
しかし、人類の叡智は失敗の繰り返しから生まれてきたのです。


今回の問題点をまとめると次のようになるでしょう。
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1.総ゲーム時間が長すぎる(開始から終了まで一ヶ月超は長すぎ)
2.実拘束時間も長すぎる(会議やなんかで拘束時間も結構長い)
3.細部まで計算できすぎる(敵戦力・移動範囲・マップ調査・コストポイントなど)
4.プレイヤーの自由度が低い(思い通りにプレイできない)
5.観戦武官による情報漏れ
<時間の問題>
今回使用したシナリオは、極小マップ・少ユニット・12ターンだったにも関わらず、結局終了までに1ヶ月少々の時間を要してしまいました。私としては、ユニットが少なくターンも短ければ早く終わるんじゃないかと思ってのシナリオ選択でしたが、これがとんだ見込み違い。実際は、ユニットが少ないので、全ユニットに対して3人が行動方針をその都度協議するという事態が頻発しました。
さらに、行き当たりばったりでプレイヤーがバラバラに行動すると面白くないんじゃないかと思って、作戦会議の重要性を強調したのもアダになったようです。自ターンが回ってきたらリプレイを見て、その戦況を元に作戦会議を開く。できるだけ全員の意見を聴取するために、3人揃うまで待ったりもする。この方法が総所要時間と拘束時間の延長に繋がったのは明らかでしょう。
といっても、作戦会議で意見交換すること自体は、チーム戦ならではの醍醐味であり、プレイヤーにとっては、ゲーム終了後に敵がその時何を考えていたかを知ることは大きな楽しみでもあるでしょう。これは失ってはいけません。
<自由度の問題>
全員参加の作戦会議を度々開いて全ユニットの行動方針を検討したことで、各プレイヤーは担当ユニットの行動がかなり具体的に決められ、その結果、行動の自由度が奪われるという側面もありました。この点はリーダーシップの問題とも絡んでかなり判断が難しい問題です。
「オレは何すりゃいいの?教えて!」という方にとっては、強力なリーダーシップを取るプレイヤー主導の作戦会議で、ユニットの行動を逐一決めてもらえると有難いと思うかもしれません。その一方で、全ユニットの行動をいちいち指図されるなら、オレはただの傀儡か!と思う方もいるでしょう。理想的には、全員協議で全体目標および作戦を決め、その具体的な実現方法は各プレイヤーに一任されるのがベストでしょう。
<計算・・の問題>
今回はシナリオを使用したことで、彼我の戦力、コスト、VHの位置と価値、地形、最終的な勝利ポイントなど多くの要素が、やろうと思えばかなり細かく計算できました。実際、エディタを用いてユニットの移動範囲を確認したり、勝利条件を計算したり、当面の機動案のシミュレーションなども行われたようです。その結果、手間を惜しまず細かく検証した方が有利になり、戦闘の予測不能性やダイナミズム(別名.行き当たりばったり性)という側面はかなり影を潜めてしまいました。また、A軍の撤退騒動も、このような「計算できすぎちゃう」という点から生じた問題です。
この問題については、シナリオではなくバトルを使用し、ユニット購入・ランダムマップという要素を持ち込むことで、かなりの部分が解決できるでしょう。もちろん、ゲーム中の机上研究は一切ナシということにしたいと思います。
<情報漏洩問題>
今回初めて観戦武官制度を採用し、まっさきに表面化した問題が、この観戦武官による情報漏洩問題です。私も一役買ってしまいましたが。

当初、私の意見としては、「わざと情報を漏らす人はいないだろうから、ちょっとした不注意で漏れちゃった情報については、それも戦場の予測不能性ということでゲームの一環として楽しんでもらおう」くらいに考えていました。
しかし、事態は私の予想とはまるで異なる展開を見せました。A軍としては、大戦略のキモとも言える撤退作戦が漏洩したのは勝敗を左右する一大事だと感じたのでしょう。情報漏洩について強硬な抗議があり、ひいては作戦立案の過程をクローズにするという事態にまで発展してしまいました。この感覚の相違は、勝利をめざして必死で作戦を考えるプレイヤーと、あくまで傍観者である(どっちが勝とうが気にならない)観戦武官の立場の違いが浮き彫りになった点でしょう。
しかし、観戦武官制度は、プレイヤーが情報を惜しみなく提供してくれないと成り立ちません。プレイヤーが積極的に情報を提供することは、観戦武官の楽しみに貢献するだけでなく、最終的にはプレイヤー自らの利益に繋がるのです。誰しもよくわからないまま推移する他人の対戦には興味も湧かず、その結果見る人がいなくなれば、せっかくのプレイヤーの健闘を称えてくれる人もいなくなるからです。そこで私としては、観戦武官制度は維持したままで情報漏洩を防ぐ方法を検討したいと思います。
観戦武官の不注意による情報漏洩を完全に防ぐ方法としては、チャットでは進行中の対戦に関するプレイヤーとの会話を全面禁止にすることでしょう。今回の対戦過程では、善意の観戦武官が「今は圧倒的に○軍有利ですね」などと発言したり、プレイヤーから観戦武官に対して「今の状況はどうですか?」などと積極的に聞く場面もありました。こうした会話は直接的に情報を漏らすものではありませんが、その雰囲気からおおよその戦況を判断する材料になるという意見もあるでしょう。こういう会話は悪意なくごく自然なものですが、情報漏洩を完全防止するにはこれらも禁止とすべきでしょう。しかし、ただ単にこのような禁止措置を取るだけでは、観戦武官がチャットへの入室をためらうようになり、またチャット内の会話も弾まないというイヤ〜な状況になりかねません。これはサイト管理者である私の本意ではありません。
【次回のPBEM公式戦運営案】
以上、全ての問題を解決すべく妙案を考えました。

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<目標>
・3vs3のチーム戦で今回より長期(20ターン前後)の戦いを、1ヶ月以内に終了させる。
・プレイヤーは不確定要素が多い戦闘を自由に戦い、観戦武官にはさらなる興奮を。
・ただしプレイヤーの作業負担は少なく。
<対戦環境>
・バトルを使用し、中規模以上のランダムマップとする。
・ユニット購入については別途ガイドラインを設ける。
・購入ユニットはゲーム前の作戦会議で詳細を決め、観戦武官に公開しておく。
<作戦会議の制限>
・作戦会議の開催回数は全部で4回に限定する。
・作戦会議のうち1回はゲーム開始前に行う。この会議は特に時間制限を設けない。
・ゲーム開始後の会議開催の提言は3人のプレイヤーが各一回ずつ任意のタイミングで行える。
・会議開催の提言があった場合、開始時間を協議の上チャットに集合し、3時間を上限として会議を行う。
・自分の提言した作戦会議の内容は、提言プレイヤーが責任を持って陣営フォーラムで公開する。
・4回の作戦会議以外の場では、プレイヤー間で対戦に関わる話題は一切禁止。
<プレイヤーの独立性維持>
・陣営フォーラムとは別に、プレイヤーごとに個別のフォーラムを用意する
・プレイヤーは、自分専用フォーラムと所属陣営フォーラムしか閲覧できない
・観戦武官は、全てのフォーラムを閲覧できる。
・DARは自分専用フォーラムに書く。すなわち友軍プレイヤーでも見られない。
・プレイヤーは作戦会議の決定を考慮しつつ、ユニットの具体的行動は全て自分の意思で決定する。
・砲撃要請は、毎ターン一度だけ希望座標のみを陣営フォーラムに書く(理由はかかない)。
・砲撃に関する最終決定権は、砲兵担当プレイヤーにある。
<情報規制>
・プレイヤーに対戦の話題が許されるのは、チャット内での4回の作戦会議のみ。
・プレイヤーは、上記以外のチャット・メール・掲示板での対戦に関わる連絡は禁止。
・観戦武官は、両軍の作戦会議(計8回)を傍聴できる。ただし挨拶以外の発言は不可。
・観戦武官は、チャットおよび掲示板の観戦武官室で、対戦に関する会話を自由にしてよい。
<詳細解説>
まず、作戦会議の回数と時間を大幅に制限することで、ゲーム時間の短縮を狙います。ゲーム開始前の作戦会議は、プレイヤーの陣営分けが決まった時点からスタートし、ゲーム開始までの時間をあてます。この間に、各自の役割分担や具体的な購入ユニット、作戦目標や個別の任務を決めておけば良いでしょう。
ゲーム開始後の作戦会議は、1プレイヤーが1回だけ開催を提言できます。長いゲームの中で3回の作戦タイムをいつ取るかが問題になるでしょう。さらに、この作戦会議はチャットに集合後3時間しかできないので、各自がある程度作戦を考えておく必要があり、その作戦も全員が理解・遂行可能なレベルの大まかなものになるでしょう。プレイヤーは作戦会議以外では対戦の話題を持ち出すことは禁止されるので、数少ない作戦会議を実りあるものにしようと頑張り、より良い作戦が立案されるかもしれません。
この改善案のもう一つの目玉は、プレイヤーの分離策にあります。プレイヤーは専用フォーラムを与えられ個別にDARを書くことにより、友軍プレイヤーのDARを読めなくなります。もちろん、ゲーム上で友軍の行動は把握できますが、その行動の意図するところは推し量るしかありません。ここに新たな不確定要素が入ります。つまり、「あいつがそう動いたということは、きっとアレをアレしたいからだろう。じゃ俺はココにこう移動しよう」など、友軍の思惑を推測しながら行動する必要がでてきます。プレイヤーはDARを書く際にこの点を意識して自分の推論を書いてくれれば、観戦武官にとって面白い観戦ポイントになるでしょう。
ただし、連携が不可欠な砲撃要請については、陣営フォーラムを利用して伝達します。しかし、ここでも砲撃してほしい座標だけを書くことで、要請の意図は不明のままにしておきます。砲兵担当プレイヤーは、他の二人が希望する座標だけを把握し、実際にどこに砲撃するかは協議無く独断で決めることになります。砲撃時にはDARにその根拠を記してもらえると、これもまた読むほうはかなり楽しめるでしょう。
このような作戦会議の制限とプレイヤー分離策により、「指示された通りに動かすだけ」のプレイヤーはいなくなるはずです。参加者は程度の差こそあれ、全体作戦に従いつつ、自分のユニットは自分の意思で動かすというチーム戦の理想が実現されるでしょう。同時にこれらの方策は、プレイヤーの負担軽減を意図したものでもあります。
今回の対戦では、陣営内の方針を決める過程で、友軍プレイヤーとの意見の相違を議論によって埋める必要がありました。自説に説得力を持たせるには、それがどんな根拠に基づくのかを味方に説明する必要がありました。チャットや掲示板におけるこのような議論は読み物としては面白いのですが、これが一ヶ月も続くとプレイヤーにとってかなりの負担になり、場合によってはプレイヤー間で予期しない軋轢を生むきっかけにもなったでしょう。本改善案では、できるだけプレイヤーが字を書く分量を減らし(1回分少々の作戦会議のまとめと毎ターンのDAR)、仲間内で必要以上の軋轢を生じさせないことも意図しています。

ただし、プレイヤー分離策と情報規制は、プレイヤーに強烈な孤独感を感じさせるかもしれません。自分以外のプレイヤーが何を考えているかがわかるのは、たった3回の作戦会議のみです。友軍の不可解な行動に一喜一憂し、寂しさのあまりいろんなことを考えすぎてカーツ大佐のようになりそうだ・・という点で、この分離策は別名「カーツ大佐量産計画」と名づけます。

その点、観戦武官は、両軍の作戦会議とプレイヤー全員の詳細なDARを読め、ますます一方的にゲームの内幕を知ることができます。また、観戦武官室内ならばチャットでも掲示板でも自由に対戦経過について会話可能です。一方、プレイヤーが作戦会議をする場合は、チャット内の専用部屋で行います。つまり、対戦中のチャット共用部分は必ず対戦以外の話題になり、公式戦をやってない時と同じ雰囲気になるでしょう。こうすることで、チャットの参加率や雰囲気を悪化させることなく、不注意による情報漏洩の発生を格段に抑制できると考えられます。
以上、次回PBEM公式戦の運営案ですが、ご意見・ご感想など幅広くお待ちしております。
