<おしらせ1>
またまた、いつの間にか掲示板がダウンしていたようですね。ログを見ると、およそ2年半ぶりの改修です。
この間、何度かメールでご要望があったようですが、この度ようやく重い腰を上げて掲示板を修復いたしました。
管理不行き届きで申し訳ありません。

<おしらせ2>
サイト管理を楽にするために体裁を変更しています。
本サイトのメインコンテンツであったSPWAWの解説記事は以下からアクセス可能です。
SPWAW解説記事一覧


<5分で調べたSPWAW界の近況>

びっくりしたことーその1「Depot リニューアル」
SPWAW界を長年牽引してきた世界最大のファンサイトSPWAW DEPOTが、昨年の4月に閉鎖、13年の歴史に幕を下ろしたようです。
と同時にDepotメンバーの一人 Falconさんが新たなサイトSPWAW DEPOTを立ち上げたようですね(笑)。
まあ、中心メンバーが入れ替わって、こじんまりした感はありますが、実質的にはリニューアルって感じですかね。
旧DEPOTの遺産は相続されているようで、今後ともがんばって欲しいところです。
https://www.tapatalk.com/groups/spwawdepot/

びっくりしたことーその2「砲撃要請画面ラグ解消」
マルチコアCPUが普及した頃でしょうか、ある程度以上のスペックのPCでは、砲撃要請画面で挙動がおかしくなる不具合がありましたね。
それが原因でSPWAWを離れた・・という方もおられたような記憶がありますが、どうやらこの不具合、ついに修正されたようです。
これもDEPOTメンバーのおかげみたいですね。Matrix Games 公認(というか黙認ですね)のもと 、本体ファイル MECH.EXE をいじることに成功したようです。
https://www.tapatalk.com/groups/spwawde ... -t277.html


というわけで、この機会にもう一度SPWAWをやってみようかな、と思われた方は次のリンクからダウンロードをどうぞ。
DEPOTで全てのファイルのホスティングも始めたようです。
https://www.tapatalk.com/groups/spwawde ... es-t6.html

歴史的に正しい部隊編成 その2

歴史考証などウンチクを語って下さい!
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junkers
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歴史的に正しい部隊編成 その2

Post by junkers » 2005.Nov.11(Fri) 01:44

歴史的に正しい中隊編成 その2

 さて、前回は独軍編成について考察し、SPWAWの部隊編成がおおむね史実に基づ
いていることを示しました。今回は対する連合国の中から米軍を選択してみましょう。
米軍は時期によりその構成が大きく異なるために、独軍の時のように一例を取り上げ
るのは難しいのですが、戦争中後期をテーマとしてみます。

 米軍ライフル分隊は12名で構成されていました。分隊支援火器としてブローニング・
オートマチック・ライフル(BAR)が各分隊に1丁ずつ配備されていましたが、前回のコ
ラムで述べたようにBARは軽機関銃としてはあきらかに力不足でした。
 では米軍ライフル分隊は二流国並みかというと、そんなわけではありません。分隊の
主装備がM1903ボルトアクション・ライフルだった1941年までは確かに二流なのです
が、米軍が本格的に実践参加するようになる1942年からは一流の仲間入りです。そう
です、米軍は他国に先駆けてM1ガーランド・セミオートマチック・ライフルを大量配備し
たのでした。

 バンドオブブラザーズ第2話でE中隊長代行となったウィンターズ中尉が独軍の
105mmFH陣地を攻撃するなかで、走りながらライフルを撃ち続けるシーンがありまし
たね。あれは次弾が自動装填されるセミオートマチック・ライフルだからこそのシーンで
あり、ボルトアクション・ライフルではああはなりません。M1ガーランドは弾倉に8発し
かないことや、8発目を撃つと大きな音を立ててクリップが飛ぶ(これもプライベートライ
アンなどで再現シーンあり)ことで敵に弾切れであることを知らせてしまう、弾倉に弾を
追加装填するのが難しいなどの欠点もありましたが、個々の兵士の火力という点で、
米軍は大きく勝っていたのです。
 では、ライフルの火力の差はどのように再現されているのでしょうか。またまた表にし
てみました(著者注・ver 8.2のデータ)

Garand M1 Rifle(米;Fire Control 2)ACC 3, Kill 2, Range 12
M1903 Rifle(米;Fire Control 1)ACC 4, Kill 1, Range 12

Kar 98k Rifle(独;Fire Control 3)ACC 4, Kill 1, Range 12
Lee Enfield(英;Fire Control 4)ACC 4, Kill 1, Range 12
Mosin M1930G(ソ;Fire Control 1)ACC 4, Kill 1, Range 12
Type 38 Rifle(日;Fire Control 2) ACC 3, Kill 1, Range 12

 見ての通り、ボルトアクション・ライフルは日本を除きすべて同じ評価を受けていま
す。日本軍の明治三八年式歩兵銃は口径が小さいために評価が下がっているのでし
ょう。さて、M1ガーランドはといいますと、実に他国のボルトアクション・ライフルの2倍
の火力評価です。とはいえ、Kill 1とKill 2の違いがどれだけのものでしょう。BARの火
力不足を補えるでしょうか? 単純にKill値で考えると、各国のライフルのKill値(1)と
各国(独除く)の軽機関銃のKill値(6)の合計は7で、M1ガーランドとBARのKill値の合
計も7で等しいのですが、軽機関銃のACCが6前後であるのでACCが3しかないM1ガ
ーランドは中〜長射程では不利、ということになってしまいます。ただし、歩兵分隊の第
一武器は分隊人数による修正を受けるようですので、距離が縮まるとM1ガーランドは
その存在感を増すと考えられます。このことより分隊同士の撃ち合いにおける火力の
比較では、最新ver8.4の場合、

400m(8ヘクス)以上の交戦距離ではLMGに優れる独軍の圧勝
5〜7ヘクスで互角
4ヘクス以内ではライフル(および分隊人数の差)で勝る米軍有利

という大まかな目安を得ることができます。以前のバージョンでは上記から1〜2ヘクス
引いた数だったのですが、ver8.4ではライフルやMGのACC値が増えたため、ずいぶ
んと米軍歩兵が強くなる範囲が広がってしまいました。



 さて、大戦中盤になると米軍ライフル分隊にはM1カービンも配備されるようになりま
す。他国の歩兵に比べると米軍歩兵の装備には様々なバリエーションが存在するので
すが、M1カービンもその一つです。当初は二線部隊用の兵器と見なされていたのです
が、種々の理由から評価が上がることになりました。

 独軍の歩兵戦ドクトリンでは、分隊は分隊長に率いられて敵に有利なポジションを取
ろうと機動する移動班(4人前後)と、副分隊長に率いられて移動班を援護する火力班
(6人前後)に分かれます。両分隊長の装備は短機関銃で、分隊長は敵に接近するこ
とになるので短機関銃が役に立ち、副分隊長は軽機関銃のアシスタントクルーについ
て的確な射撃目標を指示しつつ弾薬を補給する役割で、万一敵の移動班が接近して
きた場合は即座にアシスタントクルーを離れて短機関銃で敵を制することができるよう
になっています。

 対する米軍の歩兵戦では分隊は4人前後の移動班、副分隊長が率いる6人前後の
火力班、そして分隊長とその護衛役が付く指揮班の3つに分かれることになっていまし
た。両分隊長が短機関銃を持つのは独軍と同じですが、BARは前述したようにアシス
タントクルー要らずの兵器であることから、往々にして敵が接近してくるまで副分隊長
が役立たずになってしまうことになりました。また、分隊長も火力班、移動班両方を統
制下に置くポジションを求めることから両者の中間に位置することになり、これも短機
関銃では射程が不足しがちとなったのです。よって戦争中後期には両分隊長、特に副
分隊長の所有火器は短機関銃からより射程の長いカービンや、M1ガーランドライフル
に置き換わっていくことになります。
 また、この3つの班に分ける方法は、特に移動班の兵士達に高度な(下士官に求めら
れる並の)経験と判断力を要求します。両分隊長は兵士を指揮する訓練を受けてきま
すが、他の兵士達は指示に従う訓練を受けるのです。結果、移動班は指揮班との連絡
を失うと(戦場ではよくあることです)容易に釘付け状態に陥り、それを回復するはずの
指揮班もまた(これは構成人数が少なすぎることにより)容易に釘付け状態に陥ること
になりました。これらの戦訓から、大戦後期では米軍は独軍式のシンプルな火力−移
動班の2つに分かれるようになります。

 余談ですがソ連軍の場合は兵士を指揮する下士官達の経験と判断力も、また指揮
される兵士達の経験も訓練度も独軍に比べ大きく劣っていたために、上記のように分
隊を分けて有機的に機動することは不可能でした。よって赤軍の場合、移動、火力を
担うのは班ではなく分隊が担当し、これは他の国なら1小隊が担当すべき任務を遂行
するのに1中隊が必要ということを意味します。移動班は銃火の中を敵に接近する高
度な判断力と冷静さを求められる班ですが(だからこそ分隊長が指揮するのです)、そ
れが叶わないソ連軍の場合、最終的には「ウラー」の声とともに分隊単位での突撃を
余儀なくされることが多々あったのです。結果、ソ連軍は他のどの軍隊よりも損害の多
い軍となりました。
 ソ連軍と日本軍はともに移動志向型の軍隊ですが、その背景は低練度により有効射
程が短いソ連軍、ライフルおよび軽機関銃の火力が低いために有効交戦距離が短い
日本軍と、大きく異なるものがあります。日本軍に関する考察はまた別の機会に。
(2003.4.8 junkers)

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