠ければ命中しにくいのではないか?確かにその通りですが、この射撃の目的は敵機関銃兵を殺傷することではなく、「頭を下げさせて効果的な射撃を阻止する」こと、つまり抑圧を上昇させれば充分なのです。このターンで敵の抑圧が上がれば、次の敵ターンで射撃される可能性は減り、射撃精度も低下します。そうなれば、陸戦隊が安全に前進できる可能性が高くなりますね。
支援射撃時の注意事項としては、全射撃数を使い切らないことです。全射撃数を撃ちきってしまうと、敵ターンで臨機射撃ができなくなります。また、このターンで他の敵を発見しても支援できません。そして何より、ターン当たりの射撃数が多いほど、敵に発見される確率も高くなるのです。
つまり支援射撃を行う場合は、
また、敵に発見される確率を少しでも減らすために、支援射撃用の機関銃部隊は副武装(この場合は "Type 38 Rifle")をオフにしておきましょう。発砲する兵器が少なければ少ないほど、発見される確率は減少するのです。
支援射撃の順番は、機関銃→擲弾筒となります。機関銃と同じく遠距離で"In Cover"状態にある擲弾筒は機関銃より後に射撃するのか?それは擲弾筒の方が射撃時に発見されやすいからです。ユニットサイズを比較すると、機関銃は0ですが、擲弾筒は1です。したがってユニットサイズが大きい擲弾筒が先に射撃すればわずかながら発見される可能性は高いのです。
機関銃が射撃して敵の抑圧が高くなれば、敵は「頭を上げられない」状態なので、擲弾筒も見つかりにくくなります。もちろん、他の敵ユニットに見つかる可能性はありますが・・。
まずはここまでやってみましょう。
敵機関銃の状態は「釘付け」になり、これで支援射撃の目的は一応達成できました。
さて、次の行動は悩むところです。選択肢としては、監視役の陸戦隊(内側組)がさらに射撃する、この敵は放っておいて上側端のA3ユニットが1HEX前進、という行動が考えられます。
前者の方法をとれば、敵機関銃を壊滅させることができるかもしれません。ただし「釘付け」状態の敵への射撃は命中率が下がるので効果的とは言えません。さらに、これだけ敵陣の近距離で射撃すれば、他にもいるだろう敵に発見される可能性も高くなります。
後者の方法をとれば、VHに一歩近づき、敵の臨機射撃を誘って新たな敵が発見できるかもしれませんが、移動するA3ユニットはすでに移動したA1ユニットのように損害が生じる可能性もあります。また次の敵ターンでもA1・A3は移動中のままで、不利な状況におかれるという危険もあります。
理屈から言えば、A0・A2ユニットがすでに発見している敵機関銃に射撃するのが上策です。内側組のA0・A2ユニットはこのターンでは監視役で塹壕地形に静止しているので、敵の臨機射撃を受けても大きな損害は発生しないはずです。つまり、あえて敵陣の近距離にいるユニットが射撃することで、わざと発見され、臨機射撃を呼び込んで新たな敵を発見してしまおうという作戦が取れるのです。
もちろん安全策をとってA2ユニットから射撃を開始します。
すると、一発で敵機関銃は1名死傷者が発生し、退却を開始しましたが、別の敵機関銃が臨機射撃を浴びせてきました。しかし、A2ユニットは塹壕で静止しているので無傷で、わずかな抑圧を回復するまでもなく撃ってきた敵を発見できました。予想通りの展開です。
常にこのようにうまくいくとは限りませんが、なるべく移動させるユニットを減らし、良い状態のユニットで臨機射撃を誘い出すというワザは重要です。
あとは再び機関銃と擲弾筒で抑圧を与え、監視役の陸戦隊が近距離から発砲するという手順を踏みます。
結果的にはこの機関銃も撃退し、右図のようになりました。
充分な抑圧を与えておけば、どんな敵でも反撃できなくなります。そして、弱小な歩兵といえども有効射程から先に発砲すれば、機関銃に対しても互角以上に戦えるのです。
ここまでくれば一気に突っ込んで・・・と考えがちですが、これが一番良くないパターンです。確かに2つの機関銃は一時的に撃退しましたが、次の敵ターンでは抑圧を回復し撃ってくるかもしれないし、まだ他にも敵がいるかもしれないのです。敵陣の全容を解明するまで、安全策をとることを心がけましょう。
一番上にいるA3は射撃せず1HEX移動します。もちろん移動後は射撃しません。わざわざ自分の位置を教える必要はないのです。敵がピヨっている間にこっそり近寄っておくだけにしましょう。
以降の展開
というわけでややこしい説明はこの辺にして、後は実際にやってみてください。制限ターンは12ターンです。
第七ターン終了後の敵機関銃は抑圧を回復し、もしかすると撃ってくるかもしれません。
第八ターンが始まると、敵は完全に抑圧を回復し見えなくなっているはずです。今度は陸戦隊の内側組が1HEX前進します。ついでに、擲弾筒に間接射撃させるのも良いかもしれません。
擲弾筒は直射すれば簡単に死傷者を出させることができますが、間接射撃でも抑圧を上昇させることができます。擲弾筒に砲撃要請する場合は、小隊司令部を使って下さい。小隊長の「火砲技能値」は決して高くありませんが、同一小隊の火砲に砲撃要請する場合のみ遅延時間は短くなります(この場合は0.4)。
ネタバラシしてしまうと、敵は重機が2ユニットと司令部の合計3ユニットだけです。ただし、機関銃は歩兵にとって最大の天敵だということを忘れずに。下手に動けば一射撃で7〜8名の死傷者がでてしまいます。時には視界の維持より安全を優先して、陸戦隊に煙幕を張らせる必要があるかもしれません。
しかし毎ターン着実に一歩ずつ前進していけば、VHは充分間に合う距離にあります。安全が確保できれば1HEX移動にこだわる必要もありません。最優先すべきはVHを取ることです。極端に言えば敵を全滅させようがさせまいが勝敗には関係ないのです。突っ込みすぎて損害を増やすのも問題ですが、慎重になりすぎて前進を恐れては本末転倒です。
これだけの説明では不安だという方のために、もう一度歩兵戦闘のポイントを整理すると以下のようになります。
移動
- 常に複数ユニットで視界を共有する(相互監視)
- 全分隊を同時に移動させない(相互監視)
- 敵が近くにいる場合は、1HEX移動が基本
- 少しでも有利な地形を利用する
攻撃
- 抑圧を受けたらすぐに回復
- 射撃前には視界確認
- 複数の敵を同時に相手にしない
- 複数の敵と視線が通っている場合は、煙幕を使って調整する
- 煙幕はターン経過とともに薄れる特性を利用する
- 発見されにくいユニット(状態・距離・サイズ)から射撃する
- 1ターンで全射撃数を使い切らない
- 支援部隊(機関銃や擲弾筒)は、副武装をオフにする
以上が、歩兵戦闘の基本です。いつでも援護射撃ができる体制を作り、遮蔽物を利用して接近してください。敵からみた場合、煙幕が晴れたらすぐそばに塹壕化した敵部隊がいた!という状況をうまく作れれば、脆弱な歩兵も頑強に抵抗することができます。歩兵の特徴を有効に利用して、SPWAWをより楽しんでください。
ちなみに、うまくやればこのくらいのスコアになるはずです。このシナリオでは勝利しない限り先に進めないので(!)、ぜひともがんばって下さい。
さらにシナリオ移行時の修復ポイントも用意されていないので、壊滅したユニットは次のシナリオでは使えなくなります。
では健闘を祈ります!