Steel Panthers: World At War とは
「Steel Panthers: World At War」(以下「SPWAW」)は、Matrix Games社製のPC用戦術級ウォーゲームです。WW2時代の世界を舞台に27の国家が登場し、「ロシアのステップから太平洋のジャングルまで」あらゆる地形で戦闘が再現できます。
SPWAWは公開とともに大きな反響を呼び、2000年度には「20世紀を題材とした最高のコンピュータ・ウォーゲーム」などの各賞を総ナメにした実績をもちます。
SPWAWの最大の特徴は何といっても「フリーソフト」という点です。思わず目を疑ってしまいますが、Matrix Games から無料配布されています。メガキャンペーンと呼ばれる一部キャンペーンのみ有料ですが、デフォルトでも14本のキャンペーンと200個近くのシナリオが付属しており、これを全部プレイするだけでも相当の時間を必要とするでしょう。
また、海外製ゲームの例に漏れず、SPWAWも有志ユーザーが作成した沢山のシナリオ・キャンペーン・MODもネット上からダウンロードできるので、ハマれる人なら一切お金をかけず一生遊べるほどの環境が整っています。
そもそも"Steel Panthers"シリーズは、SSI社が開発したDOS用ゲームで、"Steel Panthers(SP)"・"Steel Panthers II(SP2)"・"Steel Panthers III(SP3)"の三作品は、通常のパッケージ製品として日本でも流通していました(だいぶ昔の話ですが)。
その後、SSI社から版権を譲り受けた Matrix Games社が、SP3を改良してWindows上で動くフリーソフトとしてリリースしたものがSPWAWなのです。SP3をやったことのある方はわかると思いますが、単に改良といっても全然別のゲームに仕上がっております。
ちなみに、SPCamo という有志の集団が、SP2をもとに作った"Steel Panthers: World War 2(SPWW2)"・"Steel Panthers: Main Battle Tank(SPMBT)"というゲームも完全フリーで公開されています。似たような名前が多くてややこしいですね。
とにかく、SLG初心者や国産SLGしか体験したことのない人は引いてしまいがちですが、丁寧な説明書(10MB超&全部英語)や親切なチュートリアル(英語解説つき)も含んでいるので、根気さえあれば誰にでも楽しめると思います。たぶん。
Steel Panthers: World At War レヴュー

SPWAWはSP3エンジンを改良したターン・HEX制の戦術級ウォーゲームですが、ゲームスケール自体はSP1に近く、分隊を最小構成単位とし中隊〜大隊規模の戦闘を実現できます。
1ユニットは、歩兵では1〜20名程度の班・分隊単位、戦車などの車輌や砲は1輌・1門単位で表示され、1シナリオに最大400ユニットまで利用できます。1ターンはおよそ3〜5分間、1HEXは約50mを表しています。
登場する兵種は、歩兵・戦車・火砲のほとんど全ての陸上兵科および航空機などで、その他にも司令部・弾薬集積所・要塞・洞窟・地雷・有刺鉄線なども登場します。正確には4779個のユニットが存在し、ユニットが装備する兵器の総数は倍以上あるでしょう。

ユニットには、経験・士気をはじめ、移動力、サイズ、重量、無線の有無、体勢などのパラメータがあり、さらに指揮官は階級、歩兵・装甲・火砲ユニットを指揮する技能や回復技能などの要素も考慮されます。
これに加えて車輌ユニットには、射撃管制装置・砲身安定装置・測距装置の有無とその値、乗員数、乗員生存性、車体と砲塔の前・後・横方向および頂部とスカートの装甲値・・・などなどのパラメータがあり、個々の兵器も、サイズ、最大射程、射撃精度、弾頭、弾薬種(HE・HEAT・AP・APCR)による装甲貫通力と殺傷力などの値をもっています。
ユニットの経験・士気値は、国籍・年代によって規定され、例えば、大戦初期のドイツ軍部隊はこれらの値が高く、大戦後期になるにつれ低下していきます。
また、国籍による軍隊特性もシミュレートされ、ソ連軍は頑強に抵抗し、日本軍は絶対に退却せず、イタリア軍はすぐ逃げるなど、全ての軍隊は年代に応じた特性を持っています。
上述した要素だけでも、非常に複雑なゲームであることがわかると思いますが、SPWAWの魅力は、兵器能力だけでなく、その運用方法をもシミュレートしようとしている点です。
指揮ユニット(IDの末尾が0のユニット)には命令ポイントがあり、指揮下のユニットが特定の行動をとるたびに命令ポイントが消費されます。命令ポイント数は指揮官の階級によって異なり、ある程度は階級に応じて貯めることもできます。
また、各ユニットは指揮ユニットの3HEX以内に位置するか無線を装備していない限り、指揮ユニットと連絡がない状態にあるとみなされます。ただし、無線を装備していても、戦闘により無線が故障したりランダムに通信不能になる場合もあります。連絡がないユニットは、体勢の変更や間接砲撃の要請をはじめ、独立行動をとることができなくなります。
盤外にある火砲ユニットとの間にも無線連絡が必要で、無線連絡が途絶えていると間接砲撃の要請も不可能になります。特に艦船による強力な砲撃支援は遠距離通信が必要なため、無線連絡が途絶える確率も大きくなります。
このような指揮統制システムは、司令部の遠方にある部隊を協調運用させることや個々の部隊に独立行動を取らせること、前線にいる部隊が後方の砲兵部隊に迅速正確な砲撃支援を要請することが如何に難しいかをシミュレートするものです。
SPWAWをやれば、大戦初期から各部隊に無線装備を徹底させたドイツ軍が、無線をほとんど装備していなかった連合軍に対してどれだけ有利に戦えたかを味わうことができるでしょう。
SPWAWには他にも多様なルールがありますが、ほとんど全てのルールや難易度は、設定により自由に変更することができ、目一杯複雑で難しくすることも、ほとんど制限なしで簡単にすることもできます。
また、兵器・ユニットデータを作成・修正することも、シナリオ・キャンペーン・マップを自作することも可能です。このような自由度の高さもSPWAWの大きなウリと言えるでしょう。
必要環境と入手方法
- Windows系OS(98・SE・ME・NT・2000・XP)及びLinux・OS/2
- DirectX 9.0b以上
- 64MB以上のメインメモリ
- Pentium II 400MHz 以上のCPU
- 16Bit Direct Sound互換のサウンドカード
- 16Bitカラーを表示できる8MB ビデオRAM
- 900MB 以上のハードディスク空き容量
2008年9月現在の
まず Ver 8.2 をインストールした上で Ver 8.3 − Ver 8.4 − Ver 8.403 の順にパッチをあててください。
Ver 8.2 (425MB)- GamersHell.com
- Fileplanet.com
- Filefront
- SP:WaW Depot
- 4Gamer−レビュー&日本国内ミラー