<おしらせ1>
またまた、いつの間にか掲示板がダウンしていたようですね。ログを見ると、およそ2年半ぶりの改修です。
この間、何度かメールでご要望があったようですが、この度ようやく重い腰を上げて掲示板を修復いたしました。
管理不行き届きで申し訳ありません。

<おしらせ2>
サイト管理を楽にするために体裁を変更しています。
本サイトのメインコンテンツであったSPWAWの解説記事は以下からアクセス可能です。
SPWAW解説記事一覧


<5分で調べたSPWAW界の近況>

びっくりしたことーその1「Depot リニューアル」
SPWAW界を長年牽引してきた世界最大のファンサイトSPWAW DEPOTが、昨年の4月に閉鎖、13年の歴史に幕を下ろしたようです。
と同時にDepotメンバーの一人 Falconさんが新たなサイトSPWAW DEPOTを立ち上げたようですね(笑)。
まあ、中心メンバーが入れ替わって、こじんまりした感はありますが、実質的にはリニューアルって感じですかね。
旧DEPOTの遺産は相続されているようで、今後ともがんばって欲しいところです。
https://www.tapatalk.com/groups/spwawdepot/

びっくりしたことーその2「砲撃要請画面ラグ解消」
マルチコアCPUが普及した頃でしょうか、ある程度以上のスペックのPCでは、砲撃要請画面で挙動がおかしくなる不具合がありましたね。
それが原因でSPWAWを離れた・・という方もおられたような記憶がありますが、どうやらこの不具合、ついに修正されたようです。
これもDEPOTメンバーのおかげみたいですね。Matrix Games 公認(というか黙認ですね)のもと 、本体ファイル MECH.EXE をいじることに成功したようです。
https://www.tapatalk.com/groups/spwawde ... -t277.html


というわけで、この機会にもう一度SPWAWをやってみようかな、と思われた方は次のリンクからダウンロードをどうぞ。
DEPOTで全てのファイルのホスティングも始めたようです。
https://www.tapatalk.com/groups/spwawde ... es-t6.html

ST JEAN DE DAYE

シナリオAARの投稿
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ST JEAN DE DAYE

Post by 老兵 » 2005.Nov.15(Tue) 12:05

SPWaWのバージョン : v.8.4
シナリオ名:ST JEAN DE DAYE
作者:Sato
使用陣営(国籍):US Army
所要時間 :22ターン 4時間

難易度:☆☆☆☆★

Preference設定 デフォルト C&C on



時は1944年7月9日 フランス。
サン・ジャン・ド・デイの攻略の日、その日は午前9時になっても朝靄は晴れなかった。
なだらかにアップダウンを繰り返す街道は真っ直ぐに伸び、左右には果樹園とそれを
仕切る生垣がいくつも、いくつも続いていた。この辺り特有のポカージュと呼ばれる地形だ。
ドイツ軍は巧みにそれらを利用し、我々を待ち構えている。攻めるのに難く、
守るに易い地形だ。火力支援は効果を上げず、航空支援は返って逆効果になる。
ロンメルの増援部隊がフランス南部に到着したという情報もあった。

我々は速やかに前進し、マップ右手下の集落に点在するVH(第二VH群)とマップ右奥の
集落にあるVH(第一VH群)を奪取しなくてはならない。

「よ〜し、野郎ども!今から腐った女どもの抓り合いをおっぱじめる!ぶっ転がせ!」
「ラジャ」

アイドリングからギヤが入り、76mm M1A1C砲を積んだシャーマン、コールサイン
「アンバー1」はうなりを挙げて街道を驀進しだす。 
76mm M1A1Cを積んだもう1両のシャーマン「アンバー2」が続く。
「アンバー3 ランディ、アンバー4 ダーレィ聞こえるか?」「感度良好」
「ポーラ1、エストラーダ。ポーラ2 アーノルド。ポーラ3 ハル。ポーラ4 
チーク そちらはどうだ?」「同じく感度良好」
8両のシャーマン戦車隊は注意深く街道を進んだ。左右に展開した歩兵部隊は、
生垣をひとつひとつ乗り越え、掻き分けながら安全を確認していく。

第一ターン
【B0, C0, C1, C2, C3並びにH0迫撃砲にはやくも被発見マークが付くが、敵は視認できない】

申し遅れた、私はノールマン中尉。アンバー1の戦車長である。
「砲手、いつでも撃てるように準備しろ」「らじゃ」「こちらアンバー1 
偵察部隊から何か言ってきているか?」「まだの様です」
しばらくは何事も無く街道を前進する。
しかし、遠くにぼんやり霞む十字路や、生垣の茂みの中から、敵は虎視眈々と我々の
接近を待ち構えているのだろう。我々戦車は装甲に守られてはいるものの視界は極端に悪い。
どうしても歩兵の目に頼らざるを得ない。
最初の十字路に差し掛かる前に、戦闘の火蓋が切って落とされた。
「こちらネルソン(C0)、敵の偵察部隊と遭遇、交戦中」「ブローニング軍曹(C1)
迂回しろ」一斉にライフル部隊が射撃を開始する。「敵後退しました。
小勢力だったようです」ネルソン隊とブローニング隊が敵偵察部隊を駆逐した。

「こちらハミルトン(F2)です。お迎えのご婦人を発見しました。IV号戦車の様です。
かなりよくカモフラージュされています」 「よし、攻撃は控えろ。 援軍をまわす」
「戦車部隊アンバー、ポーラ停止せよ。今その十字路に顔を出すとヤバイ」
私は、他の戦車を停止させ歩兵部隊の指示を待つことにした。

第二ターン
【C0, C1がドイツの偵察隊を発見、攻撃。敵は後退。 F2が突撃砲を発見。
D0, D2, F0は未だ敵を視認できず。

「IV号戦車に熱いの一発ぶち込んでくれ。位置00」迫撃砲に砲撃命令が伝達された。
ネルソン少尉の隊が引き続きドイツの偵察部隊を追撃していく。
「ブローニング軍曹(C1)、アンダーソン軍曹(C2)、オルソン少尉(E0)、ウォーターズ軍曹(E1) 
それぞれ迂回してIV号戦車を包囲しろ。 次ターンで迫撃砲の着弾と同時に突っ込む!」

第三ターン
【迫撃砲にIV号戦車への砲撃要請】

「ポッ・・シュルシュルシュル・・・ズガガガーン」60mmM2迫撃砲が着弾した。
「突撃!」
歩兵隊は、迫撃砲の着弾硝煙も消えぬ間に一斉に戦車に肉薄した。 
破壊されないまでも直撃を喰らったIV号のドイツ戦車兵は一瞬たじろいた。
そこへライフル兵からの手榴弾が投げ込まれる。
「パンパンパン」「バキューン」「ズム」「ガキョーン」しかし破壊できない。
グィィィィィン IV号の7.5cm Kwk40 L48砲塔が旋回する。危ない!敵は反撃体勢を整えた。
このままでは歩兵がなぶり殺しにあってしまう。
「撤収しろ!ずらかれ!」歩兵部隊が逃げ出した。
「こちらアンバー1。リトルフレンドたちがやばそうだ。アンバー2そこからIV号狙えるか?」
「ちょっと難しいがやってみます」ブロス軍曹(I1)は道から右に入り、長距離ながら
IV号を射線に捕らえる。「距離10ヘックス。ってー!」
76mmM1A1Cが的確にIV号の側面を捉えた。
「ぐゎッシャーン」
「ワン・ダウン!」
「グッジョブ!(good job)アンバー1。ポーラ1,2,3,4最初の十字路の安全は確保した
前進せよ」

第四ターン
【C0,C1,C2,E0,E1がIV号に肉薄。迫撃砲着弾。I1シャーマンジャンボが破壊】

「伏せろーーっ!敵の間接砲撃だ」シュルシュルシュル ドーン、ドーン、ドーン
空を引き裂いて敵の105mm砲が着弾する。しかし、その場所は幸運にも既に全ユニット
が移動した後だった。
各歩兵部隊、偵察隊は慎重にも、慎重を重ね1ヘックス移動、哨戒を繰り返す。

第五ターン
【敵の盤外砲撃あるが被害無し。 前進】

「こちらケンプ軍曹です。街道沿いに敵のライフル小隊と対戦車班を発見しました。
援護願います」
ダーレイ軍曹の75mmシャーマン(J1)が間合いを詰めて、一斉に砲撃する。
堪りかねた敵ライフル小隊は煙幕を張り撤退する。それを追ってパルマー軍曹が前進する。
しかし、なんと右手の生垣沿いにIV号戦車が待ち構えていた。
「くそ〜ヤバイぞ、伏せろ!」
その頃偵察班のキャンプベル少尉(F0)から新たな敵発見の報告が入る。
「左の森影にStuG ausfG(L)が隠蔽されています。これ以上の前進は危険です」
「ケンプ軍曹! スモークを張れ!この十字路は死の交差点だ!」
なんと我々は左右双方から狙われている。歩兵が張り巡らせたスモークの中を、
しゃにむに街道を進む。停滞は”死”だ。多少危険でも前進あるのみ。
「援護砲撃要! 左右から挟撃されています。位置XX、 繰り返します位置XX」

第六ターン
【D2が敵歩兵と対戦車班発見。J1が排除。D1がIV号発見。F0が突撃砲発見。
迫撃砲並びに盤外火砲支援要請

シュルシュルシュル ドーンドーンドーンと盤外火砲が森の中に着弾していく。
「状況を報告せよ!」「かなりヤバかったです。こちらの(F0)の隣接ヘックスに
落ちましたぜ」「敵の様子はどうだ?...」
私は、アンバー1を右に寄せ一気に敵IV号と勝負に出た。しめた!まだ敵は混乱している
「一気にぶち抜け!頼むぞ」「てーっ!」ドン・・・・グヮッシャーン!「やたー!」
76mm砲は強力だ。
その頃、下方のVHに向かっていたライフル隊が攻め倦んでいた。見通しのよい畑に
差し掛かり、VHを取り巻く村落の建物に機関銃が居座っているらしい。
全員貼り付けになり、匍匐のまま撤退もままならない。

第七ターン
【I0前進。迫撃砲着弾。盤外砲は、やや狙いを外す。I0がIV号を破壊。突撃砲からの
射線を煙幕を張りしのぐ。下方の歩兵隊は銃撃で貼り付け】

シュルシュルシュル ドーンドーンドーン ほぼ毎ターン迫撃砲の支援が得られる。
上方の森に潜む敵突撃砲に直撃弾が落ちた。
「よし、もらった!」ブロス軍曹のアンバー2(I1)が突っ込んで行った。
私は、ちょっと強引かなと思った。「気をつけろ、深追いするな!ブロス」
悪い予感は的中するものだ。
なんと森の右手奥の別の方角からアンバー2(I1)が砲撃を受ける。
「しまったー。敵は一両じゃないっ!他にも居るぞ!」「敵はどこだ?戦車か?
対戦車砲か?」「まったく判りません!とにかく攻撃を受けました!」
ドン!ガキューン
「シーット!助けてくれ!」
私は超信地旋回をすると、アンバー2の救援に向かう。
「近隣の歩兵はアンバー2の救出にむかえ!とにかくスモーク!」
アンバー2は二回目の砲撃を受けたが、なんと幸運なことに今回も外れた。
その瞬間、発射の閃光が木立の間に光った。敵の所在がわかる。
「右15度、森の切れ目に居る。射手確実に落とせ。狙え。てーっ!」
ズン・・・・・・ズドーン! 見事に射抜いた。 
バラバラバラバラバラ と敵が機銃で反撃してくる。最初の敵は味方の迫撃砲で
主砲をやられているらしい。
「たのむぞブロス軍曹、そっちのご婦人のお相手をしろ」「らじゃー」
落ち着きを取り戻したアンバー2は難なく敵突撃砲を破壊した。

一方下方にむかっているライフル部隊は、依然見通しのよい草原で釘付け状態が続いていた。
「こちらアンバー1.ポーラ1,に命令!第二拠点の奪取に向かった歩兵隊が苦労しているらしい。
2両行け! 右に展開してライフル隊を援護せよ」「らじゃ」
旗を下方VH方向に立てなおし、シャーマン2両が全速で疾駆し友軍の加勢に向かった。
途中敵歩兵拠点を砲撃しつつ、下のVH群へ急ぐ。

その頃下方VHに向かった歩兵部隊は、救援の戦車の到着を今か今かと待っていた。
ほとんどの小隊がばらばらに草むらに釘付けにされている。頭の上をドイツの
MG42マシンガンの銃弾が飛び交う。 掩蔽物も無く、更に3方向から攻撃を受け、
退くも進むもならない状況だ。 各小隊に被害が増える。
「ハミルトン、そっちから敵の掩蔽壕が見えるか?」「残念ながら視認できません」
「このままだと、敵に良いようにされてしまう」

そこへ、追い討ちをかけるように司令部から連絡が入る
「フラワーズ大尉(B0)進捗しとらんようだが、第二VH群の攻略は、
いったいどうなっている? 00時までに確保は出来るんだろうな?えっ?」
「ただ今、接近しておりますが、掩蔽物も無く前進できません」
「命令は判っているな?」「はい第2VH群の奪取です」
下方VH群奪取班の指揮をとっているフラワーズ大尉は苦難の表情を見せた。
そんな事にお構いなく司令部からの無線は続く。
「フラワーズ! 忘れているな、君は。『第二VH群の奪取』に付帯条件が付いているのをな!
『速やかに』そして『如何なる犠牲を払っても。だ!』判ったら兵を進ませろっ!」

1ヘックス移動でもかなりの死傷者が続出する。
そんな時、向こうのなだらかな丘の端から友軍のシャーマンが近づいてくるのが見えた。
歩兵隊は歓声を上げる。
「ヘイヘイヘイ!おそいぜハニー! デートに遅れちゃ!」
「頼むぜ!あの小屋ごとぶっ飛ばしてくれ!」
ポーラ1(K0)、ポーラ2(K1)は小屋に向かってたっぷり主砲を叩き込む。
二階建ての木造家屋はバラバラに屋根ごとぶっとんだ。
しかし敵の塹壕は未だ発見できていない。

第八ターン
【突撃砲に迫撃砲弾的中。I1が突っ込むが別の突撃砲に狙われる。
I0が破壊。L0、L1を下方のVHに向ける】

しかし、安堵するのはまだ早かった。
「ブロロロロロロ」「キュルキュルキュルキュルキュル」敵戦車の走行が聞こえた。
「右手の道路からIV号戦車!発見!こちらに向かってます」
「更に下方より突撃砲発見!友軍に接近中!」
新手の敵が出現した。
歩兵部隊は草むらに這い蹲るだけで、どすうる事も出来ない。
「まかせろ! くたばれドイツのオカマ野郎!」ポーラ2がIV号の側面を捉えて射抜く。
「へっへっへっ。どんなもんだい!ざま〜みろ!」
アーノルド軍曹(K1)が展開したその瞬間、下方遠方から閃光が走った。
「ズガーン、グヮッシャーン」「ああーーーっ!」
一瞬ポーラ2の車体が浮き上がり、そうして反転すると紅蓮の炎が噴出した。
「アーノルド!アーノルド!脱出しろ!アーノルド!」ポーラ1のエストラーダ少尉が
絶叫する。しかし応答は無かった。
「75mm PaK40 対戦車砲がどこかに隠れている!」

「こちらポーラ1(K0) ポーラ2がやられました。対戦車砲です。それに敵は我々の後
を追って後方から挟み撃ちにする心算です。
歩兵が発見できなかった奴等が動き出したようです」
「わかった援軍を送ろう。 ポーラ3(L0)、ポーラ4(L1)下方に向かえ」
私は更に2両のシャーマンを下方に送った。

第九ターン
【IV号が右から、南から突撃砲が現れる。ポーラ2がIV号を破壊するが、逆に見えない
対戦車砲に破壊される。L0, L1の旗を下方VH群に立てて2両向かわせる】

街道の奥手にある第一VH群の攻略もままならず、戦力を割くのは辛いが
このままではどちらのVHも確保できなくなる。
街道では、前進する歩兵部隊が犠牲を出しながらも敵の掩蔽壕を発見し、
そこを戦車で叩いて行く。歩兵の死傷者は増える一方で、戦線は遅遅として進まない。
部隊全体に焦燥の色が深まった。特に十字路は危険このうえない。
「こちら偵察隊のミラーです。対戦車砲と突撃砲が居ます。迫撃砲を要請します」
数秒後、炸裂音と共に敵の居たあたりに硝煙が立ち込めた。
「回り込め、アンバー2、3、4 出来るだけ接近してしとめろ」
狭い十字路で、シャーマン戦車は、少しでも安全、かつ良い射撃位置を得るために、
ひしめきあった。こんな場所に盤外砲撃を喰らったらたまったものではない。
しかし、これがポカージュ戦の宿命だ。
第一VH群に向かう街道に散開する歩兵の数が減ってきた。

第十ターン
【更にIV号を破壊。F1が対戦車砲、突撃砲を発見するも戦力不足で攻撃できない。
迫撃砲要請。下方の脅威である対戦車砲は、位置のおおまかな推測は出来るが発見に至らない。】

シュルシュルシュルシュル ズムズムズムズム
友軍の迫撃砲が降り注ぐ。生垣を飛び越えたミラー軍曹の偵察隊は、果敢に
敵対戦車陣地に肉薄する。
ズキューン。バンバンバン。ガーランドライフルが至近距離から対戦車砲陣地に
撃ち込まれる。
「よし、今だ!」ダーレイ軍曹のアンバー4が突撃砲に向かった。
敵は先ほどの迫撃砲の着弾で慌てている。それにアンバー3が続く。
ズガガガガーン、グヮッシャーン。 突撃砲を仕留めた。
しかしその時またしても、
バーンと閃光がひらめくと、アンバー4は後部を貫通され黒煙を噴いた。
なんと対戦車砲の瀕死の際に放った1発が運悪くシャーマンに命中したのだ。
敵75mm PaK40 ATGはミラー軍曹達の銃撃をかいくぐって発射したのだった。
ミラー軍曹はそのまま前進し対戦車砲陣地を蹂躙する。生き残った敵の砲手達が、
塹壕から転がるように這い出して逃げて行った。
「追撃!」
畑の中を、我先に逃げ惑う砲兵の残兵達に容赦なく撃ち込まれるライフル弾。

第十一ターン
【迫撃砲着弾。アンバー4が突撃砲を破壊するが、対戦車砲でやられる】

戦いは硬直状態になった。US軍に焦燥の色が濃くなる。時はドイツの味方だ。
刻々と過ぎる時間が更に圧迫を加える。
歩兵部隊は、草むらを1インチずつ前進するも敵の銃座からは容赦なく銃弾が降り注ぐ。
「敵の対戦車砲を探せ!」
懸命に歩兵が前進しその姿を求めるが、おおよその位置しか判明しない。
果敢に突撃をするが、その度に草むらから敵の機銃弾が、容赦なく降り注ぐ。
一歩一歩血で血を購いながら、我々は前進を続けた。

第十二ターン

【迫撃砲着弾。 小屋にシャーマンがZ射撃】

「対戦車砲の、大まかな位置が視認できました。迫撃砲並びに盤外砲の援護射撃を
要請します。我々歩兵部隊は着弾と共に突撃、なんとしても敵位置を視認いたします」
フラワーズ大尉からの決死の報告が司令部に伝達された。
「よし、全砲撃をフラワーズの指定位置に照準! 全兵力を挙げて第二VH群の確保を敢行せよ」司令部からの激がとぶ。

○○時○○分。きっかりに友軍の砲撃が始まった。
敵の対戦車砲が布陣すると目される地点に友軍の砲弾が着弾し、硝煙と砂埃が
舞い上がった。
「全軍突撃!」
「チーク(L1)行くぞ」「おうよ!」
エストラーダ少尉はポーラ1を小屋の影から回りこませると、全力で進ませた。
シャーマン戦車が勝つか、75mm PaK ATGが勝つか!?
草むらを疾駆する戦車の後を、歩兵部隊が続く。敵が息を吹き返す前に発見して
砲撃をしないと、シャーマンは確実に装甲を射抜かれる。
エストラーダ少尉はハッチから身を乗り出して敵の掩蔽壕を探す。
その時、右手前を走る歩兵が、なにやら生垣の曲がり角を指して大声を上げている。
エンジン音にかき消されて判らぬが、どうやらあの方角に何かを発見したようだ。
「右15度、発射用意・・・・・・ってーー!」
ズガーーン 砂埃が舞い上がる。榴弾が装填される。一刻をも争う。
ライフル兵が肉薄する。 肉片と閃光が飛び散る。
ついに我々を苦しめていた敵の対戦車塹壕は沈黙した。
「よし、チーク、エストラーダ 第二VH群は歩兵部隊にまかせ、一VH群に向かうべく
主動部隊と合流せよ。2両は下方より第一VHを攻略せよ」

第十三ターン
【迫撃砲着弾。L1, K0が対戦車砲を破壊】

しかし、敵の反撃も熾烈を極めた。
「伏せろーーーっ!」敵の105mm盤外砲が今しがた奪取した第二VH群の近辺に着弾する。
その混乱も冷め遣らぬ間に、歩兵部隊から報告がはいる。
「後方から敵突撃砲が迫っています。新手です。掩蔽物も無く歩兵部隊では
阻止できません。確保したVHが陥落寸前です」悲痛な叫びが伝わる。
いったいどこに隠れていたのか。前進を続けていた歩兵部隊は、まだIn coverに
なっていない。
対戦車砲陣は沈黙したとはいえ、未だに敵歩兵部隊が数箇所に塹壕化している。
撤退する歩兵に容赦なく一斉射撃が加えられた。
「ネルソン(C0)、ブロウニング(C1)左に展開して敵銃座を潰せ」
「歩兵部隊は、VHの確保! 戦車の到着まで、持ちこたえろ。突撃砲を、阻止せよ。
このままでは司令部までがら空きになる」

第十四ターン
【StuG ausf G(L)が後方からVHを脅かす。敵105mm FH着弾。
下方第二VH群に向けた戦車2両(L1)(K0)並びにライフル小隊(C0)(C1)の移動教導旗を
右手第一VH群に変更】

「こちらオルソン!こちらオルソン!(E0) 敵の突撃砲により攻撃を受けつつあります!」
「こちらエリス(E2) 撤退します!」
畑の向こうにポンポンとスモークが炊かれ、友軍の歩兵が、一人、また三人と撤退してくる。
「持ちこたえられません! 至急援護願います。 繰り返す。 こちらオルソン大至急援軍を願います!」

第二VH群の集落で一息つく間もなく右手に突撃砲の出現を受けたシャーマンは
友軍の歩兵救助に向かう。
辺りは畑だが、いたるところで上がる硝煙とスモークで射線が限られている。
しかし運良くぽっかり開いた煙幕の切れ目に、敵突撃砲の横腹が飛び込んできた。
多少距離はあるが、抑圧をかけて歩兵への攻撃を中断させることは出来るだろう。
「撃てーーっ!」(L1)
シュルシュルシュル、ズーン。外れた。
「装填、撃てーーっ!」
ガン。 弾かれた。
「装填、撃てーーーっ!」
ガン。 またもや弾かれた。
しかし、かなりのダメージを与えた模様で、敵の搭乗員がハッチから脱出を試みている。
「よし!もらった!」
歩兵部隊は、搭乗員が飛び出した突撃砲に肉迫した。
ライフルが一斉に火を噴き、ハッチから身を乗り出した敵戦車兵は、バラバラと崩れ落ちていく。
だが、一斉攻撃に移った味方歩兵の動きを、敵が見逃すはずも無い。
「ドドドドドド」と敵掩蔽壕からすさまじい火力の掃射を受けた。
「うぁーーーーっ!」 一瞬にして友軍が倒され、小隊が壊滅状態になった。

第十五ターン
【第二VH群にStuG ausf G(L)接近。L1が阻止するも歩兵小隊数部隊が消滅】

一方、我々の目指す第一VH郡の集落攻略もクライマックスを迎えた。
敵の反撃も熾烈を極め、双方戦力の削りあいが続く。
悲しいかな我々戦車は歩兵の接近攻撃に無力だ。

「すべての物陰に敵が潜んでいると思われる。迫撃砲ならびに盤外砲撃を集中させろ。
ポーラ1、ポーラ2は第二VH群から大回りで第一VH群の集落に向かえ。敵を二方向から
挟撃する。キャンプベル(F0)は左に展開して敵の位置を確認せよ」
第一VH群に対する総攻撃まであと2ターン

第十六ターン
【最終VH集落への攻略開始。迫撃砲、盤外砲の事前砲撃】

下方から回り込んだポーラ1、ポーラ2が所定の位置についた。
「こちらノーマン、ポーラ1、ポーラ2入り口の建物にZ射撃を開始せよ」
「・・・・」
「どうしたポーラ1?」
「こちらポーラ1 エストラーダです。主砲が故障しました!」
なんとシャーマンの主砲が逝かれたらしい。機関銃だけでも無いよりはましだ。
「エストラーダは、極力敵歩兵の排除に努力せよ」
ポーラ2のみでのZ砲撃となる。
盤外砲撃が集落に加えられ、あたり一面濛々たる硝煙に包まれる。
木造家屋は炎上している。
「敵の位置はまだ判明しないのか!」「敵はどこだ!」
友軍に焦りが見られる。焦りは稚拙を、稚拙は死を意味する。

第十七ターン
【間接砲撃要請。第1VH群に接近するも敵の全貌がつかめず、1ターン消費
全軍を突撃位置に配置】

「居ました! 突撃砲、納屋の後ろにへばりついています。 各建物には歩兵が
篭っています!」
上方から偵察隊キャンプベル少尉からの報告が入る。

「全軍突撃!」

私はハッチに滑り込むと、アンバー1を前進させた。射程はゼロ照準である。
車間を1おきアンバー2が続く。右手奥からもポーラ1、2が進撃を開始した。
我々の目標はあくまでも敵の突撃砲だ。
後ろに続く歩兵部隊は、周囲の家屋に陣取るドイツ歩兵に銃撃を加え、友軍戦車
への接近攻撃を阻止する。
「左前方!左前方!パンツァーシュレック! そいつだっ! そいつを真っ先に
潰せ!」
「ポーラ回避しろ! アンバー2援護射撃!」
ズガガガーーン、 ドン。 バーーーン!

それからは、絶叫と罵声、銃弾のうなり声、炸裂弾の閃光が飛び交い、私は
無我夢中で砲撃と移動の命令を出していた。
戦車長のスコープからも、飛び散る破片と肉片が見て取れた。
戦域のあちらこちらでドイツの残兵が、反撃を開始し、それを阻止する友軍との
間ですさまじい白兵戦が展開していた。
我々は、瓦礫になった家屋を踏み潰し、唸りを上げてVHに突進し22ターンを終了
した。

第十八から最終ターン
【ポーラ1は主砲故障したが移動機関銃として活躍。
士気崩壊を防ぐため、ドイツVHをひとつ残して掃討。シャーマン3両の十字砲火
で突撃砲を仕留め、最終ターンにVHを陥落させ終了】

TAPS (追悼のラッパ)
とて〜 とて〜、とて〜。

US 30 Cal MMG Sec. (C3)コンロイ軍曹以下 全滅
US Rifle Sqd (E1)ワータズ軍曹以下 全滅
US Rifle Sqd (E2)エリス軍曹以下 全滅
US Fecon Patrol (F2) ハミルトン軍曹以下 全滅
Amber 4 (J1) ダーレイ軍曹 戦死、搭乗員負傷(J51)
Pola2 (K1) アーノルド軍曹 戦死、搭乗員負傷(K51)
Pola3 (L0) ハル少尉以下搭乗員全員戦死
Fwd Observer (M0) エバンス少尉以下全員戦死

なを、終了間際、後方の街道に位置する着弾観測部隊とVHを死守するために孤軍
奮戦し、3倍もの兵力を撃退し全滅したコンロイ軍曹以下に勲章が授与された。

US.Army / Germany = 4899 / 697
Men : 90 / 169
Artillery : 0 : 1
AFVS : 3 : 10



感想:いやー長かった。
ゲームの長さを実感していただくため、AARも長ーーーくしました。(爆笑
もう、何度も途中で諦めようかとおもいましたが、作ってくれたSatoさんの努力
に答えるためにも、なんとかやり終えました。
作ってくれたSatoさん、ありがとう。 読んでくれたm8s、ありがとう。
プレーステーションのシナリオがSPWaWになっちゃうなんて、その事実自体が
「サプラーイス!」です。
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sato
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詳細なレポートありがとうございます。

Post by sato » 2005.Nov.15(Tue) 15:21

詳細なレポートありがとうございます。 :salut
貴重な時間をプレイとAAR作成に費やされた老兵さんの努力に比べれば、
作者のわたしのなんて全然でございます。
かえって、盛り上がりに欠ける地味なシナリオを作ってしまったことを
申し訳なく思っています。

パンフロでは、歩兵部隊が敵を発見すると
その旨のメッセージが表示されていましたが、
老兵さんの戦況の推移はまさにその通りに進行していたように感じました。
パンフロの世界にプレイヤーコントロールの歩兵を導入するとどうなるのか
みたいなところを狙ってみたのですが、
そういう意味ではある程度成功したんじゃないかなと思いました。 :cool:
いや、微妙かな :wink:

しかしながら、そのわりに地味な展開で時間も掛かり、
プレイヤーの頑張りが達成感やある種のカタルシスのようなもので
報われずに結末を迎える・・・そんなシナリオになってしまってますね。
Nor司令官殿もおっしゃってましたが、「目が覚めるようなサプライズ」が
やはり欲しいところです。
といいましても、「チラッと動き出すドイツ軍戦車」ぐらいしか、
正直なところ思いつきませんでした。
まあ、ボカージュ戦はこういう苦痛が先に立つ展開なのかなあと、
自分で納得しつつ、アイデアの限界を感じているところです。

修正するとすれば、米軍に2両程度戦車の増援が来るとか
最後ギリギリに対地航空支援が間に合うとか
そのへんをいま考えています。

老兵さん、ありがとうございました。
わたしにとってはこのようなじっくり読み応えのあるAARを書いていただけるなんて
「ビッグサプライズ」でありました。 :cheers

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老兵さまのAAR

Post by junkers » 2005.Nov.15(Tue) 18:17

老兵さまの久しぶりのAAR、しかも力作とあって一気に読ませて頂きました。
さすがは戦記風AARの始祖、経過がわかりやすくかつ臨場感あふれる文章で、学ぶところが多いです。
しかし、これだけの物を書くとなると、おそらくシナリオをプレイするよりも時間がかかったのではないでしょうか?

このシナリオ、私は途中で挫折しましたorz。
米軍が攻勢をとるシナリオにしては独軍歩兵が多いような気がします。気が引き締まっていいと言えばいいのですが…

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やっぱりドイツ軍多いですね。

Post by sato » 2005.Nov.15(Tue) 22:44

先日はチャットにてコメントいただきありがとうございました。 :salut
junkers wrote:米軍が攻勢をとるシナリオにしては独軍歩兵が多いような気がします。気が引き締まっていいと言えばいいのですが…
やっぱり多いですね。ドイツ軍。
米軍とドイツ軍の戦力を比較すると歩兵はほぼトントン。
戦車戦力でドイツが若干上回ります。
で、ドイツ軍にはそれに加えて対戦車砲が2門ありますから、
総合評価ではドイツ軍のほうが戦力として充実しています。
ユニットの経験値その他はほぼ同程度と思います。

対AIといえども攻撃側が戦力的に劣っていると
プレイヤーに厳しいシナリオが出来上がってしまうということですね。
で、どの程度厳しいのかという点では、
あまりにも忍耐を強いるものでは、やはり問題があると思いました。
「気が引き締まる」効果をちょっと越えているかなという感じですね。

ドイツ軍を減らすか米軍を増やすか、
今後検討したいと思います。
何かアイデアがございましたら、ご教授いただければ幸いです。
(あ。また人頼みのわたし・・・・) :cool:

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