SPWAWの装甲戦闘システムは非常に複雑でわかりにくいものです。マニュアルや海外の掲示板である程度の情報を集めることはできますが、あやふやにされている部分も多く、中には明らかに誤解している情報も沢山あります。おそらく戦車戦に関連する要素とその関係を明確に理解している人はほとんどいないと思われます・・・と、ここまでは以下の説明が間違っている場合のエクスキューズです。
当然筆者も理解しているとは言い難いですが、本稿を書くにあたりできる限り情報収集し整理してみました。参考になれば幸いです。
運用
自軍戦車の性能が敵戦車に劣っていればもちろんのこと優位であっても、戦車は集団で運用し常に数で圧倒すること、コレが戦車戦の要諦です。では全ては数で決まるのか?もちろんそうではありません。ドイツ軍の優位は戦車性能とは別に、優れた運用技術があったからです。
以下では、SPWAWにおける運用技術を紹介します。
基本攻撃
もっともありがちなパターンからいきましょう。

右図のようにチハ小隊のB2が前進すると、敵のM3軽戦車を発見しました。臨機射撃を受けましたが、運良くかわすことができました。
さて次の一手はどうすべきでしょう?
「何くそ!」とB2で撃ち返すのは最悪です。なぜなら、臨機射撃を受けたB2はすでにM3に照準されているからです。
一回目の臨機射撃は命中率に40%のペナルティがかかりますが、二回目のペナルティは20%になります。もしB2が外した場合に撃ち返されるとヤバイというわけです。
したがって敵に再照準させるために、B1かB0が射撃すべきです。どちらも移動していないので命中率はほぼ同じはずですが、すでに臨機射撃したM3の砲塔は南西を向いているので、砲塔側面を狙えるB1から射撃するのがベストでしょう。
同じ理屈で、B1が射撃して敵が撃ち返してきた場合、B0かB2が射撃します。精度を重視するなら移動していないB0が、貫通力重視なら距離が近く角度の良いB2が撃つべきでしょう。
しかし敵が撃ち返してきたということは、B1の射撃はあまり効果がなかったということです。安全策を採るなら距離の遠いB0が次の射撃を担当すべきでしょう。
また、B1が射撃して敵が撃ち返してこなかった場合、敵の照準はまだB2にあります。さらに敵が撃ち返してこなかったということは、B1の射撃に何らかの効果があったのかもしれません。もちろんただ撃ってこなかったという可能性もあるので、命中したか否かを確認して判断します。
命中していれば抑圧が高まって撃ち返せなかったのかもしれません。これが確かなら、一気に距離を詰めてタコ殴りパターンに持ち込めます。
高地からの攻撃
敵の装甲が自軍戦車の貫通力を上回っている場合、高地からの攻撃を狙います。上述のように、高地から射撃すれば傾斜装甲の効果を弱め、運が良ければトップヒットも狙えるからです。
しかし、見つかりやすい戦車が高地に登るのは非常に危険です。高地上でハルダウンを獲得すれば圧倒的に有利になりますが、それまで耐えるのは難しいのも事実です。
高地上で安全にハルダウン効果を得るには、あらかじめ砲兵が煙幕を張っておくのが基本です。戦車は煙幕に隠れて高地に登り、すぐに体勢をDefendにしておきます。あとはじっと耐えて煙幕が晴れる頃にはハルダウン完成・・といきたいところです。
しかし煙幕が利用できなかったり敵の接近が速かったりという場合は、そんなに悠長に待っていられません。そういう場合は次のように行動します。

高地に登る場合も、できるだけ敵の臨機射撃を「外させる」ことを優先します。
右図の例では、まず左端のB1が高地に登り、続いてB2、最後に小隊長のB0の順で登ります。途中で臨機射撃を受けても撃ち返してはいけません。敵に命中率の低い射撃を強いて無駄弾を撃たせながら、こちら側の戦力を確保するのです。
高地に留まってハルダウンを狙うなら、高地に登る前に二点間を前後移動して移動距離を稼いでおくと良いでしょう。高地上で移動力をピッタリ消費しきれば最大速度で移動したことになり、敵の命中率を下げることができます。
全車が高地に登ったら射撃を開始しますが、ここでも射撃する順番が重要です。敵の臨機射撃を受けていない(照準されていない)ものから順番を変えつつ射撃します。
敵に二発連続撃たせないように射撃するのが基本ですが、自部隊の倍以上敵がいるような場合はこれでも危険です。そういう場合は、少なくとも敵が同数になるくらいまで、煙幕弾(Xキー)を使用して敵の射線を塞いでいきましょう。煙幕弾を使用する場合は、こちらの射線を消さないようにできるだけ敵側(できれば敵の目前)に着弾させるようにします。
こうして全車が1巡目の射撃を終えたら、しばし状況を検討します。選択肢は、さらに前進するか、このまま二巡目の射撃を開始するか、煙幕を使って隠れるか、一時退却するかです。
攻撃を続ける場合はこれまでと同様に、連続射撃されないように注意します。形勢不利と判断した場合は隠れるか後退するかですが、移動力が残っていない場合は煙幕を張るしかありません。ただし、高地頂上にいて1HEX前方が斜面の場合、スモークディスチャージャーで前方に煙幕を張っても高低差があるので隠蔽効果はありません。頂上から隠れたい場合は、必ず主砲の煙幕弾で敵の手前側を塞ぐようにしましょう。
反斜面攻撃
煙幕を(十分に)持っていない戦車は、敵の視界内でハルダウンを得るまで高地に留まり続けるのは困難です。遠距離なら撃ち抜かれないくらいの装甲を持っているなら大丈夫かもしれませんが、装甲が薄かったり敵が近かったりする場合は、高度差の優位もあまりアテにはできません。
このような場合は、最初からハルダウンを獲得するのはあきらめて、高地に登って射撃したらすぐ後退する"Shoot & Scoot"戦法を使うしかありません。SPWAWの車輌ユニットはバック(敵方向を向きながら後退)できないので、敵に背後を見せる後退時が最も危険ですが、高地の反対側斜面を利用すればその心配もありません。
反斜面を利用した"Shoot & Scoot"で最も難しいのは、移動力の調整です。射撃回数を確保し退却時の移動力を残しておくには、高地に登る前に「加速」せず危険を冒して低速で登るしかありません。
また、敵の射撃を受けたりこちらが発砲したりすれば、最大移動力の4分の1ずつ無くなることを覚えておきましょう。斜面を移動するには開豁地形でも移動力を"3"消費する点にも注意が必要です。
事前に消費移動力を予測して調整できれば、後は通常の高地攻撃と同じ要領です。助走無しで頂上に登るのでやられる危険も高く、移動射撃することになるのでこちらの命中率も低下しますが、"Targ"値が高いユニットならば効率良く敵を各個撃破できるかもしれません。
側面攻撃
もう一つの基本攻撃パターンは側面攻撃です。既に説明したように、戦車の装甲が最も薄いのは側面と背面です。しかし敵の背後を取るのはよほど混戦にならない限り難しいので、側面を狙うのが現実的です。
側面から射撃するには、敵に見つからないようになるべくマップの端をこっそり前進するのが基本です。といっても、こんな当たり前の方法は敵も想定しているので、なかなかうまくいきません。(^^;)