え〜と、あらためまして参加者の皆様お疲れ様でした。
唐突ですがMVPを発表します。本当は参加者全員の感想が上がってから投票で決めようと思ってましたが、長い長い戦いをまとめるにはしばし時間がかかりそうだし、かといってあまり間が空くのもどうかと思うので、厳正中立なる私の独断と偏見(!?)でいきなり決めることにします。
というわけで、第6回公式戦の栄えあるMVPは・・・・・(ダラダラダラダラ・・・ドラムロールのつもり)
正二面体さんに決定しました!!オメデト〜!!
受賞理由は
「公式戦初参加ナガラ積極果敢ニ進撃シ、其ノ失敗ヲ恐レヌ吶喊精神ヲ以ツテ友軍ニ大勝ヲモタラシムル原動力ト為ツタ事」です!詳しくは後述する戦評で。
また異例ではありますが、
こちらも初参加ながら司令官という大任を果たし、緻密な計画と堅実なプレイで勝利を演出したkatzenさんには
敢闘賞を授与します。おそらく戦前・戦中の作業を含めて今回の公式戦でモロモロの負担が一番大きかったのはkatzenさんだったと思います。ご苦労様でした。そしておめでとうございます!
残りのお三方には勲章の御褒美はありませんが、予想外の長丁場となった戦いを最後まで完遂していただいたことに感謝します。これだけではなんなのでもう一言寸評を。
junkersさん
・戦闘前から独軍優勢を決定付けたスキー兵4個中隊作戦の発案者。これからは「作戦の鬼」と呼びましょう。今回は雑音が聞こえない中で気楽にプレイできたでしょう。ラスト5ターンまで徹底して迂回を続けた忍耐力はお見事でした。あ、そうそう。義務じゃないのに書いてくれたDARは戦況把握に大いに役立ちました。多謝。
weideさん
・ソ連側DARをほとんど一人で書いてくれました。今回は装甲部隊という「動けるコマ」と砲兵部隊という「動かさなきゃいけないコマ」を同時に担当したので、負担が大きかったと思います。作戦不足にミスや不運も重なって大きな見せ場は作れませんでしたが、劣勢の中で最後までやる気を失わず諦めない姿勢は賞賛に値します。
sufiyさん
・作戦立案時から「らしさ」のなかったソ軍司令官。戦場では塹壕化歩兵を見守るだけで、実は秘策があるのか?と思いきや最後まで打つ手なくジリ貧に。ある意味、史実のソ連軍指揮官の姿を忠実に再現したとも言えますが、今回の不甲斐ない大敗の責任は敗軍の将たる彼に求められるべきでしょう。「戦車なきsufiy恐るるに足らず」と言われぬよう、今後一層の奮起を期待します。
以下、観戦武官としての戦評です。
<ドイツ軍圧勝の3要因>
結果的にはドイツ軍が21個のVH全てを占領して圧勝。おまけにソ連軍の生き残りユニットは砲兵を中心とするごくわずかで、ソ連指揮官にとっては「完膚なきまでに叩き潰された」といった感じの惨敗となりました。それはそれとして、ここで興味を引くのはなぜここまで一方的な展開になったかという点です。以下、傍観者として感じた3つの要因をでっちあげてみます。
まず一番最初に思いつくのは、
「ゲーム設定がマズかった」ということですが、まあこれを言っちゃあミもフタもないし、半年に及んだ参加者の努力を完全否定することになるので、この可能性をあまり深く考えるのは止めときましょう。だいたい、バランスを確認するためにテストプレイもしてるんだしね。
ただ今回のゲーム設定のうち、Assault vs Defend の戦いであったことが、ゲーム展開に最も大きく影響したことは間違いないでしょう。簡単にいうと、Defend側のソ連は難しかった。もちろん防御側はそれを承知の上でより高度な作戦を立てなきゃいけないのですが、これまで対人戦でDefend戦をやることが少なかったので、そのノウハウがあまり蓄積されていないというのはあるでしょう。
ちなみに今回の例で言えば、ソ連側の基本作戦は次のようなものでした。
Code: Select all
a. 前衛SMGは後退戦を展開しながらできるだけ敵の前進を遅滞する
b. 一部スキー兵は浸透して後方霍乱を期待
c. ライフル中隊は主防御線で塹壕化して死ぬまで抵抗
d. 装甲部隊は臨機応変に防衛線強化と反撃を行う
結果的には、これらの基本作戦は全部こけちゃったわけですが、それはなぜか?いろんな理由があるでしょうが、プレイヤー諸氏がこの理由をどう考えているのかぜひ聞きたいところです。今回の結果を踏まえて、防御作戦とはどうあるべきかが探求されることを望みましょう。
この点に関連する第二の要因として、
「ドイツ軍の作戦(部隊購入含む)がソ連軍のそれを上回っていた」ことが挙げられるでしょう。その是非は別として、作戦段階でドイツ軍の優位を決定付けたのは、各プレイヤーがスキー兵4個中隊を持つと決断したことだったと思います。これにより、ほとんどのユニットで基本性能に劣っているソ連軍が、全局面において数でも機動力でも圧倒されてしまうことになってしまいました。
今回の戦いで印象的だったものといえば、何よりもまず、ドイツ軍のスキー兵ラッシュでした。雪上での機動力をいかしてソ連軍装甲部隊に肉薄していく様はソ・フィン戦争におけるフィンランドスキー兵のようであり、数を頼みに敵歩兵陣を津波のように蹂躙していく様は人海戦術の本家赤軍のお株を奪う戦いざまでした。
戦車を捨ててスキー兵の大集団を中核とするというドイツ軍の編成は、手数と機動力を重視した奇策といえるでしょう。対するソ連側は、バランス重視な編成とオーソドックスな配置で対抗しました。いや、ソ連側もT-34やKVシリーズを一切買わないという、ドイツ軍と同様のややイレギュラーな編成方針をとりましたが、徹底度の点でドイツ側が上回ったということでしょう。その結果、攻撃側ドイツ軍が常に戦闘の主導権を握って敵を翻弄、ソ連側はひたすら後手に回り攻められたところをその都度守っていくしかありませんでした。
最後の要因は、
「チームワークでゲームの流れを掴んだのがドイツ側だった」というものです。仮に、戦力も配置も基本作戦も同じ条件でプレイしたとしても、常に結果が今回のようなワンサイドゲームになるかといえば、そうではないと思います。控えめにいっても、ドイツ側はもっと失敗する可能性があったし、ソ連側ももう少し見せ場を作るチャンスはあったでしょう。
事前の部隊購入や作戦をいかに周到に練っていても、実際のゲーム進行を完全にコントロールすることはできません。ゲーム中に発生するさまざまな偶発的事態−情報の不足と錯綜、そこから引き出される誤解、個々の戦闘の成否−などによって、最終的なゲームの行く末は常に流動的であるといえます。そんな中でプレイヤーがコントロールできるのは、可能な限り正確に状況を把握し、不注意によるミスを減らし、一時の感情に流されず確率論に従って行動を決断することくらいでしょう。
これをゲームの最初から最後まできっちりできる人が「ベテラン」と言われるわけですが、ベテランだからこそハマる陥穽があります。特に対人チーム戦では、ましてや行動の過程が逐一公開されるとあっては、ベテランといわれる人ほど失敗を恐れて慎重策を取る傾向が強くなるのです。序盤のドイツ側プレイヤー、特にkatzen・junkers両氏の「不覚を取らないようひたすら慎重に」といった感じの前進状況がそれを物語っています。
ところがところが、ドイツ軍北部を担当する正二面体さんだけは、最初から自分の担当目標であるアントンに向かってあくまで果敢に突進しました。密集陣形で地雷を踏み、ソ連砲兵のマトになり、バンカーに足止めされて多大な出血を強いられましたが、その一方で、余りにストレートな激しい前進が中南部における静かな前進の不気味さを強調し、ソ連軍指揮官に油断と疑心暗鬼をもたらしたことは見逃せません。そして、正二面体部隊はその後もためらうことなくアントンに突入。北部にいたソ連戦車隊を釘付けにして守備隊と激戦を繰り広げ、この間もソ連砲兵隊の注意を一身に集め続けました。やがてドイツ軍の中南部部隊がソ連軍の目の前に現れた頃には、もはやソ連軍には効果的な対抗手段は残されていませんでした。
つまり結果的には、正二面体さんの担当した北部戦線は、見事な陽動作戦を成功させたのです。この成り行きは当初の作戦方針にはなかったものですが、もしも正二面体さんが慎重な前進策をとっていれば戦局の推移は全然違うものになっていたでしょう。この意味で、今回のドイツ軍圧勝の原動力となったのは正二面体さんの積極性にあったといえると思います。そして、戦闘経過が完全公開される対人チーム戦において果敢に行動することがどれだけ難しいかを考えると、正二面体さんの行動は十二分に賞賛の価値あるものだったと言えるでしょう。
ただ、物事には逆の面もあるわけで、ほとんど破綻する要素のなかった中南部戦線とちがって、ドイツ軍北部戦線の積極性は悪くすれば自軍を危機に陥れる可能性も孕んでいたとも思います。思いつく要素を挙げれば、急いだあまりアントン手前で一時混乱したこと、バンカーを排除できず部隊構成を晒したこと、隣接するkatzen部隊と進行速度があわず両戦線に間隙を生んだことなどです。
しかしこういった火種は、katzen・junkers両氏によって大きな火事にならないうちに消し止められました。北部とは対照的な中南部での極力姿を見せない前進、煙幕・砲撃支援、タイミングを合わせた同時攻撃、敵を牽制する迂回行動というものが効果的に行われたからこそ、正二面体さんは安心してリスクをとることができたのだと思います。この意味で正二面体さんの活躍は、katzen・junkers両氏の地味な努力に支えられていたといえるでしょう。
つまり、ドイツ軍はリスクテイカー役の正二面体さんと、それを堅実にバックアップするkatzen・junkers両氏のチームワークが有効に機能していたのだと思います。そしてこのことが、ドイツ軍が序盤から「ゲームの流れ」を引き寄せ、それが離れそうになってもすばやく引き戻し、最後まで手放さなかった最大の要因だと考えることができるでしょう。
<実録−ソ連の敗北が決まった瞬間>
「ゲームの流れ」というのはいわく説明しがたいものですが、綱引きにおける「中心点の争奪」に例えられるかもしれません。ゲーム開始で両軍が綱を引き合い、中心点が自陣寄りになるほど、行動の自由がきき主導権が握れる。ただし、最初から一気に綱を引き込むことは難しい。だから序盤は大きなミスを犯さないことを優先して慎重に引っ張っていく。常にある程度の力を入れておく必要はあるが頑張りすぎると途中で疲れる。したがって敵の引っ張る力を見極めながら適度に力を抜く必要もある。敵の裏をかくように、力を緩めたり急に強く引っ張ったりする駆け引きも必要になる。
やがて中心点が自陣深くのあるラインを超えると、一気に相手を崩して綱を引き込むチャンス、つまり勝機が手に入る。このチャンスは不断の努力からゆっくりと訪れることもあれば、敵のミスで突然やってくることもある。前者であれば再びチャンスは再び訪れるかもしれないが、後者の場合はその一瞬を逃せば二度と訪れない可能性が高い。いずれにせよ、こうして掴んだ勝機にあわせて最後の力を加えることができれば、勝負が決するというわけです。そして、この綱引きが現実のそれと違うのは、中心点がいまどこにあるのかが、綱引きに参加しているプレイヤーにははっきりわからないという点でしょう。
では、具体的に今回の「ゲームの流れ」はどうであったのか、そして「勝機」はどこにあったか?
まず、開始時点から綱の中心点はドイツ軍寄りにあったかもしれません。そして序盤のドイツ軍はKatzen・Junkers部隊の堅実な牽引力でじりじりと中心点を引き寄せていきます。両部隊は姿を隠しつつベルタとカエサル目指して慎重に前進し、ソ連前哨のSMG中隊を撃退していきました。この序盤での正二面体部隊の評価は難しいところです。上述の通り、正二面体部隊の猛進撃は結果的には勝利の原動力になったと思います。しかし「ベテラン」的な発想でいえば、序盤の行動としてはある意味リスキーでもあり、ややもすれば危機を招くものでもあったと思います。
ここで注目すべきは、ドイツ軍はテストプレイの結果より北部攻略は難しいことを作戦段階で予想しており、いちおう全VH制圧を目標にはしたものの、アントン制圧はどちらかといえば二義的な作戦目標と考えられていたことです。このことは作戦立案時のjunkers氏の発言に明らかです。
マップを見れば見るほどアントンは攻略しづらい(北に迂回路が全然無い、正面は湿地と森、道路付近は地雷を埋められてる可能性が高い)場所にあります。
そして実際この予測の通り、ソ連軍は当初よりVHカエサルを完全に捨てて、アントン−ベルタ−ドーラを結ぶ狭い範囲に防衛線を構築、アントン周辺には歩兵約2個小隊と戦車・装甲車を合計7両配置し、正二面体さんの進路にあたるアントン手前道路周辺には補助部隊・地雷多数に加えてバンカーまで配置していたのです。
一方、正二面体さんが自らの役割と行く末をどう予測していたかは、第一ターンDARに書かれています。
「そういえば、わが正二面体部隊はどんな方針で行くのですか?」
「とりあえずは、一番北部にある敵拠点(=ビクトーリーヘックス、ここを占領すれば勝ちに近づく)を目標にする。おそらくここは、敵の守りは他と比べれば薄い事が予想される。なぜなら、この拠点は他の拠点から遠く、部隊を動かすには融通が利かない。作戦の柔軟性がないと言っても良いだろう。普通はここに攻撃の重点を置く事はない。そのため敵も主力を置くつもりはないだろう。しかし、俺はその裏をかいて攻める事になるのだ」
「油断して、返り討ちに合わないでくださいよ」
というわけで正二面体さんの事前予想は完全に外れ(笑)、その見通しとは正反対にドイツ軍指揮官の中で最も過酷なイバラの道を歩むことになりました。大胆かつ激しい進撃方法は、序盤から敵の注意を目一杯ひきつけて常にソ連砲兵のマトになり続け、地雷を踏み、バンカーに足止めされ、険阻な地形で車両がスタックし、序盤での損耗率は間違いなくナンバー1でした。
7ターンのDARで独軍katzen司令官は、正二面体部隊の状況について次のように心配しています。
北部の正二面体大隊はやや先行していて、VHに接近しつつある。本格的な防衛陣地に接触しはじめたように思える。ここからは困難な展開になりそうだ。
もうひとつ、北部は部隊が密集してしまっているが、砲撃は大丈夫なのか?
敵Rifle Bunkerへの砲撃要請、「味方ヲ巻キコマヌヨウ,ピンポイントニテ頼ム」と言われてもなにもコントロールできない。
近接した目標に盤外砲を使う以上、FFは覚悟しなければならないだろう。悩まず要請のとおりに命令した。
しかし、司令官が危ぶむほどの自己犠牲精神あふれる前進のおかげで、相対的にドイツ軍の他戦線は目標VHに迫るまでは注意を引かず、激しい砲撃も浴びず、戦力の大部分を温存したままソ連の前哨線を突破することができたのもまた事実。
いずれにせよ7ターンでソ連軍Sufiy司令官は前哨SMG中隊の撤退開始を命令。8ターンには早くも、退却作戦が失敗したことが明らかになります。これで中心点はもう一段ドイツ寄りになり、ドイツ軍が主導権を握っていることが両軍ともにはっきり認知されるようになった。しかし好事魔多し。ドイツ軍側にもこの時期には大きな問題があったのです。
この7〜8ターンの正二面体部隊の位置は道路屈折点周辺。急進撃によって特に前衛部隊の消耗が激しく、ソ連バンカーの邪魔と度重なる砲撃もあって隊列が大きく混乱していました。つまり序盤からの猛進撃がここにきてついに息切れし、一旦態勢を立て直さなければアントンを攻撃できない状態に陥ったのです。隣接する Katzen部隊は進撃が遅くやや後方に位置しており、さらにベルタのある南東方向に向かって微妙に方向を転換する段階でもあったので、両戦線の間隙は広がりつつありました。もう一つドイツ軍にとっての悪条件は、アントン−ベルタ間にある北・中部戦線の間隙に満足な部隊がいなかったのに対して、ソ連軍はこの両VHを繋ぐ森林地帯にも部隊を配置していたことです。
7ターン以降、これまでドイツ陣内にあった「綱の中心点」は急激にソ連側に移行し、さらに9ターンから11ターンの間にソ連側にとっては唯一にして無二の「勝機」も訪れたのではないかと思います。少なくとも、この時期に北部にいたソ連軍装甲部隊が周辺守備隊と協力して積極的に打って出れば以降の展開は大きく変わったと思いますし、結果的にはこの機会を利用しなければソ連に勝ち目はなかったとも思います。しかし実際には、ソ連軍装甲部隊は混乱中の正二面体部隊をわずかに撃退しただけで積極的に打って出ることはなく、15ターンに北・中部で同時に開始されたドイツ軍の一斉攻撃を受けて以降は、最後までその機会を失いました。
その過程を詳しく見ていきましょう。まず9・10ターンでソ連軍Sufiy司令官はweideさんの北部装甲部隊に対して次のように命令を出しています。
T9 北戦車隊は遮蔽物に隠れたまま戦闘準備。ski歩兵が煙幕を抜け次第攻撃にうつる
T10 AZ3は(71,8)を排除せよ。追撃は不要。他の装甲車両は適宜移動し待機を継続。
おそらくこの時点でのSufiy司令官の命令意図は、アントンに迫った敵を撃退するために装甲戦力の一部を晒すのはやむを得ないが、敵装甲部隊の存在と規模が確認できてない以上、こちらの全容を見せるのも、こちらから打って出るのもまだ早いということだったのでしょう。そして、10ターンのweideさんの実際の行動は、DARによると次の通りでした。
Sufiy大隊長より装甲車で敵歩兵分隊を撃退せよとの命令。ただし追撃は不要、と。
すぐに命令を達成したけれども、姿が見えたままになってしまったのが痛いか。
北部はちょっと不味い具合。170mmの砲撃が始まり、更にキューベルワーゲンMGやら歩兵やらがやってくる。
歩兵はともかく撤退中の歩兵を抹殺するのに実に便利なキューベルはいかん。
ちょっと抗命に近いかもしれないが、装甲車を使いヒットアンドアウェイを行う。
結果、2両のうち1両を撃破。攻撃後に姿を隠すことにも成功。とりあえず結果オーライ、か?
荒地で芋ってるトラックもいたけれど、芋れば当然中身は脱出してるだろうということで無視した。
北部のバンカーは孤立しているが、敵に地雷を踏ませたり道路を移動している歩兵を撃ったりとかなりしぶとい。
せっかくなのでバンカーを爆破せんと取り付いているドイツ兵めがけ迫撃砲を撃ちこんでおく。
さて、いつ大規模な反撃にうつるか…。
ここでweideさんは現場指揮官の判断として命令以上の攻撃を行っていますが、全面的に抗命するわけにもいかないので大規模な攻撃には至らず。その攻撃方法は手ごろな目標を探して一方的にやっつけるという感じで、気分的にはかなり余裕があることがうかがえます。
一方、ドイツ軍Katzen司令官の11ターンDARにはこうあります。
北部、正二面体戦区はかなり厳しそう。支援砲撃をしてやりたいところ。なのに連絡のつく盤外砲は1ユニットだけ。困った。
そう。この11ターンの正二面体部隊はかなり厳しい状態にあったのです。正二面体さんが9ターンから11ターンにかけて発した無線をみると、その苦境がよくわかります。
T09 76,20ト76,21ニ敵BT-7Mヲ発見.敵砲撃ニヨル損害ハ大.一部部隊ヲ南進サセル.
T10 敵ノ抵抗ガ激シク前進デキナイ.敵戦車ガ集マッテイル模様.71,9煙速優先.出来レバ71,3煙モ
T11 72,3煙優先速.出来レバ74,8煙.71,3煙ハ中止.アントンヲ煙デ覆ウ.72,20ニAAMG
ソ連軍がこの時期にもう一押ししていれば・・・。ところがこの敵の苦境を知ってか知らずか、ソ連軍は11ターンに至っても、大混乱中の正二面体部隊を軽〜く攻撃する程度で済ませています。
砲撃命令は全て問題なく要請完了。
ところでFOが一人、HQの3HEX以内にいるのに、無線不調で連絡切れになってるのはなぜ?
バンカーのすぐ後ろに煙幕発射の命令は最初誤認かと思ったが、よくみれば先ほど芋ったトラックからATGが降車してるではないか!
ここに煙幕を炊けばATGを撃ち込まれる危険はなくなるだろう。せっかくなのでATG本体にも迫撃砲を撃ち込んでおく。
どうでもいいがカチューシャのユニットを選択しようとして移動してしまった…。これで1門発射不能…。
そして戦局の転機となった運命の12ターンが訪れます。
Sufiy大隊長より(71,4)の敵を撃退せよとの命令。
ユニットの指定などがないが、付近で私の指揮下にいるのは装甲車だけだから、まあそれを使えということだろう。
近づいて見たら2ユニットのスタックだったが、難なく撃退。
装甲車で反撃せよとのことだが、砲煙と煙幕で敵情がまるで見えないので1ターン様子見。
敵の砲撃が妙にいい具合に振ってくる。特に煙幕は絶妙にVHやライフル部隊の目前を遮蔽。
そしていつの間にかWeide中隊長は壊走中(笑)無線が送れん!
11ターン終了時点で、katzen司令官率いるドイツ軍砲兵隊は正二面体さんの悲痛な無線を受けてアントン前面に大規模な煙幕砲撃を行い、大混乱している正二面体部隊の大部分を隠すことに成功しました。この支援砲撃で「綱の中心点」は再び一気にドイツ寄りに移行。手放しかけた「流れ」を再度掴んだといえます。一方のソ連装甲部隊は煙幕に突入することを恐れて攻撃を先延ばしに。結果的には、この隙に正二面体部隊は混乱を建て直して息を吹き返し、ソ連軍は決定的な「勝機」を逃すことになりました。
しかし、ソ連軍プレイヤーがそのことに気づくのはもうちょっと後で、14ターンのSufiy司令官のDARでは、中南部を心配する一方で、北部情勢は比較的楽観視しています。ドイツ軍北中部戦線の間隙にも気づいていますが、反攻に利用しようとは考えていません。
良いニュースとしては、北部VHの独スキー歩兵がちょうど砲撃の事前照準に乗りそうなことぐらいかな。
カチューシャとか野砲をがんがん撃って、予備スキー歩兵小隊とかふらふらしてる装甲車とか突っ込んでおけば、北VHは何とかなりそうな気がしてきた。
あと?の対策として北VHの南側で遊んでる歩兵も塹壕から出して北VHに近づけてみる。
敵の後方に取り残されてるBunkerも結構視界が戻ってきて、中央の森に敵影が見えないからね。
しかし、15ターンには完全に態勢を立て直した正二面体部隊が再度の積極攻勢に出て北部情勢は一変します。
北部が崩壊寸前。予備兵力の投入を開始する。間に合うか…?
敵ターンで回復に成功したらしく、ATGと対戦車地雷で装甲車両が2両撃破されてしまった。
流石に低視界の中孤立したのは不味かった。
装甲車2両を失うに至っては、weideさんもアントン陥落の危機を感じますが時すでに遅し。このターンにはベルタ方面でも katzen部隊が全面攻撃を開始して、北・中部防衛線に一気に火がつきました。そして9ターンでドーラ攻略を決定したjunkers隊の先鋒は、ソ連軍の知らないところですでにドーラ南方まで進出していました。
ついでに16ターンのweideさんDARも見てみましょう。
大まかな状況は変わらず、北部は視界零、中央も壊走の危機。
命令の解釈違いが発覚したためBA隊(BA装甲車)を戻してBA隊(ユニットIDがBA のSki部隊)を北部へ向かわせる。
そして122mm砲兵大隊が一つ弾薬切れ。そんなに弾薬少なかったっけ…。
次のターンで砲兵部隊の配置転換が終わる予定。
早くカチューシャの雨を降らせないと不味いことになる。
いや、もう十分不味いけど。
こうしてみると、7ターンから徐々に流れがソ連に移っていき、9ターンから11ターンにかけての3ターンの間にソ連軍の「勝機」があったのだと思われます。そして、ソ連軍プレイヤーもチャンスが訪れたことに薄々は気づいていた。9ターンでSufiy司令官は装甲部隊に出動準備を命じ、10ターンでweide指揮官は小規模な撃退行動を開始して大反攻のタイミングを考えていた。この時、北部では間違いなくソ連軍が優勢だったのですが、15ターンになるまでソ連軍プレイヤーはボヤボヤし続けた(笑)。そして、15ターンで北部の危機に気づき、16ターンで中部もヤバイとなった時点でも、ソ連軍は行動を一変させることはありませんでした。まあ、したかったけど出来なかったというのが実情だと思いますが。
興味深いのは、この期間のソ連側には連絡切れ・兵器故障・操作ミス・連携ミスが多発していたことでしょう。経験的に言っても、ココ一番!という時にこういう不運が重なって戦況が悪化するというのは妙に納得できます。偶然手に入った勝機は、こんなことからもスルリと逃げていくのかもしれません。そして、こんな不運が重なるとツキがないことが自分でもわかるので、気分的にも積極策に出るのはますます難しくなるのでしょう。
しかしそれでも私はソ連軍に積極的な反攻を見せて欲しかった。せめて15ターンからの数ターンの間に装甲部隊を集中運用して乾坤一擲の反撃を開始していれば、まだ「ゲームの流れ」を少しは引き戻せる可能性があったのではないかと感じました。
以上、一観戦武官としての感想でした。