【対戦全般の感想】
<対戦結果について>
わずかにスコア優勢のDrawという結果はまさに目指した通りで、公開対戦の落としどころとしても満足(笑)。中盤までは「見せ場がないままVHにさえ辿りつけませんでした(泣)」という悲惨な結果になるかもしれないという不安で一杯でしたが、終盤はT-34の奇襲を受けて撃退という盛り上がりを作れたので、公開対戦としては何とかサマになったかなとホッとしています。
<進行速度について>
今回は20ターン(実際は19ターン)のPBEMを約6日間という異例の短期間で終わらせることができました。細かく言うと、配置から6ターンまで1日(3時間程度)、7〜11ターンが1日、12〜16ターンが1日、17〜19が1日という実質4日間でやり終えたことになります。
これはお互いにムリをして時間を作ったことも大きいのですが、その他の要因として次のものを挙げることができるでしょう。
1) Assault vs Defend 戦だったこと
2) 歩兵煙幕を禁止したこと
3) チャットで緊密に連絡を取り合ったこと
4) 作戦・DARに手を抜いたこと(笑)
特に1と2が影響大だったと思います。ゲームが始まってしまえば、序盤のDefend側はほとんどやることがないので、Assault側のプレイヤーが多少頑張れば、驚くほどスピーディに進行します。これは最初の6ターンが約3時間で終わったことから明らかでしょう。2については後述します。
そして3も大事だったかもしれません。Yapletチャットは20行分のログが残るので、相手に伝えたい予定に関するメッセージがあれば書いておけばよかったし、お互いチャットにいる時は、メールを送ったことを瞬時に伝えられたのも重宝しました。
<歩兵が死ににくい設定について>
今回のテスト対戦の主目的であった「歩兵が死ににくい設定」に関しては・・・う〜ん、微妙(笑)。確かに、ソ連軍のSMG歩兵は撃ちすくめてもなかなか全滅せず、逃げ出すことが多かったのは事実です。しかし、この現象が今回の設定によるものなのか、Defend側のソ連軍という対戦仕様によるものなのかは判然としません。おそらく両方の影響を受けていると考えるのが妥当なのでしょう。
このことから今回の対戦では、ソ連歩兵の強さうんぬんについて断言はできませんが、われわれドイツ軍歩兵は結構しぶとかったかなという印象があります。終盤、T-34にガンガン撃たれたスキー兵や工兵が直ちに壊滅はしなかったことから考えても、やっぱり死ににくくはなっていると思います。ただ、歩兵砲やDSHKにガンガン削られたこともあるので、死傷者が出にくいというよりも「損害が出たときに踏みとどまって死ぬより退却を選ぶ」という表現が適当かもしれません。
また、砲撃の歩兵に対する威力という点では、これまでの設定より「やや強力」だと感じました。ドイツ軍の歩兵が壊滅したのは、ほとんど砲撃が原因だったと思います。これはこれでなかなか良いバランス設定だと思います。
<煙幕ルールについて>
今回は、煙幕ルールについては「間接砲兵とスモークディスチャージャーのみ可」としました。このルールは、緊張感を持った移動、迫力ある戦闘、ゲームのスピーディな進行、という三点で良かったと思います。
まず、歩兵の煙幕は使えないので、開けた場所に出てみて敵が強かったら煙幕で隠れるという方法が使えなくなり、歩兵の移動にはある種の覚悟(!)が必要になります。どうしてもヤバそうな場所に移動するときは、あらかじめ砲兵で煙幕を張らなければならないので、常に数ターン先の状況を先読みする必要もでてきます。
そして、一旦交戦状態になると、敵の視界外に逃げるか打ち勝つかするまではケリがつかないので、概して激しい戦闘になります。その結果、ドキドキ・ハラハラしながらサクサクとゲームが進むことになるという寸法です(笑)。これ、かなり良いんじゃないでしょうか。なんなら、スモークディスチャージャーも禁止しても問題ないと思います。
ついでにいうと、今回の「歩兵が死ににくい設定」では、やられた歩兵は煙幕を張って後退するという状況が頻繁に発生しました。そして、結構すぐに戦列に復帰してくれるので、後退時の煙幕を有効利用することが可能でした。この設定とこの煙幕ルールはなかなか相性が良いようです。
<地雷について>
今回は、Defend側のソ連軍には5%の障害物(地雷・有刺鉄線・ドラゴンティース)の購入を認めていましたが、STRANDさんは地雷を使いませんでした。私も、なんとなくそうかなぁと思いながら、やはり確信はできず、中盤まで地雷を恐れつつ前進することになりました(中盤以降はナイ!と確信できました)。
STRANDさんがDAR中に書いているように、実際に地雷があることよりも「地雷があると思わせる」ことの方が相手に与えるダメージは大きいと思います。しかし、おそらくSTRANDさんの頭には「地雷の使用は卑劣すぎるかも」という迷いもあったのだと思います。
地雷はDefend側の特典なので地雷設置ルール自体は存続させるべきだと思うし、ルール内での地雷の使用をためらうのはナンセンスです。ただ、今回の5%という設定はちょっと多すぎたようです。Depotの対戦ルールを見ると、Defend側の地雷購入額は2%になっているので、以降の対戦ではこれに準じようと思います。購入限度額が少なくなれば、躊躇なく使えるようになるかな?
【ドイツ軍指揮官としての感想と反省】
<作戦全般>
STRANDさんのDARを読んでビックリ!開始当初からこちらの作戦をほぼ読まれ、中盤では戦力編成まで正確に把握されていました。対してこちらは、最後の最後までソ連軍の戦力をまともに把握できず、対砲兵戦でも見事ダミーにひっかかりました。う〜ん、対人戦ならではの「手の内の読みあい」という点では完全に負けてるなあという印象です。
しかしそれ以前に、ドイツ軍としては、具体的な作戦を考える前に「とりあえず購入した」というのが何より失敗でした。これは早く対戦を開始しなくちゃいけないと焦ったためですが、最初の購入と配置にはもうちょっと時間をかけた方が良かったと反省しております。
「中庸」を旨とする私としては(笑)、どうしても極端な奇策を採用できず、特に考える時間がない場合はついつい無難な正攻法を志向しがちになります。今回のユニット購入もあまり深く考えず、いつもどおり徒歩歩兵を主力として装甲部隊はあくまで歩兵支援に徹するという面白みのない編成になってしまいました。そして基本方針も、「三正面に分けての全面攻勢」というまるで大戦初期のソ連軍のような全く工夫のカケラもないものでした。
この作戦の欠点は、
・戦線が長いので砲兵支援が不足する
・重点がない(強いて言えば中央だが)ので全戦線で突破に失敗する可能性アリ
・機動力がないので柔軟性に欠ける
対してメリットといえば「大きな破綻がない」ことくらいしかありません(笑)。はっきり言って凡策・下策だと自分でも思いますが、破綻がないというのは特に対人戦では見逃せない魅力でもあるのです。
本当は、頭の隅で「Sufiyさんバリに南方に全装甲ユニットを固めて突破を目指せ!」という声も聞こえたのですが、装甲部隊に同行できるのはスキー兵のみで、地形を考えてもあまりにリスキーすぎると理性が働いてこの案は却下されました(笑)。
そう。ドイツ軍にとって中盤までの最大の敵は地形でした。というか、積雪地形の移動ペナルティを考えずに(忘れて)ユニットを買ってしまったのが大失敗です。まさか歩兵が2歩しか移動できないとは思わなかった・・・。もう一度やり直してよいなら、わき目もふらずスキー兵を3個中隊買います。「積雪マップではとりあえずスキー兵!」。これを教訓にして間違いありません。
スキー兵が機動力をいかして南から迂回。後退するSMGを殲滅しつつ、南部と中部VHを確保する、という展開は、まあ・・・強弁すれば、スキー中隊は他の3個中隊の側面支援・撹乱戦力として南端に配置したわけだから、作戦ズバリ的中!と言えないこともないのですが、正直ちょっと予想外でした(笑)。そんなにスキー兵の足が速いとも、戦闘力があるとも思わなかったし、そもそも、あんな南側に中隊規模の敵がいるとさえ思っていなかったし。あえて運用面での成功点を挙げるなら、途中から交戦を避けて迂回・浸透を心がけた点ですね。
ともかく、何とかDrawに持ち込めたのは、半分ネタ気分で買った(!)スキー兵のおかげなのは間違いありません。これが歩兵だけだったら、中央VHのいくつかは奪取できたかもしれませんが、時間的にみてその他は取れなかったでしょう。そして、随伴歩兵のないドイツ軍の非力な戦車は、T-34中隊を倒せなかった可能性も考えられます。
<勝敗のキモ>
期待以上のスキー兵の活躍で、ドイツ軍は13ターン過ぎに南部・中央のVH群を確保します。この時は本当に一安心しました。それまでは、VHを取れないというより、到達できなかったらどうしようと考えていたからです。とにかくVHまでたどり着いたんだから、あとは奪還されるとしてもマトモな戦闘が発生するので、見ている方も少しは楽しめる展開になるはずです。
そして、ソ連軍はちゃんと奪還に向かってきてくれました。南部・中央方面の敵は7両のT-34。対するドイツ軍の戦力は、スキー中隊と各種AFVが11両。ドイツ軍AFVの中で、T-34を余裕で破壊できる攻撃力を持つのは、自走歩兵砲・対戦車自走砲・火炎放射戦車の計6両。ただし、4号・チェコ戦車・装甲車でもダメージは与えられる可能性があります。そして、スキー兵は近接強襲不可なものの、対戦車地雷を持っているので隣接攻撃すれば撃破できる可能性があります。
結局、ドイツ軍はこれらの戦力を駆使してT-34を全て葬り、この戦いが最終的な勝敗を左右することになりました。戦車戦と聞くと、個々のユニットの装甲防護力と主砲貫通力だけに注目してしまいがちですが、それだけで勝ち負けが決まるならT-34に敵うドイツ戦車はいませんでした。この戦いでT-34に不足していたのは、目と手です。
つまり、敵の位置を全て把握できるほど付近に友軍(特に歩兵)がいなかった。そして、戦えるユニット数、すなわち手数の多さでも圧倒的に不利だった。この二点がソ連側の敗因になったと思います。もちろん、ゲーム上の細かい戦術(ハッチを閉めさせる、砲塔の向きを変えさせるなど)も影響したとは思いますが、それ以前の問題としてT-34は不利な立場にあったのだと思います。
この戦いまで装甲部隊の全容を見せなかったことは、ドイツ側の数少ない成功点の一つとして挙げられるかもしれません。
<ソ連軍について>
自分のことには気がつかなくても、人のアラはよく見えるもの(笑)。ドイツ側指揮官として、「ソ連にこうされるともっとイヤだった」という点を思いつくままに挙げてみます。
・森の西端ではなく東端に歩兵(SMG)を潜ませる
・良視界を生かせるMG・AAをもっと買う
・最前線の森林地帯は徴集兵、VH集落は歩兵が担当
・T-34は2〜4両にとどめ、もっと安いAFVの数を揃える
・盤外砲がもっと多い
・迫撃砲が弾薬補給して撃ち続ける
・南北端で攻勢に出る
全体的に言えば、歩・砲・戦どの兵科でももっと質を落として量を増やされた方が、ドイツ軍としてはやりにくかったと思います。そして欲を言えば、どこか戦線の端の方で一部でも機動力を生かした攻勢(開始線を越えての前進)に出られると、ドイツ軍は恐怖のズンドコに突き落とされたでしょう。
今回の対戦は少々あわただしかったものの、充分に緊張感のある楽しい時間を満喫できました。改めてSTRANDさん、ありがとうございました。