歴史的に正しいソ連軍
Posted: 2005.Dec.19(Mon) 23:14
タイトル修正、『歴史的に正しいかもしれないソ連軍』
歩兵大隊によるRussian Steelキャンペーンも9戦目を終了しました。歩兵戦のノウハウを得るという目的で始めたこのキャンペーン、戦車部隊を使っても難易度が高いのに、歩兵でクリアを狙うというのはある意味無謀なのであります。が、一つには以前このキャンペーンを確か11面までプレイしたことがあること、もう一つにはサト様やNor司令官閣下が以前残したAARがあること、それらにより、なんとかDraw半分MV半分でここまでくぐり抜けて参りました。
さて、これまでの戦いで赤軍歩兵部隊の中でも使える兵器、使えない兵器が見えて参りました。今後のプレイ、対人オンライン戦の参考にと、書きつづってみた次第であります。史実のソ連軍は独ソ戦序盤で崩壊し、降伏の寸前までいっただけあって、書面上の配備定数を満たせた部隊は殆どなかったのですが(SPWAW付属のOOBにも、ソ連軍歩兵部隊の序列は44年のものしか掲載されていない)、おおまかな目安として。
【役に立つ兵器】
・歩兵
あらゆる戦場での基本は歩兵です。他の兵器は歩兵の支援火器に過ぎず、極論すれば砲兵も戦車も歩兵の支援のために存在すると言っていいでしょう(か?)
赤軍歩兵はモシン・ナガン(ボルトアクション)ライフル、DP軽機関銃、手榴弾が基本装備となります。高級歩兵として第3射撃武器にトカレフSVTを装備する部隊もありますが、このセミ・オートマチック・ライフルはモシン・ライフルよりずっと強力で、第1射撃武器(人数による修正が付く、らしい)にして欲しいくらいです。実際には大戦初期に下士官に配備された銃なのですが、給弾不良の多発、寒冷地での不発などのトラブルに見舞われ、下士官へはPPSh41短機関銃が支給されていくようになります。
ただし、41年12月になると赤軍歩兵はモロトフ・カクテル(火炎瓶)を第3射撃武器に装備するようになります。余談ですがモロトフはソ連でつけられた名称ではなく、ソ・フィン戦争の時に当時のソ連外相のモロトフを歓迎するカクテル、という意味でフィンランド軍が名付けた名称と言われています。このモロトフを装備することで独戦車に対する待ち伏せの成功率が大幅に上昇する変わりに、トカレフSVTを装備できなくなることで射撃火力が2/3以下になってしまいます。
独軍の様に歩兵分隊配備の軽機関銃(MG34/MG42)性能が高ければ、第3射撃武器に携帯対戦車火器(対戦車地雷やパンツァー・ファウストなど)を装備するのは問題ないのですが、練度も軽機関銃性能も劣る赤軍の場合、低下する分隊火力を何かで補う必要があるでしょう。普通に考えれば、迫撃砲か重機関銃火力の充実が必要、ということになりますね。
さて、赤軍には短機関銃分隊(SMG sqd)というユニークな部隊も存在します。この部隊は史実では、分隊支援火器(DP軽機関銃)を持たずに、分隊構成員全員がPPSh41を装備した部隊で、絶望的な独ソ戦序盤に兵力不足を少しでも補うべく投入されたものです。当然散々に消耗し、中期以降は通常のライフル歩兵分隊と混成されていくようになっていきます。ゲーム中ではDP軽機関銃装備になっていますので、ライフル歩兵分隊と混成された後の姿を再現しているのでしょう。
第1射撃武器はライフルがいいか、短機関銃がいいか?というのも(米軍・ソ連軍に共通の)悩みであります。米軍の場合はM1ガーランドの性能がいいので、個人的にはトンプソン短機関銃よりもM1ガーランドを第1射撃武器に推薦します。しかし、練度が低くてライフルも凡庸な性能の赤軍の場合、中距離での撃ち合いでは撃っても当たらないライフル射撃は捨てて、DP軽機関銃に全てをまかせ、接近戦(100m以下)では異常に強い短機関銃を持つのもありかと思います。特に低視界戦、市街戦では短機関銃が威力を発揮するでしょう。
PPSh41短機関銃は、独軍からはバラライカと呼ばれました。発射速度(900発/分)が高いこととドラム弾倉に71発も装填できることから、独軍のMP40(500発/分、装弾32発)より優れており、独軍でも鹵獲した本銃を使用しました(映画・戦争のはらわたも参照のこと)
ゲームでも短機関銃の性能差は再現されているようです
独 MP38/40 : ACC 2, Kill 3, Range 3,
米 Thompson : ACC 2, Kill 4, Range 4
英 Sten MkI : ACC 1, Kill 3, Range 2,
ソ PPSh41 : ACC 1, Kill 4, Range 4
こうしてみると英軍のステンの立場がありませんね。しかし、ステンには改良型Mk2もあります。
英 Sten Mk2s : ACC 1, Kill 3, Range 3
…やっぱり立場無しだorz。
・迫撃砲
これは攻勢時にしか使えない難しい兵器でもあります。50mm軽迫は歩兵小隊に追随できる足の速さがいいのですが、火力が無い上に、積極的に使うと歩兵の足を引っ張る(砲撃するときは停止しなければならないので)という弱点があります。大戦前半はどこの国も軽迫撃砲を配備したのですが、上述の理由で後半にはこの兵科は廃れていきます。
独 50mmMortar : Kill 4, Pen 8, Range 11, Warhead 3
ソ 50mmMortar : Kill 4, Pen 8, Range 18, Warhead 3
米 60mmMortar : Kill 5, Pen 9, Range 40, Warhead 3
英 2in Mortar : Kill 4, Pen 9, Range 10, Warhead 3
日 10式擲弾筒 : Kill 4, Pen 8, Range 3, Warhead 3
日 89式擲弾筒 : Kill 5, Pen 8, Range 12, Warhead 3
射程とKill値に差はあるものの、Warhead値が一律3で、ほぼ同じ威力と言えます。ここでも英軍兵器が一番性能悪いですね…。
さて、この兵科は何を期待されているのでしょうか、それはもちろん敵火点、具体的には機関銃の制圧です。敵の機関銃を発見した場合、歩兵は射撃せずに迂回して接近し、迫撃砲の抑圧下に突撃してこれを制圧することとされていました。これはどこの国でも同様です。ゲームの場合、中・重機関銃を発見した場合、遮蔽物を利用して歩兵は接近し、最後は50mm迫で抑圧を与え、それから近接射撃(手榴弾を含む)ないし白兵戦でこれを仕留めることになります。
大戦中期以降に小隊支援の役割を担うこととなったのは中迫撃砲です。ソ連軍の82mm迫は、独軍の砲弾(81mm)を流用できるが、独軍はソ連軍の砲弾を流用できないようにするために、1mm大きい口径にするようスターリンが命じたと言われています。この兵科は煙幕の展開ができるという大きな特徴がありますね。もちろん、敵火点の制圧にも大活躍します。ただし、軽迫撃砲とは違い移動力は1しかなく、トラックや戦車で運ぶか、後方から最大射程で撃つかを迫られます。この問題を解消すべく、米英軍、独軍ではハーフトラック搭載の迫撃砲が制式化されました。
独 81mmMortar : Kill 8, Pen 18, Range 56, Warhead 5
ソ 82mmMortar : Kill 8, Pen 18, Range 64, Warhead 5
米 81mmMortar : Kill 8, Pen 18, Range 64, Warhead 5
英 3in Mortar : Kill 7, Pen 12, Range 64, Warhead 5
日 81mmMortar : Kill 7, Pen 18, Range 64, Warhead 5
日 70mmMortar : Kill 6, Pen 10, Range 64, Warhead 4
性能が悪いように見える英軍の3インチ迫と日本軍の70mm迫は移動力が4あることに注意してください。50mm迫よりは足が遅い(移動力8)ものの、ある程度徒歩移動が考慮されている部隊なのですね。
さて、最後に重迫撃砲です。ソ連軍がこの兵科を大量投入したことと、独軍がそれを真似てコピー品を投入したことは有名です。
独 120mmMortar : Kill 12, Pen 24, Range 120, Warhead 7
ソ 107mmMortar : Kill 11, Pen 33, Range 96, Warhead 6
ソ 120mmMortar : Kill 12, Pen 36, Range 128, Warhead 7
米 4.2in Mortar : Kill 10, Pen 22, Range 88, Warhead 6
英 4.2in Mortar : Kill 10, Pen 21, Range 128, Warhead 6
日 90mmMortar : Kill 9, Pen 22, Range 192, Warhead 5
日 150mmMortar : Kill 17, Pen 40, Range 192, Warhead 9
さすがにこのクラスになると周囲のヘクスにも損害を与えるだけの弾頭重量を持ちます。また貫通力も20以上持ち、トップヒットを与えた場合高率に戦車すら破壊することができるでしょう。日本の150mm迫は凶悪ですね…。
戦車が大量にあれば、歩兵の直接支援を担うのは戦車でしょうが、殆どの戦場に於いて戦車は滅多に見られなかったので、通常は迫撃砲が支援を担う形になっています。
役に立たない編を後半に回して加筆しました(2005.12.19 junkers)
歩兵大隊によるRussian Steelキャンペーンも9戦目を終了しました。歩兵戦のノウハウを得るという目的で始めたこのキャンペーン、戦車部隊を使っても難易度が高いのに、歩兵でクリアを狙うというのはある意味無謀なのであります。が、一つには以前このキャンペーンを確か11面までプレイしたことがあること、もう一つにはサト様やNor司令官閣下が以前残したAARがあること、それらにより、なんとかDraw半分MV半分でここまでくぐり抜けて参りました。
さて、これまでの戦いで赤軍歩兵部隊の中でも使える兵器、使えない兵器が見えて参りました。今後のプレイ、対人オンライン戦の参考にと、書きつづってみた次第であります。史実のソ連軍は独ソ戦序盤で崩壊し、降伏の寸前までいっただけあって、書面上の配備定数を満たせた部隊は殆どなかったのですが(SPWAW付属のOOBにも、ソ連軍歩兵部隊の序列は44年のものしか掲載されていない)、おおまかな目安として。
【役に立つ兵器】
・歩兵
あらゆる戦場での基本は歩兵です。他の兵器は歩兵の支援火器に過ぎず、極論すれば砲兵も戦車も歩兵の支援のために存在すると言っていいでしょう(か?)
赤軍歩兵はモシン・ナガン(ボルトアクション)ライフル、DP軽機関銃、手榴弾が基本装備となります。高級歩兵として第3射撃武器にトカレフSVTを装備する部隊もありますが、このセミ・オートマチック・ライフルはモシン・ライフルよりずっと強力で、第1射撃武器(人数による修正が付く、らしい)にして欲しいくらいです。実際には大戦初期に下士官に配備された銃なのですが、給弾不良の多発、寒冷地での不発などのトラブルに見舞われ、下士官へはPPSh41短機関銃が支給されていくようになります。
ただし、41年12月になると赤軍歩兵はモロトフ・カクテル(火炎瓶)を第3射撃武器に装備するようになります。余談ですがモロトフはソ連でつけられた名称ではなく、ソ・フィン戦争の時に当時のソ連外相のモロトフを歓迎するカクテル、という意味でフィンランド軍が名付けた名称と言われています。このモロトフを装備することで独戦車に対する待ち伏せの成功率が大幅に上昇する変わりに、トカレフSVTを装備できなくなることで射撃火力が2/3以下になってしまいます。
独軍の様に歩兵分隊配備の軽機関銃(MG34/MG42)性能が高ければ、第3射撃武器に携帯対戦車火器(対戦車地雷やパンツァー・ファウストなど)を装備するのは問題ないのですが、練度も軽機関銃性能も劣る赤軍の場合、低下する分隊火力を何かで補う必要があるでしょう。普通に考えれば、迫撃砲か重機関銃火力の充実が必要、ということになりますね。
さて、赤軍には短機関銃分隊(SMG sqd)というユニークな部隊も存在します。この部隊は史実では、分隊支援火器(DP軽機関銃)を持たずに、分隊構成員全員がPPSh41を装備した部隊で、絶望的な独ソ戦序盤に兵力不足を少しでも補うべく投入されたものです。当然散々に消耗し、中期以降は通常のライフル歩兵分隊と混成されていくようになっていきます。ゲーム中ではDP軽機関銃装備になっていますので、ライフル歩兵分隊と混成された後の姿を再現しているのでしょう。
第1射撃武器はライフルがいいか、短機関銃がいいか?というのも(米軍・ソ連軍に共通の)悩みであります。米軍の場合はM1ガーランドの性能がいいので、個人的にはトンプソン短機関銃よりもM1ガーランドを第1射撃武器に推薦します。しかし、練度が低くてライフルも凡庸な性能の赤軍の場合、中距離での撃ち合いでは撃っても当たらないライフル射撃は捨てて、DP軽機関銃に全てをまかせ、接近戦(100m以下)では異常に強い短機関銃を持つのもありかと思います。特に低視界戦、市街戦では短機関銃が威力を発揮するでしょう。
PPSh41短機関銃は、独軍からはバラライカと呼ばれました。発射速度(900発/分)が高いこととドラム弾倉に71発も装填できることから、独軍のMP40(500発/分、装弾32発)より優れており、独軍でも鹵獲した本銃を使用しました(映画・戦争のはらわたも参照のこと)
ゲームでも短機関銃の性能差は再現されているようです
独 MP38/40 : ACC 2, Kill 3, Range 3,
米 Thompson : ACC 2, Kill 4, Range 4
英 Sten MkI : ACC 1, Kill 3, Range 2,
ソ PPSh41 : ACC 1, Kill 4, Range 4
こうしてみると英軍のステンの立場がありませんね。しかし、ステンには改良型Mk2もあります。
英 Sten Mk2s : ACC 1, Kill 3, Range 3
…やっぱり立場無しだorz。
・迫撃砲
これは攻勢時にしか使えない難しい兵器でもあります。50mm軽迫は歩兵小隊に追随できる足の速さがいいのですが、火力が無い上に、積極的に使うと歩兵の足を引っ張る(砲撃するときは停止しなければならないので)という弱点があります。大戦前半はどこの国も軽迫撃砲を配備したのですが、上述の理由で後半にはこの兵科は廃れていきます。
独 50mmMortar : Kill 4, Pen 8, Range 11, Warhead 3
ソ 50mmMortar : Kill 4, Pen 8, Range 18, Warhead 3
米 60mmMortar : Kill 5, Pen 9, Range 40, Warhead 3
英 2in Mortar : Kill 4, Pen 9, Range 10, Warhead 3
日 10式擲弾筒 : Kill 4, Pen 8, Range 3, Warhead 3
日 89式擲弾筒 : Kill 5, Pen 8, Range 12, Warhead 3
射程とKill値に差はあるものの、Warhead値が一律3で、ほぼ同じ威力と言えます。ここでも英軍兵器が一番性能悪いですね…。
さて、この兵科は何を期待されているのでしょうか、それはもちろん敵火点、具体的には機関銃の制圧です。敵の機関銃を発見した場合、歩兵は射撃せずに迂回して接近し、迫撃砲の抑圧下に突撃してこれを制圧することとされていました。これはどこの国でも同様です。ゲームの場合、中・重機関銃を発見した場合、遮蔽物を利用して歩兵は接近し、最後は50mm迫で抑圧を与え、それから近接射撃(手榴弾を含む)ないし白兵戦でこれを仕留めることになります。
大戦中期以降に小隊支援の役割を担うこととなったのは中迫撃砲です。ソ連軍の82mm迫は、独軍の砲弾(81mm)を流用できるが、独軍はソ連軍の砲弾を流用できないようにするために、1mm大きい口径にするようスターリンが命じたと言われています。この兵科は煙幕の展開ができるという大きな特徴がありますね。もちろん、敵火点の制圧にも大活躍します。ただし、軽迫撃砲とは違い移動力は1しかなく、トラックや戦車で運ぶか、後方から最大射程で撃つかを迫られます。この問題を解消すべく、米英軍、独軍ではハーフトラック搭載の迫撃砲が制式化されました。
独 81mmMortar : Kill 8, Pen 18, Range 56, Warhead 5
ソ 82mmMortar : Kill 8, Pen 18, Range 64, Warhead 5
米 81mmMortar : Kill 8, Pen 18, Range 64, Warhead 5
英 3in Mortar : Kill 7, Pen 12, Range 64, Warhead 5
日 81mmMortar : Kill 7, Pen 18, Range 64, Warhead 5
日 70mmMortar : Kill 6, Pen 10, Range 64, Warhead 4
性能が悪いように見える英軍の3インチ迫と日本軍の70mm迫は移動力が4あることに注意してください。50mm迫よりは足が遅い(移動力8)ものの、ある程度徒歩移動が考慮されている部隊なのですね。
さて、最後に重迫撃砲です。ソ連軍がこの兵科を大量投入したことと、独軍がそれを真似てコピー品を投入したことは有名です。
独 120mmMortar : Kill 12, Pen 24, Range 120, Warhead 7
ソ 107mmMortar : Kill 11, Pen 33, Range 96, Warhead 6
ソ 120mmMortar : Kill 12, Pen 36, Range 128, Warhead 7
米 4.2in Mortar : Kill 10, Pen 22, Range 88, Warhead 6
英 4.2in Mortar : Kill 10, Pen 21, Range 128, Warhead 6
日 90mmMortar : Kill 9, Pen 22, Range 192, Warhead 5
日 150mmMortar : Kill 17, Pen 40, Range 192, Warhead 9
さすがにこのクラスになると周囲のヘクスにも損害を与えるだけの弾頭重量を持ちます。また貫通力も20以上持ち、トップヒットを与えた場合高率に戦車すら破壊することができるでしょう。日本の150mm迫は凶悪ですね…。
戦車が大量にあれば、歩兵の直接支援を担うのは戦車でしょうが、殆どの戦場に於いて戦車は滅多に見られなかったので、通常は迫撃砲が支援を担う形になっています。
役に立たない編を後半に回して加筆しました(2005.12.19 junkers)