【18ターン】
数えてみたらあと5ターンしか残っていない。
おかしいなと何度も指を折りながら数えても、後5ターンである。
ゴールが見えた途端、がぜんやる気が湧いてきた。
全く男とは単純な生き物である。
ボクシングでいえば、壮絶な打ち合いの最中ともいうべきであろうか。
15ラウンドの戦いに例えれば、今12ラウンドぐらいだろうか。
もうどちらも「ロッキー1」の最後のロッキーバルボアの顔のような状態になっている。
(僕たちの世代はロッキーは「1」しか認めません)
現在の戦況を簡単に説明する。
全部で9つのVH中、ドイツ軍に奪われたVHは合計で3つ。
これは前にも述べた中央低地にある外堀にあたるものである。
そして北高地、南高地のVHと中央低地の内堀にあたる3つのVHと本丸にあたる1つのVHもイギリス軍が確保している。
まあ作戦うんぬんに関しては、俺が説明するより、大佐のご意見を交えて説明した方がいいと思うので、大佐に無線をつなぎ、大佐と代わることにしよう。
無線手が大佐と無線がつながりましたと言ってきた。
「レイド大佐!いよいよ大詰めですね」
「おお!domo君か、まだ生きておるのか!」
「はぁ? はぁ・・まあ・・」
何だか俺が生きていることが期待はずれのような気がするが、多分錯覚だろう。
「大佐、これからの作戦行動について簡単に説明していただけますか?」
「ZZ・・ZZ・・な・・・なに・・・よく聞こえないんだが・・・」
電波の受信が急に悪くなったとでも言いたいのか、俺には都合のいいように聞こえる。
多分、自分でアンテナをいじくって感度を悪くしているのだろう。
俺は無線を切った。
そして戦闘開始早々(6ターン)被弾し走行不能になっているミドルトン隊長車と無線をつなげた。
隊長車は我々のいる場所より8へクスほど後方の最後のVHがある付近に、同じく主砲が故障した戦車と共にいる。
俺はハッチから身を乗り出しながら、隊長車を双眼鏡で見てみると、なんと故障した戦車を延々と直しているではないか。もちろん時たま主砲をぶっ放しては、敵の歩兵を攻撃していたが、それでも隙を見ては車外にでて修理している。
で、直ったという知らせが入った。
(これには僕も驚いた。故障した戦車がリペアするとうれしいですねえ)
「隊長!やりましたな!!」
顔を油で真っ黒にしながら隊長は親指をたてて笑顔で応えた。
俺がミドルトン隊長と無線で世間話をしていると、先頭のエルスター車(先ほど被弾したエルスター曹長の弟)から緊急入電がある。
「敵戦車!!」
どうやら天を見方につけたらしい。というのはドイツ軍が道路上に張った煙幕が切れてきたのだ。それもこのターンに。
そこで前方のドイツ戦車を確認できたのである。
ドイツ軍は残り戦車で確認できているのがⅢ突が1台、Ⅳ号が2台。
こちらはたった今一台修理したのを入れて4台(主砲故障車は除く)
「隊長!」
やらなければやられる。これが戦場の掟だ。
しかも終盤であるため、どうせにもドイツ軍は次のターンで前進してくるだろう。
「各車、前方の敵戦車に対して攻撃!幸運を祈る。Good Luck !!」
エルスター車がⅣ号に射撃する。だがわずかに外れる。
これで敵もこちらに気付いた。
Ⅳ号の75mm砲がエルスター車に対して砲撃。
「BOOM !!」エルスター車炎上。
これを見たミドルトン隊長がⅣ号に射撃。
隊長が見事にⅣ号を仕留め、エルスター車の借りを返す。
「よし!」と思った瞬間、同じへクスにいたⅢ突G型の放った臨機射撃がミドルトン隊長車を直撃、隊長車は爆発した。
こちらの残り戦車が俺ともう1台になった。
その友軍車もⅢ突の臨機射撃が車体のどこかに命中し、抑圧23で、一時行動不能に陥っている。
「SHIT」「F×××」「B○○○」「S・・・・・・」俺は車内でありとあらえるスラングを言い放った。
「どういたしやしょう?」砲手のいがぐり頭が俺に尋ねる。
俺は思わずそのいがぐり頭を思いっきりぶん殴りたい衝動に駆られたが、ここは冷静を装う。
すると下のほうから、
「どないしましょ?」と今度はいびつ頭の運転手が訊いてきた。
足が届くものなら、こいつのいびつ頭をかち割りたかったが、そこをなんとか押さえた俺だった。
するとその横から、
「大佐からです」という声が聞こえた。
「domo君か!ほほほ、まだ生きとるとみえるな」
「大佐、冗談はよしてください。でもかなりやばそうですが」
「ふふふ、domo君、砂漠のもぐらについて知りたくないのかね、君は」




