Nor司令官殿から、観戦武官の皆様の間で撤退に関しての是非について議論があると聞きました。
ここで、なぜ我々米軍が撤退を視野に入れているか簡単にご説明申し上げようと思います。
現在5ターン。
我が米軍は目標である高地は制圧できていないものの、ある程度ソ連軍に損害を与えながら、動向をしっかりと監視下においております。けっして優勢ではないが現段階で圧倒されているわけではないという判断をしています。
ですが、今後ソ連軍には続々と増援部隊が到着します。それらは、我々の火力ではどうしようもないモンスターな装甲部隊です。
この今後の展開を考慮すると、我々の上位にあたる師団司令部に後退の許可を求め、それが受理されなかったとしても、現地指揮官の独断で後退を行うという状況は、ありえるのではないかと考えています。後退は部隊戦力の維持を目的とするためで、この戦いの以後もソ連軍と遭遇する可能性のある以上、我々は後退しても許されるのではないかと判断しています。パットンやジャクソンを持っている我が部隊は、もっと有利な状況でもっと十分な支援を受けながら戦うチャンスがあるのではないか、上位の司令部も我々をけっして軽視しているわけではないのではないか、接敵してソ連軍の実際の戦力とその戦闘スタイルを知っただけでも我々の任務は十分達せられているのではないか、そのように考えています。
この戦いはシナリオを用いていて、それは事前偵察においてこの地域にいるお互いの戦力を知っているということです。また、マップも事前に研究し、VHのポイントもお互いに計算していることでしょう。ということは、お互いにこの地域の重要性に関して事前に上位の司令部からブリーフィングを受けていると想像できます。実際、ユニットコストに比べてVHの価値は非常に低いものです。そのことから、この地区は戦略的にあまり重要ではなく、損害を度外視してまで保持する必要はないのではないかと考えられるのです。
また、ユニットコストとVHのポイントから、曖昧ではありますが、戦闘結果を予想することができます。
しかしながら、上記のような脳内判断から、「どのくらいの戦果で引き分けられるか」という数字上の計算はある意味、軍事的な判断とも考えられるのではないかと思っています。引き分けを下回る結果が見えてくる前に後退を考えることは、状況が悪化する前に戦況を司令部に報告し後退の許可を求めるというような現地指揮官としての責務と同じようなものではないかと考えています。
このSPWAWは単なるゲームではありますが、シュミレーションという側面も大きなものだと思っています。そういう意味で、現地指揮官の苦悩を想像しながら後退についてあれこれ思案するというのも、シュミレーションとしてアリではないかと考えているわけであります。
長くなりました。
ご理解いただければ幸いでございます。
サト
