<おしらせ1>
またまた、いつの間にか掲示板がダウンしていたようですね。ログを見ると、およそ2年半ぶりの改修です。
この間、何度かメールでご要望があったようですが、この度ようやく重い腰を上げて掲示板を修復いたしました。
管理不行き届きで申し訳ありません。

<おしらせ2>
サイト管理を楽にするために体裁を変更しています。
本サイトのメインコンテンツであったSPWAWの解説記事は以下からアクセス可能です。
SPWAW解説記事一覧


<5分で調べたSPWAW界の近況>

びっくりしたことーその1「Depot リニューアル」
SPWAW界を長年牽引してきた世界最大のファンサイトSPWAW DEPOTが、昨年の4月に閉鎖、13年の歴史に幕を下ろしたようです。
と同時にDepotメンバーの一人 Falconさんが新たなサイトSPWAW DEPOTを立ち上げたようですね(笑)。
まあ、中心メンバーが入れ替わって、こじんまりした感はありますが、実質的にはリニューアルって感じですかね。
旧DEPOTの遺産は相続されているようで、今後ともがんばって欲しいところです。
https://www.tapatalk.com/groups/spwawdepot/

びっくりしたことーその2「砲撃要請画面ラグ解消」
マルチコアCPUが普及した頃でしょうか、ある程度以上のスペックのPCでは、砲撃要請画面で挙動がおかしくなる不具合がありましたね。
それが原因でSPWAWを離れた・・という方もおられたような記憶がありますが、どうやらこの不具合、ついに修正されたようです。
これもDEPOTメンバーのおかげみたいですね。Matrix Games 公認(というか黙認ですね)のもと 、本体ファイル MECH.EXE をいじることに成功したようです。
https://www.tapatalk.com/groups/spwawde ... -t277.html


というわけで、この機会にもう一度SPWAWをやってみようかな、と思われた方は次のリンクからダウンロードをどうぞ。
DEPOTで全てのファイルのホスティングも始めたようです。
https://www.tapatalk.com/groups/spwawde ... es-t6.html

White Tiger            ~domo戦記2~

シナリオAARの投稿
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White Tiger            ~domo戦記2~

Post by domo » 2007.Jan.27(Sat) 13:22

「White Tiger」 H2H fr 7.1
1944/6/7 インド Ningthoukhong
India(defend) × Japan(advance)
12ターン 
C&C on
ASL Scenario A47 「White Tiger」


俺の名はdomo。職業は軍人だ。
前回、俺の記憶をぶちまけた「domo戦記」を読んでくれて感謝する。
忘れねえうちに「domo戦記2」を書いておこうと思い筆を執った。
まあ暇なら読んでくれ。


それは俺が生まれて初めてインドという国に行ったときのことだ。
もちろんインド軍に参加してー
そのインドの思い出は・・何というか・・忘れることの決してできない体験でもあった。
今も度々あのときのことが夢の中で繰り広げられる。
悪夢・・・・
その悪夢をこれから語ろう。


インドは当時イギリスの植民地であった。そのインドに侵攻してきたのが日本軍である。日本軍の「インパール作戦」(日本名 ウ号作戦)と呼ばれる無茶苦茶な作戦により、俺は現地のグルカ兵と共にイギリス軍に加わることになった。
グルカ兵― 実に優秀であった。今ではブーメランのような形をした「ククリナイフ(kuhkuri  Knife)(ゲームにも第3兵器ででてきます)」が知られるが、グルカ族の男がこのナイフを授かるとき、それは戦士としての証であるというのだからこのグルカ族というのは戦闘部族なのである。

「Kaphar hunnu bhanda marnu ramro」(臆病者として生きるより死んだほうがいい)
これがグルカ兵士のモットーである。(余談だがFlashfyreSP氏もこの言葉を引用している)

このグルカ兵がジャングルでゲリラとして日本軍と熾烈な戦いをして展開してきたのだ。

俺がインドで初めてグルカ兵と行動を共にしたのは、1944年の6月である。
(もちろん記憶力のいい読者ならば、俺が5月にイタリアにいたことはご存知であろう)
俺が着いた村ニントウコンでは俺の到着を歓迎してくれた。暖かい歓迎であった。
このニントウコンという村は、村の外側を川が流れており、この村に入るには2つの橋を渡るか川を横断するしかないのだが、この川の深さは大したことなく戦車でも渡れそうだ。
イギリス情報局は日本軍はもはや進撃できるだけの兵力はないと言っていたが、果たして日本軍にどれほどの戦力があるのだろうか・・・

俺がこの村に着いて今日で一週間が経つが、雨の日が続いていて晴れた日はほとんどなかった。正直インドはこんなに雨が降るとは思ってもいなかった。
昼間ジャングルから戻ったグルカ兵によれば、日本軍は弾薬はおろか食料も底をついていて相当消耗しているという。それにもましてこの雨だ。やつらもやって来ないだろう。

昼飯は俺の大好物のカレーだ。インドに来た理由もこのカレーが食いたかったというのが本音かもしれない。
本場のカレーはうまい!もちろん手で食べるのだが。

その時だった!
「敵襲!!」
「全員配置につけ!!!」
俺が飯を食ってるときにきやがった。許せねえ!


《1ターン》
俺はカレーを口一杯にほおばりながら配置についた。
雨が一層激しくなってきた。
くそう、これじゃあ敵がよく見えねえ。
司令部から川の外に配置についたD小隊のやつらと無線がつながらないらしい。
突然の敵襲で混乱している模様だ。
ということは当然In Coverなんてとれてない。

まだ敵が見えない。
だが確実に敵は近づいてきている。
まるで津波が襲ってくるかのようなこの恐ろしさ。
これは一体なんだ。敵の姿が見えないにもかかわらず肌を刺すようなこの殺気は。
こんなことはこれまでどの戦場にもなかった。

おいおい、こりゃまずいぜ・・
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日本軍はどこから来るのか!
次回予告「戦車だ!」
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今何時なんだよ!

Post by domo » 2007.Jan.28(Sun) 04:15

《2ターン》
来た!
ついに敵が姿を現した。と思った瞬間!砲弾が降ってきた!
双眼鏡で確かめる。戦車だ
戦車だとお?なぜここに日本軍の戦車が?
だがまぎれもなく戦車だ。
馴染みの深いシルエットだ。日本陸軍の97式戦車にまちがいない。
俗に「チハたん」と呼ばれているやつだな。
こんなとこで「チハたん」にお目にかかれるなんて俺もついてるぜ!

今のところ確認できたのは5台。北に3台と南に2台に分かれて来ている。
日本軍が戦車5台も伴って攻めてきたからには、これは完全な総攻撃だ。

インドに来る前にパブで一緒になったイギリス情報部員「ジェームス・セメダイン」の話を思い出した。インドにおける日本軍の戦車連隊は一つしかないらしく、その戦車はインパール作戦に投入された唯一の戦車連隊「戦車第14連隊」であり、その部隊は5月に配属がかわったという報告を思い出した。ならばこの日本軍は「White Tiger」 と呼ばれる「第33師団」にまちがいない。

ま、まさかあの精鋭部隊がやってくるとは・・


橋の外側で配置についているのはわずかD小隊と中機関銃2部隊であり、防御は手薄になっていた。
だが彼らは焦って敵に発砲するようなことはせず、射程レンジを2〜3へクスまでしぼってなるべく近くまで敵をひきつけようといた。
これは正解だ。
もし発砲してしまえば即座に敵に位置を教えることになり、そうなれば敵は確実に火力を集中して一つ一つつぶしていけばいい。

戦車が視界にある建物に砲撃をしかけてきた。大丈夫だ。奴らには見えてない。
ヴィカー重機関銃の射程に敵歩兵が入ったので、すかさず銃弾を浴びせる。
2、3名を倒したが、その後煙幕で視界が遮られてしまう。
敵はきわめて慎重に攻めてきている気がする。何か策があるのだろうか。

司令部がすぐさま援軍を要請、2個小隊とPIAT部隊が30分後に到着すると伝えてきた。
なんとかそれまで持ちこたえなければならない。

長い長い30分になりそうだ・・・
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ご声援感謝します

Post by domo » 2007.Jan.28(Sun) 21:08

《3ターン》
村の外を守備するH1中機関銃隊の視野を埋め尽くす9部隊の敵が現れた。
隊長が無線を通じてものすごい剣幕で司令部に射撃命令の許可を要請してきている。
わかる。その気持ちは手に取るようにわかる。
(注・・もうここで僕自身、撃とうかどうか一日中悩んでます。撃ちてえよぉ)

「す、すごい敵の数ですよ! 隊長、許可してください!」
「まだだ。まだ撃つな!絶対撃ってはならん」
「司令部は俺たちを見殺しにする気ですか!」
「くそう!  ××××!!」

ここで撃つことは敵にダメージを与えることもできるが敵の臨機射撃でこちらは壊滅あるいは後退してしまうだろう。そうなれば次に敵を易々と前進させてしまうことになる。
わずかなことだ。撃ったとしても戦局には大して影響ないようにも思える。
だが行動するにはその先までを読んだ手も必要なのである。
熟練した指揮官のゲームさばきというものは、画面上の部隊の動きに全くの無駄がなく、まるで生き物のように各部隊が意思を持っているのだ。


一方、配置に着いた各部隊は臨戦態勢に望むためにスコップやら何やらで塹壕を掘り次々とIn Coverをとっていた。
こいつら・・グルカ兵の連中・・穴掘るの目茶目茶早いな・・おおお・・まるでねずみみたいだ・・

やつらが穴を掘るのに見とれてしまっている隙に事態は大変なことになっていた。
あっという間に中機関銃隊は全滅した。あいつらあれほど我慢していたのに・・
それだけではない。
川の外の守備隊は北も南も相次いで後退・・敵の猛攻撃を塞ぐどころか一方的な撃ち合いであった。

日本軍司令官の戦い方はまず我々がいそうなところを砲撃で叩いておいて、そのあと歩兵が接近、我々を発見したら今度は戦車の主砲で攻撃、釘付けにされ反撃できないところにまた歩兵が隣接攻撃をしかけてくるという完璧なまでの戦い方だ。
う〜ん、素晴らしい。

おっと感心ばかりしてる場合じゃない。
川の外を守る守備隊は壊滅してしまったのだ。
もはや橋を渡って村に入るのは時間の問題である。

やばい・・この展開は・・やばすぎる。
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一休さん作戦!

Post by domo » 2007.Jan.29(Mon) 02:36

《4ターン》
俺がここニントウコン村に来てまだ一週間。まだ名前も知らない兵隊ばかりなのだが、どいつも俺を尊敬の眼で見つめ接してくれる。それは俺がここに来たその日からそうだった。
酒を飲み交わしグルカ族の踊りを披露してくれたあの歓迎の日―
グルカ族の族長たる老人が俺のところにやってきて、そしてグルカの男が戦士になるという儀式を俺にしてくれたあの夜。
腕に刺青を施し俺もグルカの一人になったのだ。
俺にはインドのためとか、国のためといった大義はない。
だがグルカ族の一員としてこいつらと戦おう。
俺はそう誓った。

その俺にできることがひらめいた。
俺たちB1分隊が守る南の橋の手前に俺は一本の立て看板を立てたのだ。
そしてその看板に「このハシ渡るべからず」という日本語で書いた紙を貼った。
「これで奴らこの橋の真ん中を渡るに違いない!そこを攻撃しよう!」
振り返るとグルカ兵のやつら「グッドアイデア!」と俺のジョークに感心してくれやがった。ほんとおまいらいい奴だ。


我B1分隊のいる建物の200mほど前方に敵影が確認された。
先頭の日本兵は立て札をチラッと見てから、橋を渡らずに川をそのまま渡ってきた。
そして先の攻撃を受けて後退したD1守備隊が隣接してきたその日本軍歩兵と戦闘を始めた。
手榴弾、ククリナイフで応戦している。我らも敵に援護射撃を見まわせる。
おおっ、やっつけた。敵が後退した!!
D1守備隊の兵士と目と目があう。思わず頷く。
今のアイコンタクトは何だったんだろう。
多分橋を渡ってこなかったってことに対する俺への皮肉と感謝のあらわれだろう。

敵の作戦がわかってきた。
北と南の橋はやはり拠点(VHが4つ)であるため正攻法で攻めてきているが、その北と南の真ん中のあたりを歩兵1小隊を使って渡河してくるようだ。

現在の被害状況― 歩兵2個分隊全滅、1個中機関銃隊全滅。
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一休さん作戦「このハシわたるべからず」
次回予告「グルカに乾杯」
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全米が泣いた!

Post by domo » 2007.Jan.29(Mon) 20:13

《5ターン》
「ズドーン!」突然、俺たちのいる建物に戦車が主砲をぶっ放してきた。直撃を受けて分隊長が即死。すかさず橋を渡ってきた歩兵部隊の攻撃を受けまた一人がやられる。
分隊長がいなくなったため一時的に後退を余儀なくされた。煙幕をはり建物の裏手から抜け出す。そこに小隊長が駆けつけてくれ、急きょ俺に指揮をとれと命じた。
俺は分隊の指揮をとることになった。
小隊長にも助けられ我が分隊は一気に回復に成功する。

戦況を見渡した。硝煙のまじった雨が口の中にはいってくる。
・・辺りを見渡して唖然とするのみであった。
敵の先頭部隊はすでに橋を渡り拠点を確保していた。
もう前線の線と呼べるものは点としてしか残っていなかった。
それも西のヴィカー重機関銃隊と同じ建物にこもっているB2分隊とその横に6ポンド対戦車砲部隊のみであり、ここがやられれば敵は村の中心にあるVHまでなだれ込むだろう。
そうなれば俺たちに敵を押し返すだけの兵力はない・・


北の前線はどうなっているんだ。
こちらでは敵はまだ橋を渡っていなかった。C小隊が奮戦しているー
どれだけ弾を喰らっても砲弾を浴びようとも抑圧が99になろうとも一歩も退かない!
(リプレイで日本軍は2分間もこのC小隊に攻撃を加えていたが、負傷者がでようとこの部隊は後退しなかった。グルカ兵に乾杯!!)
この抑圧99でも後退しない部隊はマネ軍曹のC1分隊であった。
マネ軍曹といえば、この軍曹のおじいさんこそ俺にグルカの戦士としての儀式をしてくれたあの族長だった。
異国から来た俺を自分の子供のように接してくれた族長のことを思い出した。
涙がこみ上げる。いや涙でも雨でもどちらでもいい。


そのときだった!援軍が到着したという報告が入ってきた。
4個歩兵分隊と2個PIAT隊が到着、残りの5個歩兵分隊と1個PIAT隊もすぐに駆けつけるというのだ。
絶望的だった俺の気持ちに火がついた。
「よし!やってやろうじゃねえか!!」
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全米が泣いた!見よ!抑圧99で一歩も退かないグルカ魂を!
次回予告「5匹の虎をしとめよ」
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ご声援ありがとうございます!

Post by domo » 2007.Jan.30(Tue) 23:25

《6ターン》
敵の総攻撃が始まって30分が経過しようとしている
普段ジャングルや密林での対人ゲリラ戦を得意としこれまでにも至る所で日本軍を悩まし続けてきたグルカ兵であるが、真正面から迫り来る戦車に立ち向かうには成すすべがなかった。インパール作戦における日本軍に戦車があまりなかったこともあり、これまでの戦闘で対戦車戦をあまり経験してこなかったためだ。
しかし日本軍の足を止めるには何としても戦車を破壊しなくてはいけない。
5匹の虎(なぜにチハたんが虎なのかは別として)を戦場で放し飼いにしては我々に勝ち目はないのだ。

俺はこれまでの実践で身につけた戦車の弱点を部隊のやつらに教えた。
「いいか、俺たちの持っている武器でも戦車はやっけられるんだ」
「! といいますとこのククリナイフでですか!」
「馬鹿野郎!てめえは死にたいのか!」
「まず相手を鉄の固まりだと思うな! いいかあいつを虎だと思え。もちろん人間は虎より弱い。だから俺たちは知恵を使うだろ。」
「といいますと?」
「いいか若造!罠をしかけるんだ。そして罠に引っ掛かった獲物を・・手榴弾でだな!よく聞いとけよ若造!この手榴弾をだな・・戦車の弱点である・・・」
これでよかったのかどうかわからない。
歩兵が戦車に立ち向かっていって、今までどれだけ成功しただろうか。
むしろ死ににいくようなものである。

ふと俺は奴等がいつも口にするあの言葉を思い出した。

「Kaphar hunnu bhanda marnu ramro」(臆病者として生きるより死んだほうがいい)

なぜだろう。この言葉を口ずさむと俺にも勇気が湧いてきた。
そして獲物を罠にかけるために部下を引き連れて配置につく。

とその時、南の橋を渡ってきた一匹の虎が罠にかかった。
この瞬間を今かと待ち続けた6ポンド(五十七㎜)対戦車砲の放った砲弾が、砲塔と車体に直撃し戦車兵は車体を放棄した模様であった。
だが敵戦車をしとめた対戦車砲は、すぐさま敵の集中砲火を浴び戦闘不能に陥ってしまった。

対戦において焦りは大禁物である。
気持ちの焦りがプレイヤーの右手にわずかな狂いを生じさせる。部隊を死に向かわせるのである。
特に日本人プレイヤーにとっては先祖の血が甦るのであろうか、ひたすら特攻する傾向があるように思えるのは俺だけだろうか。
手持ちの戦車をやられた一瞬焦りからか敵は北の橋に戦車を不用意に前進しようとした。
傾きかけた流れは止まらない。2発の砲弾が「チハたん」をぶち抜き、戦闘不能になったところ止めをさした。

橋の向こうでは爆発した2匹目の虎が雨空に黒煙をふきあげている
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黒煙をあげる「チハたん」
次回予告「僕らPIAT隊を忘れるな!」
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Last edited by domo on 2009.Aug.14(Fri) 23:26, edited 2 times in total.
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いよいよ最終章へ

Post by domo » 2007.Jan.31(Wed) 22:48

《7ターン》
戦況が山場にさしかかってきた。

対人戦でいえば運命の分かれ道になるのがだいたいこのターンになることが多い。
といっても7ターンだとどちらが勝っててどちらが負けてるともいえない。
それなのに両者とも自分が負けていると思い込んでしまうのが対人戦の特徴でもある。
面白い。自分が優勢であると思えばいいのに逆に劣勢であると思う人の心理はなぜなのだろう。


橋を渡らずに別行動で真ん中付近の川を渡ってきた敵の歩兵小隊(3分隊)が我々にとっていやらしい存在であった。なぜなら今の我々にはそこまで守りの手が届かないためである。この小隊の突破を許せば、南の戦線は崩壊する。
しかし勇敢なPIAT隊一隊がその敵に近づき中央の川を渡ってスタックしている敵歩兵にPIAT弾を3発いや、彼らは反撃にあったにもかかわらずすぐさま回復し合計6発の弾を撃ちこみ撃退させた。もちろん彼らは反撃で全滅したが・・

守る基本は攻めることにある。
これは誰だったか昔偉い人が言ったことだが。
俺はこれには賛成だ。人生もそうだと思っている。
人生は守りに入ったらおしまいだと。つまり自分自身と戦わなくなったとき、人は老いるのだ。
おおっとまた能書きをたれてしまって申し訳ない。


南の守備は援軍の到着でかなり厚いものになった。
多分敵の砲撃はもうないだろう。我々はしっていたのだ。日本軍に弾薬が不足していることを。それともう一つの作戦も実行した。それはこれまでの我が方の被害はほとんどが至近距離(3〜5へクス)からの戦車の砲撃と日本歩兵の持つ50mm榴弾筒による水平射撃によるものがほとんどであることがわかったため、地形と煙幕を利用し、敵と隣接した距離で戦うことにした。隣接した距離であればグルカ兵の最大の武器ククリナイフも威力を十分に発揮できる。

問題は北である。
5つのVHのうちの4つ目が敵の手に落ちた。
やつらは5つ目を奪いに来るであろう。(この5つ目だけは800ポイント。残り4つは各200ポイント)これは村の中心にあり、我々はこの拠点を何としても死守しなければいけない。
だが北の守備隊が援軍が来るまでもう少し時間を稼いでくれるはずだったのだが持ちこたえられず後退した。これによって守りのラインが多少後ろに下がってしまった。

ええ?ぐだぐだ言わずに早くやれって?
はいはい、わかりました。
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第一波攻撃の予想
次回予告「玉砕のはじまり」
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Post by sato » 2007.Feb.01(Thu) 13:28

domoさん wrote: 人生は守りに入ったらおしまいだと。つまり自分自身と戦わなくなったとき、人は老いるのだ。
最近白髪が増えたなあって思っていたけど、そういうことだったのか・・・ :roll:
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寒いですね〜

Post by domo » 2007.Feb.01(Thu) 21:34

《8ターン》
「BANZAI」「万歳」「ばんざい」「マンセー」
叫び声と共に日本兵の一斉突撃が始まった。
ライフル、小銃、ククリナイフ、手榴弾など全ての武器を使って必至の防戦。
近接での攻撃ならほぼ互角と見ていい。
第一波攻撃は全て撃退に成功、日本軍は計6個分隊を突撃させたが2個分隊を壊滅、残りは後退した。

俺の守る陣地にもライフル銃を持った日本兵が1分隊突撃してきた。だがどういうことかあまり発砲してこない。日本兵の姿をよく見てみるとこいつら!
迫撃砲兵じゃないか!やつらわざと歩兵を温存し撃つ弾がなくなった砲兵で敵状を視察させたな!迫撃砲兵はコストが高いこともわかっていてそこまでやるか!日本軍め!
だがそうも敵のやり方を非難ばかりしてはいられない。
今の突撃で俺たちの兵力配置がばれてしまったであろう。
多分次は一番兵力の弱いとこを突いてくるにちがいない。


第二波攻撃に備えなければならない。
依然として俺たちにとって一番の脅威となっているのは敵戦車である。
先の対戦車砲の活躍で2台は片付けたが、あと北に2台と南に1台が残っている。
第一波攻撃で敵は歩兵部隊を正面から突撃させるのは無理だと判断したであろうから、戦車を使った側面からの攻撃を仕掛けてくるかもしれない。
いや戦車で正面から来るのか・・
いずれにしても戦車で突撃してくるだろう。
戦車に備え煙幕で2へクスの視界を作らないように完全に遮っておいた。
またグルカの歩兵は手榴弾のみが戦車に対抗できる雄一の武器であるため、歩兵のとっている体勢と状態それに抑圧値が、近接強襲を成功させる重要なポイントになってくる。
そのため各部隊は最低限Defend とIn Coverにしておく必要があるのだが、穴を掘っている時間と各部隊の命令ポイントが足りない。

敵が少しでも攻撃を遅らせてくれれば有難いことではあるが・・・


俺は煙草に火をつけた。
辺りを見回してみる。
雨は止んでいた。そして一瞬戦場は時間が止まったように静まり返った。

次回最終回「グルカの誇り」乞うご期待!!
Last edited by domo on 2007.Feb.26(Mon) 19:17, edited 2 times in total.
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こたつでうたたね

Post by domo » 2007.Feb.02(Fri) 22:25

《9〜10ターン》
第2波攻撃が始まった。今度は戦車を先頭に敵は勝負をかけてきた。
北の我が部隊は道路を挟んで両側に陣地をつくっていて、先の突撃では道路上で我々の両陣地から近接した交叉射撃の的になった。
だが戦車は陣地の手前で道路を外れ一番守りの薄い北の陣地の一角に方向を変えた。
まずい。そこには歩兵3部隊が守っていたが消耗した部隊であった。そうあのグルカ魂を見せてくれたグルカの族長の孫もいた。戦車を待ち構える兵士たち。次の瞬間、一人のグルカ兵が飛び出し戦車の車体の下にもぐった。そして手榴弾をいくつか抱いてそのまま自爆した。
「ドガーン」やったか?
戦車が止まった。
だが次の瞬間!やられたはずの戦車が生き返り、止まったまま主砲を撃ち始めたのだ。
50mほどの至近距離で撃たれたのではひとたまりもなかった。あっという間にスタックしていた3部隊は壊滅状態になり、なんとか生き残ったものは後方に退却をしたが、そのあとを敵歩兵が追い討ちをかけてそのまま全滅・・・

今度は南にいた戦車がVH目がけて突進してきた。
VHまでの距離はあと50m。
その前で体を張って戦車を止めようとする歩兵達。
次々に手榴弾が投げ込まれる。誰かが戦車のハッチをこじ開けて手榴弾を投げ入れた。
「ドーン!」戦車が炎上した。なんとか食い止めたのだ。
だが突破された北の陣地から敵歩兵がどんどん侵入してくる。
まるで蟻の集団のようなものすごい数の敵歩兵のアイコンが近づいてくるのが見えた。
もう何がどうなっているか収集がつかなくなってきた。
しかしグルカ兵は後退してもなお突撃してくる敵歩兵を反撃し撃退している。すごい。本当にすごい奴らだ。
これほど戦うということ、殺し殺されるということを当たり前のように成し遂げる者達を見たことがなかった。グルカ兵は真の戦闘部族である。

敵は次こそVHを奪いに来るだろう。まだ戦車は一台残っている。
もし一度でも敵の手にVHが奪われてしまったら、それを再び奪還することは不可能である。
そのためにもVHを死守しなければいけない。
大至急、南の部隊をVHにまわすことにした。
敵はVHの手前100mまで来ている。
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第二波攻撃も防ぐ
次回本当に最終回「勝利なき戦い」
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domo戦記を読んでくださってありがとうございました

Post by domo » 2007.Feb.04(Sun) 04:28

《11〜12ターン》
これが最後であろう第3波の攻撃がきた。もう何波でもいい。
一体どうなっているのだろう。ものすごい数の日本兵が次から次へと襲い掛かってきた。
赤軍の比ではない。やられてもやられてもどいつも皆、「BANZAI」「BANZAI」と叫びながら、死体を乗り越えて突撃を繰り返すのだ。
そして我々の臨機射撃でばたばたと倒れていった。
運よく弾に当たらなかった者は一人になってもライフルを発砲してきた。また敵のへクスの中に後退してそのまま自害するものもいた。
そしてなんと司令部自らも突撃してきたのだ。
日本軍司令官は、気でも狂ったのか!!
こ、これはもはや戦術なんかではない・・・単なる・・・・もしや!・・これが玉砕では・・・・


とそのとき、俺のほうにも敵はやってきた。
VHの方へ部隊を送ったので手薄になっていたが、司令部も一緒になって防戦してくれる。
やつら・・一人になっても突撃してくる・・有り得ない・・こいつら人間じゃない・・

そのときだった。
どこから飛んできたかわからない銃弾が俺に当たり俺はその場に倒れた。
「くそう、これじゃあどれだけ命があっても足りないぜ・・・バタッ・・・・・」


そのあとのことは覚えていない。
この戦闘がどうなったのか。どっちが勝ったのか負けたのか・・
見方の死体と敵の死体が入り乱れてあちこちに転がっていた。

VHの手前で力尽きた敵の最後の戦車が燃えていた。
グルカ兵は5台の戦車を全て撃破したのか・・
その戦車の周りにはどれだけあるか数える気にもならない日本兵の死体・・・
生き残った兵士に聞くと日本兵は動ける者は最後は全て突撃してきたというがその兵士の目は地獄を見てきたような絶望が漂っていた。

あと一歩だったそうだ。最後はVHを守っていた見方の部隊もやられ後退し、VHはぽっかり空いてしまったのだが、敵はそのVHまでの1へクスにたどりつくことができなかったらしい。

捕虜となった日本兵に話を聞くと、弾薬も底をつき食料さえもない状態だったという。
やつらはこちらが与えたカレーライスをがぶりついて涙を流していた。
俺はやつらにタバコをやった。

今回の戦闘の集計が出ている。
グルカ兵の死傷者は148名(これは総数244名の60%)
日本兵は死傷者309名(総数は不明だが全体の80%弱と推定)

これだけの死傷者をだしてまで勝ち負けにこだわるのはよくないが、どちらが勝った負けたが気になる読者の方もおられることであろうから
一応結果は1854:1174 「ドロー」
もし最後のVHに日本兵がたどりつけたとしても「ドロー」にはかわりはなかった。
あえて勝敗をつけるならば、800VHを守ったインド軍の「かろうじての勝利」であり、日本軍にとっては「痛すぎるドロー」であろう。


かくして村は守った。
一体この村にどれほどの価値があったのかはわからない。
俺は負傷したため、グルカ兵を除隊し再びイギリスに帰ることになった。
俺を見送るグルカの族長の姿があった。
そして「息子よ。お前は勇敢なグルカ族の一員だ。さあこれを受け取れ」
といって俺に素晴らしいククリナイフを下さった。

その戦闘から一ヶ月後の1944年7月、日本はついに「インパール作戦」の中止が決定、日本軍は本土に引き揚げた。
・・グルカ兵の戦争は終わった。


しかしここで俺が目にした光景―
俺がこの目で見た日本兵の玉砕。
それは実はほんの一部であることがその後わかった。
グルカ兵の戦争は終わったが、地獄絵図はその後も残った。
彼ら日本兵はインパール作戦が始まって以来、薬はおろか一発の弾薬も一粒の米も補給のない極限状態で、見方の肉を食いながらうじ虫のわく屍と共に竹槍で戦い続け玉砕したのだった。日本兵が引き揚げたのちグルカ兵が日本軍のいたジャングルに足を踏み入れたがそこには何万もの軍服を着たままの白骨があったという。
そのほとんどが餓死によるものだったというのだ。
(この作戦で日本兵8万6千名のうち、生きて帰ったのは1万2千名、傷病者4万名のうちほとんどが飢餓だった)
このことを知ったグルカ兵は同じアジア人でありながら殺し合い、日本兵を死に追いやったことに対する後悔の気持ちから敵であるはずの日本兵の為にグルカ兵達は泣いたのであった。


最後に
『戦後日本の遺骨集集団がビルマについたとき、その時、遺骨収集を買って出たのがかつて日本兵と戦った元グルカ兵達であった。彼等は日本兵を最強の敵、そして友と認め、彼等が安らかに祖国で眠れるようにと遺骨の収集に名乗り出たのである。そして戦死した日本兵とグルカ兵を弔うべく、かつての戦場にはビルマ戦没者慰霊碑が建てられた』


あれ?諸君、目から何か熱いものが流れておられるようだが、近頃だいぶ涙もろくなったせいかな?
いや、ちがう?
ああ、花粉症ですか!
ははあ、もう花粉症の季節となりましたか。

では読者の諸君、今回も長々とお付き合いくださったことに感謝する。
また無事ならば次の戦場でお目にかかろう。
(次は戦車乗りなんかがいいなぁ)
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プラモデルだけどグルカに乾杯!
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Post by sato » 2007.Feb.04(Sun) 15:03

domoさん同様ぼくも涙腺が随分と弱くなりました。 :wink:
ありがとう。感動した! :cheers
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domo
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domo戦記3入稿始まる!!

Post by domo » 2007.Feb.05(Mon) 04:03

Ciao ! Colonello Satoni

How about condition these days?
I'm very honored to read.
I do my best from now on.

Thank you so much

sir !!
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